冬野菜の代表格と言えば大根!
そんな大根には「おなかに優しい」というイメージがありませんか?
けれども「大根=おなかに優しい」というイメージはなぜ付いたのでしょう?
その答えは、大根に含まれるある栄養成分にありました!
さらに、その栄養を効率的に摂るには大根おろしがおすすめ?
その理由も合わせて詳しくまとめました!

料理の方法を変えるだけで、おなかに優しい効果を高めることもできるかな?
大根はなぜおなかに優しい?
大根が「おなかに優しい」と言われる理由は、消化酵素が豊富に含まれているためです。

消化酵素とは、食材を消化し栄養の吸収をサポートする栄養素です。
消化・吸収をサポートする消化酵素が豊富なため、大根は「おなかに優しい」と言われているのです。
大根に含まれる主な消化酵素をまとめてみました。
- ジアスターゼ(アミラーゼ)
- プロテアーゼ
- リパーゼ
それぞれどんなはたらきをする消化酵素なのでしょう?
ジアスターゼ(アミラーゼ)
ジアスターゼは唾液・すい液に含まれる炭水化物分解酵素です。
別名はアミラーゼ。
「アミラーゼなら知ってる」という方も多いのではないでしょうか。
このジアスターゼのはたらきはデンプンの分解。
つまり、デンプンが多く含まれる
- おもち
- うどん
- スパゲッティ
といった炭水化物といっしょに食べれば消化をサポートしてくれます。
プロテアーゼ
プロテアーゼはたんぱく質分解酵素です。
このプロテアーゼには、たんぱく質を柔らかくするはたらきがあります。
プロテアーゼは大根の他に、
- パイナップル
- キウイフルーツ
などに多く含まれます。

パイナップルやキウイフルーツといっしょに漬けておくと肉が柔らかくなる、と聞いたことがありませんか?
これがプロテアーゼのはたらきです。

酢豚にパイナップルが入ってるのは、この「肉を柔らかくする」はたらきのためなんだって。
よって、大根おろしに、
- 肉
- 魚
- 魚介類
を漬けておけばたんぱく質が分解され、より柔らかく食感が味わえます。
リパーゼ
リパーゼは胃液・すい液に含まれる脂肪分解酵素です。
脂肪を分解するはたらきを持つため、
- 揚げ物
- 脂肪が多い食材
といっしょに食べれば、食後の胃もたれ予防につながります。
大根に含まれる消化酵素は、
- ジアスターゼ→炭水化物(デンプン)
- プロテアーゼ→たんぱく質
- リパーゼ→脂肪
という3大栄養素すべての分解をサポートします。
あらゆる食材の消化を助けるからこそ「おなかに優しい」と言えるのですね!
おなかに優しい大根の料理法
大根に含まれる消化酵素は熱に弱いというデメリットが!
料理で加熱するとせっかくの酵素たちのはたらきが損なわれてしまいます。
そのため、消化酵素のはたらきを得たいなら生食がベスト!
大根の生食にはサラダや刺身のツマなどいろいろありますね。
その中でも特におすすめなのが大根おろしです。

おろすことによって大根の細胞が壊され、消化と栄養の吸収をよりサポート!
さらに、大根おろしにすることで新たな栄養も生成されます。

でも、大根おろしって辛くて苦手なんだよね。
たしかに、子どもなど大根おろしの辛味が苦手な方も多いでしょう。
しかし実は、その大根おろしの辛味を低減できるおろし方がありました!
大根おろしの辛味
栄養抜群だけど、辛味が強いイメージの大根おろし。

大根おろしはなぜ辛いのでしょう?
また、大根おろしの辛味を抑える方法とは?
大根おろしはなぜ辛い?
大根おろしが辛いのは、栄養成分・アリルイソチオシアネートが原因です。
アリルイソチオシアネートは芥子油とも呼ばれ、からし・マスタードの辛味と同じ成分。


言われて見れば、どっちも「ツーン」ていう辛さかも。
しかし、このアリルイソチオシアネートは最初から大根に含まれているわけではありません。
大根をおろすことにより生成される栄養なのです!
- 大根内にはもともと以下2つの成分が別々に存在
- アリルイソチオシアネートの前駆体・グルコシノレート
- 酵素・ミロシナ-ゼ
- 大根をすりおろすことで細胞が破壊
- 細胞内の2成分が流出
- 2成分が混ざり合う
- 化学反応
- アリルイソチオシアネートが生成
細かくすればするほど細胞が壊れるので、大根おろしがベストなのですね!
アリルイソチオシアネートのメリット
アリルイソチオシアネートには殺菌作用があり、
- 口内炎
- 虫歯
- 歯肉炎
といった口の中の炎症に効果的です。
さらに、近年はがん予防にも期待が高まっていて、研究が進んでいます。
アリルイソチオシアネートの注意点
アリルイソチオシアネートは揮発性の成分です。
時間が経つと蒸発し、成分が失われていってしまいます。
そのため、アリルイソチオシアネートの効果を得るなら、食べる直前におろすのがおすすめです。
大根おろしの辛味を抑える方法
大根おろしはおろす部分・向きに気を付ければ辛味を抑えることができます。
辛味を抑えるおろす部分
大根おろしの辛味を抑えるには、根の真ん中から上(葉寄り)の部分を使います。

一般的に、大根は根の先端部分により多くのアリルイソチオシアネートの前駆体・グルコシノレートを含んでいます。
そのため先端部分をおろすとアリルイソチオシアネートがたくさん発生します。
一方、葉寄りの上部分に含まれるグルコシノレートは先端部分のおよそ10分の1!
葉よりの部分は比較的甘味が強いので大根サラダなどの生食向きです。
辛味を抑えるおろす向き
大根おろしの辛味を抑えるおろす向きは切断面から向かって垂直です。
つまり皮が付いている側面からおろします。
側面からおろすのは、細胞をできるだけ壊さないようにするためです。
大根の繊維は長細く縦方向に沿っています。
その繊維と並行におろせば細胞が壊れにくくなるのです。

細胞が壊れなければアリルイソチオシアネートができないのか!
最後にワンポイント!おろし方は優しく
細胞が壊れることで辛味成分が発生する大根おろし。
そのため細胞を壊さないよう優しくおろすことも、辛味を抑えるために有効です。
さらに、辛味を抑えたい場合は時間を置くのもおすすめ。
大根おろしの辛味のピークはおろしてから5分後。
その後は徐々にアリルイソチオシアネートが揮発し減少していきます。
また、加熱することでも辛味は抑えられます。
加熱の際はおろしてすぐに火にかけることで甘味も引き出せます。
反対に、大根おろしを辛くするには?
大根おろしの辛味を楽しみたい場合は、辛味を抑える方法の逆を突き詰めればOKです。
- 使う部分は根の先端部分
- おろす向きは切断面から並行
- 乱暴にガシガシおろす
- おろしてから5分前後で食べる
まとめ
- 大根がおなかに優しいのは消化酵素が豊富なため。
- 消化酵素は熱に弱いので、効率的に摂取するなら生食がベスト。特に、消化・吸収の観点からは大根おろしがおすすめ。
- 大根おろしの辛味成分はアリルイソチオシアネート。
- 葉寄りの部分を側面からおろすことでアリルイソチオシアネートの生成が減り、辛味を抑えることができる。
大根がおなかに優しいのは含まれる消化酵素に秘密がありました。
実は、わたしは大根おろしの生食が辛くて苦手でした。
しかし、辛味を抑えるおろし方を知ったので、これからは積極的に大根おろしを生食できるかな?と思います。