一見普通の葉っぱのようですが切るとネバネバな野菜「モロヘイヤ」。
そんなモロヘイヤは高すぎる栄養価から「野菜の王様」と言われています。
モロヘイヤは本当にそこまで栄養価が高いのでしょうか?
気になったので、モロヘイヤの栄養価の高さを他の野菜と比較し検証してみました!
各栄養素の効率的な摂り方も合わせてご紹介します。
モロヘイヤ100gはどのくらい?
モロヘイヤ100gはおよそ市販のモロヘイヤ1袋に相当します。
もちろんスーパーなどによって細かな量は異なりますが、大体、袋1つ分でモロヘイヤ100gとなります。
モロヘイヤが1袋・100gもあれば4人分のみそ汁を作っていけば3~4日食べられます。(実体験)
また、おひたしにすれば1袋で4~5人分です。
そう考えるとモロヘイヤ100gはけっこうな量がありますね。
モロヘイヤ100gあたりの栄養価
モロヘイヤ100gあたりの栄養価を表にしてまとめます。
ここから記載の栄養価は「茹でたモロヘイヤ」となります。
<基本>モロヘイヤの栄養価
茹でたモロヘイヤ100gの基本の栄養価です。
栄養素 | モロヘイヤ |
---|---|
エネルギー | 24kcal |
水分 | 91.3g |
たんぱく質 | 3.0g |
脂質 | 0.4g |
炭水化物 | 4.0g |
食物繊維 | 3.5g |
モロヘイヤは100gあたり3.5gもの食物繊維が含まれる、食物繊維が多く含まれている野菜です。
そんなモロヘイヤの豊富な食物繊維3.5gのうち、水溶性食物繊維は0.8g、不溶性食物繊維は2.7gと大部分を占めるのが『不溶性食物繊維』。
不溶性食物繊維は便秘の予防・解消やデトックスに効果が期待できます。
また、水溶性食物繊維にはコレステロールの吸収を抑えたり、代謝をサポートしたりする働きがあり、さらに糖質の吸収スピードをゆっくりにして脂肪の吸収を抑える働きも期待できます。
100gあたり3.5gというのは、野菜のうち根菜と比べると多くはありませんが、葉物野菜の中では多めです。
モロヘイヤのネバネバ成分とは?
モロヘイヤと言えば、茹でて刻むとネバネバするのが特徴ですよね。
このモロヘイヤのネバネバ成分は「ムチレージ」という糖たんぱく質です。
モロヘイヤのムチレージは、そのネバネバパワーで胃の粘膜を保護。
整腸作用はもちろんのこと、糖質の吸収スピードをゆっくりにする働きもあり、さながら水溶性食物繊維のように働いてくれます。
夏バテで弱った胃腸を健やかに保つ、ネバネバは夏の健康に欠かせない成分なのですね。
ムチレージはモロヘイヤの他に、同じネバネバ野菜である『ツルムラサキ』や『オクラ』にも含まれます。
<ビタミン>モロヘイヤの栄養価
茹でたモロヘイヤ100gあたりに含まれるビタミンです。
栄養素 | モロヘイヤ |
---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 6600μg |
ビタミンB1 | 0.06mg |
ビタミンB2 | 0.13mg |
ビタミンB6 | 0.08mg |
葉酸 | 67μg |
ビタミンC | 11mg |
ビタミンD | 0μg |
ビタミンE | 3.7mg |
モロヘイヤは「βカロテン」が豊富
モロヘイヤは100gあたり6600μgのβカロテンを含みます。
100gあたり6600μgのβカロテンというのは、βカロテンが豊富な野菜・にんじんと堂々と渡り合える豊富さ!
※にんじんのβカロテン量は料理法によって異なりますが大抵が7000μg前後となります。
また、100gあたりに6600μgのβカロテンを含むモロヘイヤは緑黄色野菜であると堂々と言えますね。
βカロテンは体の中でビタミンAに変わる栄養素です。
この仕組みからプロビタミンAという別名もあります。
そんなβカロテン(ビタミンA)の働きは、
- 高い抗酸化作用
- 目の保護
- 皮膚・粘膜の細胞を正常に保つ
というもの。
高い抗酸化作用
βカロテンは、高い抗酸化作用により活性酸素の発生を抑える働きがあります。
「抗酸化」とは体の酸化を防ぐこと。
活性酸素により体が鉄のように錆び付くのを防ぐ効果、つまり老化を抑える働きです。
悪い生活習慣により体内で活性酸素が増えると、動脈硬化や心筋梗塞など生活習慣病の危険性が高まってしまいます。
生活習慣の改善とともに、抗酸化作用のあるβカロテンなどからも活性酸素を減らしていけると良いですね。
目の保護
βカロテン=ビタミンAは目の神経伝達物質になるという働きもあります。
目の働きをサポートすることにより、
- ドライアイ
- 暗順応
- 視力の低下
といった目のトラブル予防に役立ちます。
特に『薄暗いところだとものがよく見えない』という方はβカロテンを積極的に摂ることをオススメします。
皮膚・粘膜の細胞を正常に保つ
βカロテンには皮膚や粘膜の細胞の正常化をサポートする働きもあります。
これは、体の免疫力アップという働きでもあります。
皮膚や粘膜は体を覆う部分。
つまり、外からのウイルス・細菌が一番最初に触れる部分になります。
そんな皮膚・粘膜がしっかり働かなければ、体に害をなすウイルスなどがどんどん侵入しすぐに体調を崩してしまいますね。
よって、皮膚や粘膜の細胞を正常に保つことは免疫力を上げることにもつながるのですね。
さらに、皮膚・粘膜の細胞がしっかり働くということは、肌の乾燥も防いでくれるということ。
よって乾燥肌にお悩みの方も積極的に摂っていきたい栄養素と言えますね。
βカロテンを効率よく摂るには?
βカロテンは油に溶ける「脂溶性ビタミン」の一種。
そのためβカロテンは油と一緒に摂ると栄養の吸収率がアップします。
炒めものや油が入ったドレッシングなどをかけて食べると効率的に摂取できるのですね。
さらに、βカロテンは熱に強く・水に溶けにくいので、茹でても栄養が損なわれにくいのが特長。
βカロテンは料理から摂りやすい栄養素と言えますね。
<余談>摂りやすさならにんじんに軍配
モロヘイヤはβカロテンがとにかく豊富!ということが分かりましたね。
ただモロヘイヤ100g、つまり1袋を1食で摂取するのはなかなか大変ですよね。
しかし、同程度のβカロテンを含むにんじんの100gあたりの量はおよそ1/2個。
にんじん半分=モロヘイヤ1袋というβカロテン量になります。
にんじん1/2個なら、1食でペロリと食べられちゃう量だよね・・・。
したがって、意識的にβカロテンを摂りたいなら、モロヘイヤよりもにんじんの方がオススメです。
<ミネラル>モロヘイヤの栄養価
茹でたモロヘイヤ100gあたりに含まれるミネラルを比較します。
栄養素 | モロヘイヤ |
---|---|
ナトリウム | 0mg |
カリウム | 160mg |
カルシウム | 170mg |
マグネシウム | 26mg |
リン | 53mg |
鉄 | 0.6mg |
モロヘイヤは「カルシウム」が豊富!
モロヘイヤは100gあたり170mgのカルシウムを含みます。
この数値は主要な野菜の中でパセリ(290mg)に次ぐ第2位!
さらに、カルシウムが豊富なイメージが強い牛乳のカルシウム量は100gあたり100mg。
つまりモロヘイヤは牛乳の2倍以上のカルシウムを含む野菜だったりします。
牛乳よりもカルシウムが豊富なんて・・・。
また、この100gあたり170mgというモロヘイヤのカルシウム量は魚介類にも引けを取らない豊富さとなります。
- ししゃも・生干し:330mg
- 鮎:270mg
- しらす・生:220mg
- めざし:180mg
↑の魚介類と同じくらいカルシウムが含まれているなんて、モロヘイヤってスゴいですね!
ただし、魚介類の中には煮干し(2200mg)というずば抜けたカルシウム量の存在もいるので、一概には言えないですね。
そんなカルシウムには
- 体内で骨や歯を作る
- 心臓・筋肉の収縮作用を調整
という働きがあります。
体内で骨や歯を作る
カルシウムは人の体の中で骨や歯を作る栄養素です。
不足すると骨が十分に成長しなくなるため、成長期のお子さんは特に積極的に摂るべき栄養素と言えます。
さらに、カルシウム不足は骨粗しょう症などの原因に。
特に閉経後の女性は骨粗しょう症を発症しやすい体になるので、意識的にカルシウムを摂る必要があります。
大人の方でもしっかり摂るべき栄養素と言えますね。
心臓・筋肉の収縮作用を調整
カルシウムには心臓や筋肉の収縮作用を調整・サポートする働きがあります。
この心筋の調整により、神経などの興奮状態を抑える働きも持ち合わせます。
よく『ストレスがたまるのはカルシウム不足だから』という言葉を聞きませんか?
それは、カルシウムが神経に対する刺激を抑えて、興奮を少なめにしてくれるからなのですね。
カルシウムは○○と一緒に摂る
カルシウムはビタミンDと一緒に摂取すると吸収率が上がります。
そんなビタミンDは青菜・根菜といった野菜類には含まれていません。
なので、ビタミンDが含まれるきのこ・魚介類と合わせて食べる必要があります。
きのこ類は生のものよりも干してあるもの(干し椎茸など)に多く含まれます。
また、魚介類では特にしらすが豊富です。
モロヘイヤとしらすの煮浸しなどなら相性が良さそうですね。
【まとめ】モロヘイヤはかつて「王様の野菜」だった?
実は、モロヘイヤが「野菜の王様」と言われるようになったのは、かつてモロヘイヤがエジプトの王様の重病を治したとされている故事が由来です。
アラビア語で王様は「マリク」、その複数形は「ムルク」。
さらに王様の形容詞である「モロヘイヤ」に転じたとのこと。
モロヘイヤ=王様の野菜。
その高い栄養価から、王様の病気を治した野菜である、というのが由来だったのですね。
そんなモロヘイヤの栄養価についてのまとめです↓。
- 「野菜の王様」と呼ばれるモロヘイヤは本当に栄養が豊富だった
- 特にβカロテンとカルシウムが豊富で、その量は全野菜の中でもトップクラス
- βカロテンは油と、カルシウムはビタミンDを含む干しきのこ・しらすなどと一緒に食べるとより効率的に栄養が摂取できる
モロヘイヤは今回紹介したβカロテン・カルシウムの他にもビタミンC・E・Kやカリウムもたっぷり含まれています。
1つでバランス良く栄養が摂れるモロヘイヤを、ぜひ毎日の食卓に活用していきましょう!