白菜にまことしやかに囁かれる「栄養ない」というウワサ。
この白菜の「栄養ない」との情報は本当なのでしょうか?
調べてみると、白菜の栄養にまつわる意外な事実が明らかに!
さらに他にも、
- がん予防に効果的?な成分を含む
- 旨味が豊富
- 食べ過ぎは危険
というウワサを検証していきます!
白菜の基本的な栄養
白菜には「栄養ない」というウワサがあります。
その白菜の栄養ない説は本当なのでしょうか?
<表>白菜の栄養
まずは、白菜の栄養を表にしてまとめてみます。
栄養成分 | 白菜100gあたりの栄養含有量 |
---|---|
エネルギー | 14kcal |
水分 | 95.2g |
炭水化物 | 3.2g |
食物繊維 | 1.3g |
脂質 | 0.1g |
たんぱく質 | 0.8g |
βカロテン | 92μg |
ビタミンC | 19mg |
ビタミンK | 59μg |
ナトリウム | 6mg |
カリウム | 220mg |
カルシウム | 43mg |
ここからは、表の数値を見ながら白菜の栄養を詳しく説明していきます。
「白菜=栄養ない」は本当なのか
上の表でまず注目してもらいたいのが水分量。
100gあたりの水分量は95.2g。
100-95.2=4.8
つまり白菜の栄養は、全体の5%未満しかありません!
たしかに、この数値を見ると栄養ないとまではいかなくとも、栄養が少ないとは言えますね。
低カロリー&低糖質&低脂質
白菜のカロリー(エネルギー)は100gあたり14kcal。
この14kcalという数値は、すべての野菜の中でもなかなか低カロリーです。
同じ14kcalの野菜には、
- 小松菜
- もやし
- きゅうり
など、ヘルシーなイメージのある野菜がそろいます。
また、白菜100gあたりの炭水化物量は3.2g。
そのうち食物繊維量は1.3gなので、糖質量は1.9gとなります。
100g食べても糖質が2g以下なので、十分低糖質と言えますね!
さらに脂質は0.1g。
摂りすぎると太る原因になる脂質が少なめなのは嬉しいですね。
でも、ほとんどの野菜は脂質が0.3g以下だから、白菜がとりわけ低脂質とは言えないんだよな・・・。
ビタミンは少なめ
淡色野菜である白菜のビタミンは全体的に少なめです。
淡色野菜とは、βカロテンが野菜100g中で600μg未満の野菜のこと。
白菜のβカロテンの量は100gあたり92μgなので淡色野菜に分類されます。
詳しくは↓に詳しくまとめています。
また、比較的多めに含まれているのは100gあたり59μg含まれるビタミンK。
ただ、ビタミンKは不足することも過剰に摂取することもほとんどない栄養素です。
そのため、豊富に含まれていてもそこまで役には立たないかもしれません。
豊富なのはカリウム・カルシウム
ここまでまとめてみると、白菜はあまり栄養豊富とは言えない野菜だと分かりました。
しかし、そんな白菜でもミネラルであるカリウムとカルシウムは比較的豊富に含まれています。
ナトリウムの体外排出をサポートするカリウムは、高血圧の方は積極的に摂るべき栄養です。
また、ナトリウムだけでなく老廃物の排出にも効果的。
利尿作用もあるので、むくみの解消にも役立ちます。
カルシウムと言えば骨・歯を丈夫にするイメージがありますよね。
さらにカルシウムには神経を落ち着かせる効果もあり、イライラ気分を鎮めたい時にもオススメです。
たしかに、イライラしている時は「カルシウムが足りない」って言われたことがあるかも。
ただ、白菜のカリウム・カルシウム量は飛び抜けて多いわけではありません。
どちらかと言えば多め、という程度です。
やはり、白菜はそこまで栄養が豊富な野菜とは言えませんでした。
白菜は「ガン予防」に効果的?
「栄養ない」との不名誉なウワサを流されるのも仕方がない・・・。
そんな栄養豊富とは言えない白菜ですが、実はスゴい成分が豊富に含まれていました。
その成分とはイソチオシアネート。
聞いたことない栄養成分だけど・・・。
イソチオシアネートとは
イソチオシアネートは調味料・からしの辛味成分です。
白菜をはじめキャベツ・菜の花などアブラナ科の野菜に多く含まれています。
その特徴は、ツンとした辛い匂い。
新鮮な生の白菜を切った時、からしのようなさわやかな辛い匂いを感じたことはありませんか?
その匂いはイソチオシアネートによるものです。
イソチオシアネートの特長
イソチオシアネートはがん予防に効果があると言われています。
臓器に解毒酵素を誘導するはたらきがあり、がん発症のリスクや腫瘍ができるのを減らす効果があるとされます。
実際に、国立がん研究センターが疫学調査を行ったところ、白菜をたくさん食べるグループは胃がんのリスクが少し低下した、と報告されました。
まだ研究段階ではありますが、抗がん剤としての活用が期待されています。
さらに、イソチオシアネートには高い殺菌効果があります。
口内炎など口の中の炎症を治すのに効果的!
のどの殺菌もできるのでのど風邪にもオススメです。
ただ1つ注意点として、手や口内、唇などに傷があるとスゴく染みます。
特に大根おろしは皮膚が弱い手首などに付くと赤く腫れてしまうことがあるので注意しましょう。
(わたしは大根おろしで経験がありますが10分はヒリヒリが続きます。)
イソチオシアネートを効率的に摂るには?
イソチオシアネートをたくさん摂りたいなら生食で切ってすぐ食べるのがオススメです。
イソチオシアネートには、
- 加熱に弱い
- 揮発性
という特長があります。
加熱に弱いため、火を通すと成分が壊れてしまいます。
またイソチオシアネートは、空気にふれるとどんどん気化してしまう揮発性の成分です。
そのため、切った後からイソチオシアネートはどんどん空気中に溶けてしまいます。
よってイソチオシアネートの効果を優先したいなら、
- 生食
- すぐに食べる
というのがオススメです。
白菜はイソチオシアネートが豊富に含まれている野菜の中でも生食しやすい野菜と言えます。
漬け物とかサラダとかにできるね。
また、イソチオシアネートは野菜の中で別々の細胞にある成分が混ざり合い化学反応を起こすことで発生する成分。
細胞を壊すために細かく刻めば刻むほどイソチオシアネートは発生します。
ただし、イソチオシアネートが発生すればするほど辛くなります。
お子さんにはあまり向かないかもしれません。
イソチオシアネートについては↓の記事でも詳しくまとめています。
白菜は旨味成分が豊富!
白菜は旨味成分・グルタミン酸が豊富に含まれている野菜です。
シンプルな見た目から淡泊な味を想像しがちですが、その含有量は100gあたり40~90mg。
この数値は野菜全体でも見ても高め。
- 大根 30~70mg
- にんじん 40~80mg
- キャベツ 30~50mg
- 玉ねぎ 20~50mg
- ブロッコリー 30~60mg
旨味成分が多いイメージがあるきのこ(エノキダケや椎茸)に匹敵する量を誇ります。
鍋に入れたときに深い旨味が感じられるのは、白菜によるところが大きいのかもしれません。
このグルタミン酸は、同じ旨味成分であるイノシン酸・グアニル酸と掛け合わせると相乗効果で旨味が増す特徴があります。
イノシン酸は魚類に多く含まれる成分ですが、特に豊富なのがかつお節!
つまり、白菜のおひたしにかつお節をかけるだけで旨味は格段にアップします。
また、グアニル酸は干し椎茸に多く含まれる旨味成分。
料理で組み合わせるなら、干し椎茸の戻し汁を出汁にした中華風の煮物などが良いかもしれません。
食べ過ぎは危険?白菜の適正量とは
白菜を検索すると二次検索ワードで「体に悪い」という言葉が出てきます。
「栄養ない」は本当でしたが「体に悪い」はどうなのでしょうか?
調べたところ、たしかに白菜は食べ方を間違えると体に悪いどころか危険な状態を引き起こす可能性もありました!
白菜が「体に悪い」と言われるのはミロシナーゼが原因です。
ミロシナーゼとは
ミロシナーゼは、アブラナ科の野菜に含まれることが多い酵素です。
グルコシノレートという成分と組み合わされることでイソチオシアネートを発生させる成分でもあります。
イソチオシアネートは、さっき説明したガン予防に効果的って言われている成分だね。
ミロシナーゼは大量に生食するとホルモンバランスが崩れ、
- 腹痛・下痢
- 疲れやすくなる
- 呼吸不全
という症状が出る可能性があります。
特に呼吸不全は怖いですね・・・。
白菜の安全な食べ方と適正量
ミロシナーゼは加熱によって壊れる成分です。
よって、生食せず火を通せばひとまず安全と言えます。
しかし、どうしても生で食べたいという時もありますよね?
そんな時は量に気を付ければ大丈夫!
ミロシナーゼ摂取で危険とされているのは、生の白菜を毎日1kg、何ヶ月にも亘って食べ続けた場合です。
おそらくですが、この危険な量を達成するのは無理です。
白菜は1玉丸ごとでおよそ2kg。
よって毎日白菜半玉を食べ続けなければ、ミロシナーゼの過剰摂取で危険な状態になることはまずないでしょう。
そこまで心配することはなさそうですね。
また、白菜の適正摂取量は1日あたり200gほど。
3人家族で1日に1/4カットの白菜を食べれば丁度よいくらいですね。
まとめ
- 白菜は「栄養ない」ほどではないが、栄養が全体的に少なめの野菜だった
- しかし、がん予防に効果が期待されるイソチオシアネートが豊富で、旨味成分・グルタミン酸も多い
- ただし、生で食べ過ぎるとミロシナーゼの栄養で危険
冬に重宝する白菜の栄養が豊富でないというのは地味にショックです・・・。
しかし旨味が強い分、料理の美味しさをワンランクアップさせるにはピッタリ!
食べ過ぎには注意ですが、生をほどほどに食べがん予防に役立てたいですね。