日本の夏といえば「麦茶」。
さっぱりとしていて、どんな料理にも合う麦茶は、作るのも簡単でリーズナブルな庶民の味方です。
そんな麦茶ですが、そもそもどんな飲み物なのか意外と知りませんよね?
また、麦茶=ミネラルが豊富のイメージはありませんか?
この「麦茶はミネラルが豊富」というイメージは本当なのか、とともに麦茶の基本もおさらいしましょう!
【基本】麦茶とは
麦茶とは大麦の種子を煮出し・水出しして作った飲み物のことです。
夏と言えば冷たい麦茶!というご家庭も多いはず。
ちなみに我が家では1年を通して麦茶を常備しています。夏は冷たく、冬はホットで飲んでいます。
麦茶の「麦」とは?
麦茶の「麦」は大麦(オオムギ)です。
大麦とはイネ科の穀物で、ムギの一種。
大麦は麦茶の他にビールの原料として有名ですね。
パンやお菓子の原料として使われる小麦と比べ、低温・乾燥に強く育てやすいという特徴があります。
大麦の方が育てやすく使いやすいことから、優れたものを表す「大」の字が当てられたとのこと。
大麦の方が小麦よりも大きな麦というわけではありません。
ちなみに、英語では大麦はbarley、小麦はWheatと全く違う名前で呼ばれます。
東アジアでは同じ「麦」の仲間でも、ヨーロッパ圏では別の植物という認識なのですね。
麦茶ではこの大麦の種子を殻付きのまま焙煎して煮出しor水出ししてお茶にします。
麦茶は実は「お茶」ではない?
麦茶は麦「茶」とお茶の字が使われていますが、狭い意味ではお茶には含まれません。
そもそも「お茶」とは『チャノキ(茶樹)の葉・茎から作られる飲み物』のこと。
チャノキとは、いわゆる緑茶になる茶葉を摘み取る木。
お茶という飲み物は、主にこのチャノキから摘み取られた茶葉から作られる飲み物を指す言葉です。
けれども、広い意味では、麦茶などチャノキ以外の植物などから作られる飲み物も「茶外茶(ちゃがいちゃ)」としてお茶に含む場合があります。
この場合チャノキを使用するお茶は「茶葉茶」とも呼ばれます。
また、狭い意味ではお茶ではないため麦茶は「麦湯(むぎゆ)」と呼ばれることもあります。
麦湯という名前は平安時代ごろから日本で使われていた名前でもあります。麦をお湯で煮出した飲み物なら「麦湯」という名前の方が自然な気がしますね。
麦茶は『ミネラルが豊富』って本当?
麦茶には『ミネラルが豊富』というイメージがありますよね?
たしかに麦茶はミネラルを含む飲み物です。
しかし、普通の麦茶に含まれるミネラルはごく少量。
日本食品標準成分表2020年(八訂版)によると、麦茶に含まれるミネラル類は↓のようになります。
栄養成分 | 麦茶100gの含有量 |
ナトリウム | 1mg |
カリウム | 6mg |
カルシウム | 2mg |
マグネシウム | 0 |
リン | 1mg |
亜鉛 | 0.1mg |
たしかにミネラル量は微々たるものかも・・・。
「麦茶=ミネラルが豊富」は正しいとは言えませんね。
しかし、この数値は「普通の麦茶」に含まれるミネラルの量です。
麦茶の中にはミネラルを豊富に含むことを売りにしている『ミネラル入り麦茶』という麦茶もあります。
5大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラル)の1つで、身体の健康を維持するために欠かせない栄養素の総称。
不足すると身体の不調を引き起こす。
人体からは作り出せないため、食事から意識的に摂取する必要がある。
ミネラル入り麦茶とは?
ミネラル入り麦茶とは、その名の通りミネラルを通常よりも豊富に含んだ麦茶飲料のこと。
有名なミネラル入り麦茶としては伊藤園「健康ミネラル麦茶」があります。
商品名に堂々と『ミネラル』と書かれているだけあり、伊藤園「健康ミネラル麦茶」のミネラル含有量は普通の麦茶と異なります。
伊藤園「健康ミネラル麦茶」PET 600mlのミネラル含有量は↓となります。
栄養成分 | 麦茶600gあたりの含有量 | 麦茶100gの含有量 |
ナトリウム | 数値なし | 数値なし |
カリウム | 72mg | 12mg |
カルシウム | 数値なし | 数値なし |
マグネシウム | 3mg | 0.5mg |
リン | 8mg | 約1.33mg |
亜鉛 | 0~0.06mg | 0~0.01mg |
特筆すべきはカリウムの量でしょう。
普通の麦茶は100gあたり6mgでしたが、伊藤園「健康ミネラル麦茶」は倍の12mgとなっています。
また、マグネシウム・リンは微増。
しかし反対に亜鉛は減少、ナトリウム・カルシウムは数値が記載されていません。
ただ、伊藤園のHPには『健康ミネラルむぎ茶のミネラルとは、リン・マンガン・ナトリウムのことです。』と記載されていました。
マンガンの数値は0~0.06mgです。
そのうち少なくともリンは普通の麦茶よりも多く含まれていますが、その他のミネラルに関しては微妙ですね。
「水分補給=ミネラル」はなぜ?
水分補給にミネラル入り麦茶がオススメなのは水分の吸収スピードを上げるためです。
水分は体内のうち主に大腸で吸収されます。
しかし、水分が大腸に到達するまでにはかかる時間は数時間。
元気なときならともかく、脱水症状になりかけているときなど、素早く水分補給したいときにはちょっと困る長さです。
また、脱水症状などを引き起こすと大腸が正常に働いてくれない恐れも。
時間がかかる&働かないという大腸の悪循環・・・。
そんな時、役に立つのが小腸です。
小腸は栄養素を吸収する身体の器官ですが、ミネラルが溶け込んでいれば水分ごと吸収してくれるという働きも持ちます。
つまりミネラルが溶け込んでいる麦茶なら、大腸に到達するよりも早い小腸から水分補給ができるため効率が良いということです。
ただの水よりも、ミネラルを含んだ麦茶の方が素早く水分補給ができるのですね。
また、この小腸の働きをフル活用しているのが脱水症状の治療として飲まれる経口補水液です。
<まとめ>麦茶の基本&ミネラル
- 麦茶は大麦の種子を水出し・煮出しして作る飲料
- 茶葉から淹れるお茶ではないため「茶外茶」とも呼ばれる
- 麦茶はミネラルが少量含まれる
- 通常よりミネラルが豊富に含まれるミネラル入り麦茶がある
麦茶、というくらいなので麦から作られているだろうとは思っていましたが、ビールと同じ大麦から作られているのは意外でした。
また、ミネラルが思っていたほど豊富ではないことも若干衝撃です。
しかし、麦茶はただの水を飲むよりも水分補給に向いているのは事実。
麦茶をこまめに飲むことで、夏の暑さに負けないようがんばりましょう。
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