お手頃価格でクセがなく使いやすい、家庭で重宝されている青菜・小松菜。
そんな小松菜は『発祥が東京』であるという噂があります。
この『小松菜=東京生まれ』という噂は本当なのか、生まれた時期と場所を調べてみました。
さらに小松菜の名付け親はあの歴史上の人物!?
小松菜の名前の由来をはじめ、分類や旬など小松菜の基本をまとめてみました。
小松菜の発祥時期・土地
小松菜は江戸時代初期に江戸、現在の東京で栽培がスタートした野菜です。
江戸時代の初めに、アブラナ科の茎立ち(ククタチ)を品種改良したものが始まりと言われます。
この茎立ちはカブナの仲間で、食べられるのは葉の部分。
現在でも福島・会津地方で栽培されています。
江戸時代の初めとは1600年代前半頃でしょう。野菜の中では歴史が浅いといえますね。
小松菜の名前の由来
小松菜は江戸幕府8代将軍・徳川吉宗によって付けられた名前と言われています。
徳川吉宗って暴れん坊将軍だよね?そんなに有名な人が名付けたんだ!
吉宗が『小松菜』と名付けた理由は、小松菜が小松川地区(現在の江戸川区)で栽培されていたから。
その名付けの逸話はこんな感じです。
1719年、鷹狩りのため西小松川を訪れたとき、休憩のため近くにあった香取神社に立ち寄りました。
香取神社では吉宗をもてなすため餅入りのすまし汁、つまりお雑煮を出すことに。
しかし、たいした食材がなく、あり合わせで選ばれたのが小松川地区で栽培されていた彩りが良い青菜でした。
吉宗はその青菜を気に入り、地区の名前にちなんで『小松菜』と名付けたとのこと。
将軍から名前を授かる、というのはおそらくとても名誉なことだったのでしょう。
この名付け以来、香取神社では祭事では必ず神前に小松菜を供えるようになりました。
また、名付けた人物は5代将軍徳川綱吉である、という説もあります。
ただし、吉宗の名付けの舞台となった香取神社がHPで逸話を紹介しているので、名付け親は吉宗の方が有力説だと思われます。
小松菜発祥の地とされる江戸川区は現在も小松菜の一大産地。
江戸川区の野菜の作付延べ面積上位品目ではダントツの1位、東京都内の小松菜生産量でも全体の約40%を占め1位を獲得しています。
※参考 江戸川区「江戸川区の農業データ」
「葛西菜→小松菜」という説も
小松菜には吉宗が名付け親という説の他に「葛西菜から改名して小松菜になった」という説もあります。
葛西とは東京の地名で、江戸川区の南部を指す言葉。
葛西で作られていた青菜なので『葛西菜』というわけですね。
この葛西菜の品種改良により生まれたのが小松菜、という名前の由来もあるようです。
そのまま葛西菜でも良いのでは?と思いますが、江戸時代の人たちにとって『葛西』という名前は肥料にするために糞尿を運んでいた葛西船のイメージが強かったらしいのです。
この『葛西=糞尿を運ぶ船』というイメージを払拭すべく、おめでたい『松』を入れた小松菜という名前に変えたというのがもう一つの説です。
ただし、この説にはそこまで信憑性がないようです。
小松菜の別名
小松菜には「冬菜」や「鶯菜(うぐいすな)」という別名があります。
冬菜(ふゆな)
冬菜とは冬に栽培・収穫されるアブラナ科野菜の総称です。
小松菜は冬が旬のアブラナ科野菜の代表格。
そのため冬菜=小松菜と見なされることが多いようです。
鶯菜(うぐいすな)
小松菜の別名である鶯菜ですが、かぶの仲間である京野菜のイメージが一般的です。
しかし『小松菜の別名』と『かぶの仲間の京野菜』である鶯菜は別の野菜です。
『かぶの仲間の京野菜』である鶯菜は、小松菜とよく似た葉を持ち、根元の部分に小さな豆ほどの大きさのかぶが付いています。
ウグイスのさえずりが聞こえる頃に収穫されるため鶯菜という美しい名前が付けられたとのこと。
ぜひとも食べてみたい!と思いましたが、鶯菜は大変希少な野菜です。
ほとんどが高級料亭などに提供されてしまうため、一般的なスーパーなどではまずお目にかかれない野菜とのことでした。
小松菜の分類
小松菜はアブラナ科アブラナ属の野菜です。
また、そのアブラナ科の中でも結球しない(玉のように葉が丸まらない)ツケナ類に属します。
アブラナ科のツケナ類は他にチンゲン菜や野沢菜などがあります。
同じアブラナ科アブラナ属の野菜とは?
アブラナ科に分類される野菜は多く、特に小松菜と同じアブラナ属には
- キャベツ
- かぶ
- ブロッコリー
- 水菜
- チンゲン菜
などがあります。
小松菜の発祥時期・土地にて小松菜は茎立ちというカブナの一種を品種改良して生まれた、と説明しましたが、たしかに「かぶ」と近い野菜なのですね。
また、キャベツやブロッコリーとも近いというのは意外です。
よく似たイメージの野菜にほうれん草がありますが、ほうれん草とは分類上は遠い野菜なのですね。
小松菜の旬
小松菜の旬は冬です。
一年中、普通に店頭で見かけますが、本来の旬は12~3月頃までの寒い季節となります。
しかし栽培適温は10~25℃と、寒くても暖かくてもOKだったりします。
一年を通して栽培が可能で、暑い夏の時期は種まきから30日弱で収穫できる育てやすさも魅力です。
※寒い季節は種まきから収穫までに4カ月弱はかかります。
ただ、気温が低い方が寒さに耐えるために葉を厚く、さらに甘み・栄養を蓄えるようになるのでおいしく育つのがポイント。
この寒さでおいしさを増すのはほうれん草と同じですね。
【まとめ】小松菜について
- 小松菜は江戸時代初期に、現在の江戸川区で栽培は始まった野菜
- 小松菜という名前は徳川吉宗が付けたという説が有力
- 小松菜はキャベツやかぶと同じアブラナ科アブラナ属の野菜
- 小松菜の旬は冬
- 通年栽培されるが、冬の寒さでおいしさを増す
ここまで小松菜の発祥から名前の由来、分類、旬の時期についてまとめてみました。
東京生まれの野菜というのは、なかなか衝撃的な事実ですよね。
リーズナブルで使いやすい小松菜に親しみを込め、これからも食卓で活躍してもらいたいですね。