主に埼玉県で栽培されている地域野菜「山東菜(さんとうな・さんとうさい)」についてまとめました。
山東菜とはそもそもどんな野菜なのか?
調べたところ、ある人気野菜の一種であることが判明!
また、山東菜の原産地や発祥、日本での歴史、食べ方や料理法、栄養価についてあまねくまとめました。
山東菜は○○の一種だった!
山東菜はアブラナ科アブラナ属の野菜です。

名前は『さんとうな』の他に『さんとうさい』という呼び方もあります。
アブラナ科アブラナ属の野菜は、他に
- キャベツ
- 白菜
- アブラナ
- ブロッコリー
- 水菜
- かぶ
- チンゲンサイ
などがあり、日本人にとって非常になじみが深い種類となります。
そのうち山東菜は「白菜」の一種です。
山東菜は白菜のうち『非結球種(非結球性白菜)』の1つとなります。
非結球白菜とは?
わたしたちが普段よく目にする「白菜」は結球種と呼ばれる白菜です。

結球とは、葉が内巻きに丸まっている白菜のこと。
白菜は厳しい寒さに耐えるため、ギュッと内巻きに結球するようになりました。
一方で、山東菜は白菜ではあるものの葉が内巻きにならない非結球種。
また非結球種ではあるものの、根元の部分は密着していることから半分結球しているとみなされ『半結球性白菜』と呼ばれています。
山東菜は白菜のうち『半結球種』となります。
ちなみに、結球していない上、根元も密着していない白菜は『不結球性白菜』と呼ばれます。
山東菜の発祥や歴史、主な生産地は?
山東菜の発祥は中国の山東省です。

山東省の野菜だから山東菜なのですね。
そもそも、山東菜をはじめ白菜は中国から日本に伝来しました。
日本には江戸時代以前からたびたび流入していたものの、かぶなど他の野菜と混同してしまい定着はしませんでした。
しかし、日清戦争のときに現地で結球された白菜を目にした日本の軍隊が、食糧として取り入れ、その後天皇陛下に献上。
このことから白菜は日本で知名度を上げ、試行錯誤を経て量産化に成功。
昭和を過ぎてから、日本各地で栽培されるようになりました。

白菜って「ザ・日本」みたいなイメージですが、実は食卓に定着してから100年ほどしか経っていなかったのですね。
山東菜も結球された白菜と同じころ、明治時代の前~中期には日本に伝来しています。
日本に入ってきてから、山東菜が主に生産されるようになったのは関東地方でした。
山東菜の主な生産地は埼玉県
山東菜は主に埼玉県で栽培されている野菜です。
ほとんど埼玉県やその近辺でしか栽培されていないため、地域野菜・伝統野菜のような位置づけでもあります。
埼玉県では大正時代の終わりごろ(1920年代)に栽培が開始されたとのこと。
ほぼ100年にわたり栽培が続いているのですね。
なぜ山東菜は一部地域でしか栽培されない?
山東菜は現在、ほぼ埼玉県でしか栽培されていません。
その理由の1つは収穫時期が短いため。
収穫時期は12~1月と冬真っ盛りの短い期間。
生鮮食品として栽培される山東菜は早採りで収穫されるため、時期が限られます。
また、2つ目の理由は、他の地域でも栽培されているけれど名前が違う、というもの。
山東菜という名前は埼玉県で栽培された野菜の名称。
全国的には『シロナ』と呼ばれることが多いとのこと。
また、京都などでは『はくさい菜』、関東の一部地域では『ベか菜』とも呼ばれます。
さらに、東北地方で栽培されているものは『盛岡山東菜』と呼ばれ、岩手県を中心に地域で親しまれています。
『天満菜』という近縁種もあり、実は山東菜の仲間は日本各地で栽培されています。
※参考サイト こしがやふぁーまーず 地場の特産品
山東菜の食べ方・料理法
山東菜は主に漬け物として食べられている野菜です。

山東菜を使う『山東菜漬け』はキムチのように乳酸発酵させて作られる漬け物。
乳酸菌の発酵パワーで山東菜の旨みをグッと引き出す、伝統的な漬け物ですね。
この山東菜漬けで使われる山東菜は早採りではなく、もっと大きく成長させたもの。
生鮮食品として販売される山東菜は400~500gほどの小ぶりなサイズとなります。
山東菜は生で食べられる?
山東菜は生で食べられます。
そもそも漬け物で食べられている野菜なので、加熱しなくてもOKです。
クセがなく、アクも少ないため、どんな調理法でも、どんな食材とでも合わせやすいのが特徴。
生での浅漬けやサラダ、炒め物、煮物、汁物、お浸しなど、何でもできます。

基本的に結球している普通の白菜と同じように使えると思えば大丈夫だね。

実食した感想は「しっかりした白菜」です。生だと爽やかな辛みがあり、煮るとトロトロになります。味はほぼ白菜で、白菜よりも食感は固めです。
山東菜の栄養価
ここからは、山東菜の栄養価をまとめていきます。
山東菜100gあたりの生・茹でを比較していきます。
- 山東菜・生: 野菜類/さんとうさい/葉/生
- 山東菜:茹で: 野菜類/さんとうさい/葉/ゆで
<基本>の栄養価を比較
生・茹でた山東菜の基本の栄養価を比較します。
栄養素 | 生 | 茹で |
---|---|---|
エネルギー | 12kcal | 14kcal |
水分 | 94.7g | 94.3g |
たんぱく質 | 1.0g | 1.4g |
脂質 | 0.2g | 0.3g |
炭水化物 | 2.7g | 2.9g |
食物繊維 | 2.2g | 2.5g |
まず、カロリーは生・茹でともに100gあたり15kval以下と低カロリー。
水分はいずれも55g弱と、他の葉物野菜と同じくらいでした。
たんぱく質・脂質ともに少ないですが、食物繊維はやや多め。
総じて茹でた山東菜の方が、水分が抜けかさが減るため栄養価が高いという結果になりました。
<ビタミン>の栄養価を比較
生・茹でた山東菜に含まれるビタミンです。
栄養素 | 生 | 茹で |
---|---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 1200μg | 1500μg |
ビタミンB1 | 0.03mg | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.07mg | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.08mg | 0.05mg |
葉酸 | 130μg | 74μg |
ビタミンC | 35mg | 22mg |
ビタミンD | 0μg | 0μg |
ビタミンE | 0.8mg | 0.9mg |
山東菜は100gあたり1200μgのβカロテンを含むため『緑黄色野菜』です。
※緑黄色野菜とは100gあたり600μg以上のβカロテンを含む野菜、600μg未満の場合は淡色野菜に分類されます。
色が白っぽいため淡色野菜らしいですが、実はしっかり緑黄色野菜なのですね。
βカロテンは脂溶性なので、油炒めやオイルドレッシングと和えて食べると吸収率がアップします。
また、生の場合は100gあたり130μgと葉酸が多く含まれているのも特徴。
葉酸は水溶性ビタミンなので、茹でると失われてしまいます。
そのため、葉酸を効率的に摂取したい場合は、山東菜を生のままで食べるのがオススメです。
<ミネラル>の栄養価を比較
生・茹でた山東菜に含まれるミネラルです。
栄養素 | 生 | 茹で |
---|---|---|
ナトリウム | 9mg | 9mg |
カリウム | 360mg | 240mg |
カルシウム | 140mg | 130mg |
マグネシウム | 14mg | 13mg |
リン | 27mg | 30mg |
鉄 | 0.7mg | 0.6mg |
山東菜はナトリウムの排出や利尿作用があり、むくみ解消に効果的なカリウムが豊富に含まれるのが特徴。
※ただ、カリウムは他の葉物野菜にも多く含まれる栄養素で、他の食材と合わせ不足することは少ないとされています。
そんな山東菜のミネラルのうち豊富なのは『カルシウム』。
100gあたり生の場合で140mg、茹でても130mgというのは、牛乳100gあたりの110mgよりも豊富な量!
骨や歯のもととなるカルシウムは成長期のお子さんや高齢者の方には欠かせない栄養素です。
比較的、量が摂りやすい山東菜はカルシウムの効率的な摂取にピッタリと言えますね。
【まとめ】山東菜の基本
- 山東菜はアブラナ科アブラナ属の野菜
- 白菜の一種で、根元の部分だけ密着している半結球性白菜
- 中国・山東省が原産
- 日本では主に埼玉県で栽培されている
- 山東菜漬けという漬け物が有名
- 生でも食べられる
- 緑黄色野菜で食物繊維やカルシウムが豊富
ここまで、山東菜についてまとめました。
何となく名前は知っていたものの、白菜の仲間だったとは!?意外でした。
白菜のように食べられると知ると、使い勝手が広がりますね。
山東菜、見かけたらぜひ食べてみてくださいね♪