昆布出汁と鰹出汁を合わせた出汁、それが「合わせ出汁」です。
合わせ出汁の取り方と、なぜ昆布出汁と鰹出汁を合わせるのか?合わせると何が良いのか?について、まとめてみました。

昆布出汁・鰹出汁は単体でも十分美味しい出汁なのに、どうして合わせるんだろう?
昆布出汁・鰹出汁の取り方をまとめたページは↓
合わせ出汁の取り方
合わせ出汁の取り方をまとめます。

まずは、材料と分量です。
合わせだし約500mlの分量となります。
材料 | 分量 |
---|---|
昆布 | 8~10g |
鰹節(薄削り) | 10~15g |
水 | 600ml |
分量はあくまでも目安なので、お好みで増やしたり減らしたり調節してみてください。
また、調理用具として鍋、布巾orキッチンペーパー、ザル、ボウルを用意します。
布巾orキッチンペーパー、ザル、ボウルは出汁を漉すために使用します。
あらかじめボウル ⇒ ザル ⇒ 布巾orキッチンペーパーの順に重ねておくと便利です。
続いては工程をまとめます。
- 鍋に水と軽く拭いた昆布を入れる
- そのまま1時間ほど浸けておく
- 鍋を弱火にかける
- 沸騰する直前に昆布を取り出す
- 昆布を入れたまま沸騰させると水がネバネバになるので注意
- 昆布抜きの水が沸騰したら火を止め、鰹節を入れる
- 鰹節が鍋底に沈んだら(2~3分)、布巾orキッチンペーパーの上から鍋の中身をボウルに注ぐ
- 鰹節には触らず、自然に出汁を切る
- 鰹節をギュウッと押したり、搾ったりするとえぐみが出てしまうのでNG
これで鰹と昆布の合わせ出汁は完成です。
昆布を浸す時間、沸騰にかかる時間が長いので、出汁を取るのに1時間15分ほどかかります。
料理に使いたいときは、時間に余裕を持って作り始めることが重要ですね。
自家製合わせ出汁の保存について
手作りした合わせ出汁はよく冷ましてから容器に入れれば、冷蔵庫で2日ほど保存できます。
ただ、保存には向いていないので、できるだけ早く使い切ることがオススメです。
どうしても使い切れない・・・、という場合は冷凍保存もOK。
冷凍の場合は
- タッパー
- チャックつき保存袋
- 製氷機
など色々な容器で保存できますが、風味が落ちるのでいずれも3週間以内に使い切るのがオススメです。
なぜ「合わせ出汁」にすると良い?
昆布と鰹の合わせ出汁のメリットはうま味の相乗効果が得られることです。

うま味には、違う種類が組み合わさることにより、単体よりも強く感じられるという特徴があります。
組み合わせ方にもよりますが、組み合わせによるうま味の感じ方は単体の約7~8倍に相当することも!

うま味×うま味は足し算ではなく「かけ算」のように強くなります。
合わせ出汁のうち、昆布出汁はアミノ酸系の『グルタミン酸』、鰹出汁は核酸系の『イノシン酸』といううま味成分を持ちます。
アミノ酸系・核酸系という別々のうま味成分が合わさることで、合わせ出汁は「うま味の相乗効果」が得られるのですね。
そんな「うま味の相乗効果」を求めるため、市販のめんつゆ製品はほとんどが昆布と鰹の合わせ出汁となっています。
ちなみに、グルタミン酸とイノシン酸のうま味がもっとも強く感じられるのは、それぞれの濃さが1:1、つまり同じ濃さのときと言われています。
ただ、同じ濃さと言われても、家弟で同じ濃さにするのは限度があります・・・。
レシピを参考に、自分が一番美味しいと思う配分を追求するしかなさそうですね。
洋食・中華でもうま味は応用できる
合わせ出汁は日本の和食文化ですが、洋食・中華料理でも実はうま味の相乗効果が活用されてきました。
まず洋食では、にんじん・玉ねぎ・セロリなどのグルタミン酸と、牛肉のイノシン酸を組み合わせた「スープストック(ブイヨン)」が有名。
そして中華料理では、長ネギ・生姜などのグルタミン酸と、鶏肉などのイノシン酸を組み合わせた「湯(タン)」があります。
スープストックや湯は合わせ出汁と比べると複雑な味わいなのが特徴。
これは和食が引き算の料理であるのとは逆に、洋食・中華料理が足し算の料理であることの表れとも言えますね。
もう1つのうま味成分について
三大うま味成分のうち、アミノ酸系のグルタミン酸・核酸系のイノシン酸はご紹介しました。
そして、残りのもう1つのうま味成分として有名なのは核酸系のグアニル酸です。
グアニル酸は干し椎茸などキノコ類に多く含まれるうま味成分。
イノシン酸と同じように、グアニル酸はグルタミン酸との組み合わせでうま味の相乗効果が得られます。
「アミノ酸系×核酸系」の組み合わせでうま味の相乗効果が生まれるのですね。
ただし「核酸系×核酸系」の組み合わせとなるイノシン酸×グアニル酸では相乗効果が生まれません。
あくまで別のうま味成分同士の組み合わせが○ということですね。
三大うま味成分が多く含まれる食品
グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸が多く含まれる食品をそれぞれまとめてみました。
グルタミン酸が多く含まれる食品
- 昆布
- のり
- 緑茶
- 野菜
- トマト(ドライトマト)
- いも類
- 豆類
- キノコ類
- チーズ
- 発酵食品
グルタミン酸はあらゆる食品に多少なりとも含まれるうま味成分です。
特にチーズを含めた発酵食品に多く含まれます。
イノシン酸が多く含まれる食品
- のり
- 魚介類
- 煮干し
- 鰹節
- 肉類
イノシン酸は魚介類・肉類などたんぱく質を多い食品に含まれます。
グアニル酸が多く含まれる食品
- のり
- 干し椎茸(乾燥キノコ)
- マッシュルーム(加熱)
グアニル酸は主に乾燥したキノコに含まれます。
特に干し椎茸にはグルタミン酸も含まれるので、食品1つでグルタミン酸とグアニル酸の相乗効果が得られるうま味の宝庫!
出汁として活用される頻度が高いのも納得ですね。