生で食べられ、サラダなどでも大活躍の野菜「水菜(みずな)」。
もちろん水菜は茹でても食べられますが、生食と比べて栄養価はどのように変わるでしょうか?
そんな水菜の生・茹での栄養価を比較するとともに、水菜の美味しい茹でたかのコツをまとめました。
水菜の生・茹での栄養を比較
水菜の『生』・『茹で』の100gあたりの栄養価を比較します。
- 水菜・生:野菜類/みずな/葉/生
- 水菜:茹で:野菜類/みずな/葉/ゆで
<基本>の栄養価を比較
生・茹で水菜100gあたりの基本の栄養価です。
栄養素 | 水菜・生 | 水菜・茹で |
---|---|---|
エネルギー | 23kcal | 21kcal |
水分 | 91.4g | 91.8g |
たんぱく質 | 2.2g | 2.0g |
脂質 | 0.1g | 0.1g |
炭水化物 | 4.8g | 4.7g |
食物繊維 | 3.0g | 3.6g |
一般的に、葉物野菜は茹でると水分が抜けることでかさが減る、とされています。
しかし、水菜の水分量を確認すると、生水菜では91.4gだったのに対し、茹で水菜は91.8gと、わずかながら水分が増えていることが分かります。
さらに水分が増えたことにより、たんぱく質や炭水化物は量が微減しました。
一方で増えているのが『食物繊維』。
生水菜は3.0gだったのに対し、茹で水菜は3.6gと増加!
そんな水菜の食物繊維の内訳を表にすると↓のようになります。
水菜・生 | 水菜・茹で | |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | 0.6g | 0.8g |
不溶性食物繊維 | 2.4g | 2.8g |
食物繊維・総量 | 3.0g | 3.6g |
水溶性食物繊維・不溶性食物繊維ともに生水菜よりも茹で水菜の方が多い(増えている)という結果になりました。
水に溶けにくい不溶性食物繊維が増えているのは予想通りですが、水に溶けやすい水溶性食物繊維も増えているのは予想外でした。
水菜は他の葉物野菜と比べても食物繊維が豊富。
※同じアブラナ科アブラナ属の『白菜(生)』は2.2g、また『小松菜(生)』は1.9gとなります。
また、水菜の食物繊維のうち約80%が不溶性食物繊維(生は80%、茹では約78%)というのもポイントです。
便秘の予防や解消に効果的な不溶性食物繊維を効率良く摂るなら『茹でた水菜』がオススメですね。
<ビタミン>の栄養価を比較
生・茹で水菜100gあたりに含まれるビタミンです。
栄養素 | 水菜・生 | 水菜・茹で |
---|---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 1300μg | 1700μg |
ビタミンB1 | 0.08mg | 0.04mg |
ビタミンB2 | 0.15mg | 0.08mg |
ビタミンB6 | 0.18mg | 0.10mg |
葉酸 | 140μg | 90μg |
ビタミンC | 55mg | 19mg |
ビタミンD | 0μg | 0μg |
ビタミンE | 1.9mg | 1.4mg |
ビタミンには水に溶けやすい『水溶性ビタミン』と、水に溶けにくい代わりに油に溶ける『脂溶性ビタミン』の2種類があります。
このうち水溶性ビタミンである『ビタミンB群(B1・B2・B6・葉酸)』と『ビタミンC』は茹でるとその数値がほぼ半減していることが分かりますね。
また、脂溶性ビタミンである『βカロテン』は増加。
しかし同じく脂溶性ビタミンの『ビタミンE』は減少していました。
生の水菜にはビタミンがバランス良く、また豊富に含まれています。
ビタミンにはそれぞれ
- ビタミンB1・B2・B6:補酵素として、酵素の働きをサポート
- 葉酸:赤血球の生成、DNAの合成
- ビタミンC:抗酸化作用、美肌効果
- ビタミンE:高い抗酸化作用
といった働きが期待できるので、ビタミン補給を重視するならより豊富な『生の水菜』がオススメです。
<ミネラル>の栄養価を比較
生・茹で水菜100gあたりに含まれるミネラルです。
栄養素 | 水菜・生 | 水菜・茹で |
---|---|---|
ナトリウム | 36mg | 28mg |
カリウム | 480mg | 370mg |
カルシウム | 210mg | 200mg |
マグネシウム | 31mg | 25mg |
リン | 64mg | 64mg |
鉄 | 2.1mg | 2.0mg |
ミネラルのうち『カリウム』は水溶性なので茹でると減少します。
そのほかの栄養素もほとんどがわずかに減少していますね。
けれども、水菜は生でも茹でてもミネラルが多く含まれる野菜。
特に、骨や歯のもととなる『カルシウム』や、造血作用があり貧血予防になる『鉄』は生でも茹でても豊富です。
ミネラルを重視するなら、生でも茹でてもどちらでも気にしなくてOKでしょう。
水菜を茹でるメリット・デメリット
水菜を茹でるメリットとデメリットを紹介します。
水菜を茹でるメリット
まずは水菜を茹でるメリットです。
かさが減り、量を食べやすくなる
メリット1つ目は『水菜のかさが減ること』。
水菜のかさが減ることにより、量を食べやすくなることです。
水菜は市販の1袋あたり約200g。
生の水菜サラダは100gほどで大人2~3人分の量となります。
食費の節約には良いですが、水菜はあまり長持ちしないので、極力早く食べきった方が良いのも事実。
その分、茹でた水菜ならかさが半分ほどになるので1袋を1回で食べ切れ、栄養もしっかり摂れます。
献立のバランスを見て、栄養が少し足りないと感じたら、水菜を茹でて多く消費できるようにしてみましょう。
苦味・香りが和らぐ
メリット2つ目は『苦味・香りが和らぐ』です。
水菜には独特の苦味やピリッとした辛味、さらに香りにクセがあります。
この水菜の風味は、水菜の良さですが、お子さんなど苦手な方が多いのも事実でしょう。
苦味や辛味、香りのクセは水菜を茹でると和らぎ、食べやすくなります。
また、水菜の味が苦手な場合は、マヨネーズやドレッシングなど風味が強い味付けをするのもオススメ。
カルシウムが豊富なので、特に成長期のお子さんには食べさせたい野菜である水菜。
お子さんが苦手な場合は茹でて、味付けを濃いめにするなど工夫してみましょう。
水菜を茹でるデメリット
水菜を茹でるデメリットは『食感が損なわれること』。
水菜のあのシャキシャキ食感は、茹でればほぼなくなってしまいます。
生食できる野菜は多くないため、あのフレッシュな食感は貴重ですよね。
そんな水菜の食感を損なわない、また栄養も損ないにくい茹で方を次の項でまとめていきます。
栄養・食感を損なわない水菜の茹で方
ここからは栄養・食感を損なわない水菜の茹で方をまとめます。
茹で時間は10秒ほどでOK
水菜の茹で時間は10秒ほどでOK。
シャキシャキ食感が魅力で生でも食べられる水菜は長く茹でる必要はありません。
長時間茹でると、食感どころか食べられる部分すらほとんどなくなるので注意が必要です。
また、茹でる時間が長ければ長いほど水溶性の栄養素が流出してしまうため、茹で時間は短い方がオススメです。
水菜は白い茎の方からお湯に浸け、徐々に緑色の葉の部分を沈めていくように茹でます。
時間の目安としては、茎が5秒、葉を入れてから5秒といったところ。
他の野菜と煮込む煮物に加える場合は、火を止める直前or火を止めてから加えるのでOK。
食感を損なわないために加熱時間は短めを心がけましょう。
茹でた後は冷水に取る
水菜を茹でた後は素早く冷水に取ります。
ザルに取って冷ますと、余熱でどんどん火が通ってしまうためNG!
水に取って冷ました後は、ザルにあげ、手でよく水を切ればサラダやお浸しなどに活用できます。
茹でるときと同様に、冷水に長時間さらしておくと水溶性の栄養素が流れていってしまいます。
できるだけ水にさらす時間は短めに。
全体的に手早く作業を行うことがポイントですね。
【まとめ】生・茹でた水菜の善し悪しとは?
- 生の水菜はビタミンがそのまま残る
- 茹でた水菜は食物繊維が増える
- カルシウム・鉄分は生で茹でてもほとんど変化がない
- 茹でるメリットはかさが減ること、独特の風味が和らぐこと
- 栄養・食感を損なわないためには茹で時間は10秒ほどに留める
ここまで、生の水菜と茹でた水菜の違いについてまとめました。
もともと栄養価が高い水菜ですが、生のままでも茹でても栄養価が大きくは変わらないのも1つの魅力です。
生なら水菜特有の風味を、茹でれば風味が抜けるので食べやすくなります。
お好みに合わせて水菜の調理法を選んでみてくださいね。