夏の時期にそうめん・ひやむぎに入れて食べると美味しいみょうが(茗荷)。
日本では古くから親しまれている香味野菜みょうがですが、意外と気にかけたことがないのも事実。
そこで、今回はみょうがの基本についてあれこれ調べてみました!
あのみょうがの独特の香りには嬉しい効果が満載だった?などなど、みょうがの栄養についてもまとめています。
みょうがは○○の仲間だった
みょうがはショウガ科ショウガ属の多年草です。
つまり、みょうがは生姜の仲間になります。
ショウガ科にはみょうが・生姜と同様に香味野菜が多く含まれていて、
- ウコン
- カルダモン
などスパイスとして利用されている種もあります。
また、ショウガ科には「ハナミョウガ属」という分類もありますが、このハナミョウガ属とミョウガは無関係です。
ハナミョウガ属には主に観賞用のお花が含まれています。
みょうがは○○の部分を食べている
わたしたちが普段食べているみょうがの部分は花。
正確に言うとみょうがの花穂の部分となります。
言われて見れば、みょうがはお花っぽいですよね。
また、盛り土をして茎を長く伸ばした若芽の部分もよく食べられます。
みょうがの名前の由来
みょうがの名前の由来は、
- 大陸の名前が転じた
- お釈迦様の説話
という2つの説があります。
【名前の由来1】大陸の名前が転じた
みょうがはかつてアジア大陸(おそらく中国)から持ち込まれた野菜と言われています。
持ち込まれた時期がいつなのかは不明ですが、文献に記述が残っているため江戸時代には日本にあったとされています。
そんなみょうがが日本にやってきたとき、いっしょに持ち込まれたのが生姜でした。
日本人はみょうがと生姜を区別するため、
- 香りが強い方→兄香(せのか)
- 香りが弱い方→妹香(めのか)
という名前を付けたとのこと。
その名前が時代とともに転じ、
- 兄香(せのか)→生姜(しょうが)
- 妹香(めのが)→みょうが
となったというのが第一の説です。
何となく、みょうがの方が香りが強そうな気がしますが、昔は生姜の方が香っていたのでしょうか?
それはさておき、この名前が転じて今のようになったという説が最も有力とされています。
【名前の由来2】お釈迦様の説話
みょうがは漢字で書くと「茗荷」となります。
この「茗荷」という漢字にまつわるある言い伝えが名前の由来2つ目の説とされています。
その言い伝えはお釈迦様にまつわるもの。つまり、仏陀ですね。
お釈迦様の弟子の1人に周利槃特(しゅりはんどく) という人物がいました。
この周利槃特は自分の名前すら忘れてしまうほど物覚えが悪い人物でした。
見かねたお釈迦様は周利槃特に名前の書かれた旗を持たせ、名前を忘れないようにさせました。
それでも彼は自分の名前が覚えられなかったとのこと。
そんな周利槃特が亡くなった後、埋葬された墓土には見たことがない植物が生えてきました。
よって、見たことのないその植物に「名前」を「荷う」という意味からから茗荷と名付けたと言われています。
※ただし「荷」という漢字は、植物に使う場合は地下茎という意味を表します。
「みょうが=忘れっぽくなる」の俗説は?
みょうがには「食べるともの忘れがひどくなる」といった俗説があります。
わたしは聞いたことがなかったのですが、落語の話にもなるくらい有名な説のようです。
しかし、これはただの迷信!
前述した名前の由来「物覚えが悪い人物の墓に生えていた植物だった」という説から派生しただけのものでした。
別にみょうがを食べても物覚えが悪くなることはありません。
むしろ、みょうがの香り成分には集中力を増す効果があるという研究結果があります。
あの独特のさわやかな香りは、勉強するときに嗅ぐと逆に効果的かもしれませんね。
みょうがを食べるのは日本人だけ?
日本では薬味として夏に重宝されるみょうが。
風味が独特なので苦手な方も多いですが、わたしは好きです。
そんなみょうがを食べるのはほぼ日本人だけと言われています。
中国が原産とされ、日本や朝鮮半島にも自生しているみょうがですが、ここまで積極的に食べているのは日本だけなのだとか。
中国でも食べる地域は一部あるようですが、主に漢方薬として使用されているとのことです。
たしかに、言われてみればみょうがを使った料理は、そうめん・ひやむぎや冷や奴の薬味といった和食のみな気がします・・・。
あの美味しさを知らないなんて少しもったいない気がしますね。
みょうがの栄養
みょうがは夏を中心に旬を迎える夏野菜です。
そのため、夏に嬉しい栄養を豊富に含んでいるのも1つの特徴だったりします。
そんなみょうがの栄養を表にまとめてみました。
栄養成分名 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 12kcal |
炭水化物 | 2.6g |
食物繊維 | 2.1g |
たんぱく質 | 0.9g |
脂質 | 0.1g |
水分 | 95.6g |
基礎的な栄養成分においてみょうがに特筆すべき部分はありません。
ただ食物繊維は豊富に含まれています。
カリウムが豊富なので夏にピッタリ
みょうがにはカリウムが比較的多く含まれます。
その含有量は100gあたり210mg。
カリウムには、
- ナトリウムの排せつをサポート
- 利尿作用
- デトックス効果
があるので、高血圧予防やむくみ解消に効果が期待できます。
また、利尿作用には尿といっしょに身体の熱さを出してくれるというはたらきもあるので、ほてった身体を冷やしやすくする効果も。
不足すると熱中症になりやすい成分でもあるので、夏は特に意識的に摂りたい栄養成分ですね。
みょうがの香り成分とは
みょうがのあの香りはα-ピネン類と呼ばれる香り成分によるものです。
「みょうがの名前の由来」でもご紹介しましたが、みょうがの香りには集中力をアップさせるはたらきもあります。
さらに、森林浴のようなリラックス効果も期待できます。
これはα-ピネンが樹木が発する森林揮発性物質の一部だからです。
森の中で深呼吸しているのと同じような効果が得られるなんて面白いですね。
また、みょうがの香りをより引き出すなら横に切るのがオススメ。
みょうがは縦に繊維が通っているので、繊維を断ちきるように横に切れば香りを感じやすくなります。
反対に、香りを立たせたくないという場合は、繊維に沿って縦に切るのが良いでしょう。
まとめ
- みょうがはショウガ科ショウガ属で生姜の仲間
- 普段食べている部分は花穂
- 名前の由来は「妹香(めのか)」が転じたorお釈迦様の弟子からという2つの説がある
- 『みょうがを食べるともの忘れをする」は迷信
- みょうがにはカリウムが多く含まれる
- 香り成分・α-ピネンには森林浴と同じようなストレス緩和・集中力アップなどの効果がある
夏に旬を迎える香味野菜・みょうがの基本を調べてみました。
調べると、みょうがのことを全然知らなかったのだなと愕然とした次第です。
香り成分に嬉しい効果がたくさんあるとのことなので、これからはもっと香りを楽しもうと思います。