ネバネバの夏野菜である「モロヘイヤ」と「ツルムラサキ」。
よく似ているモロヘイヤ・ツルムラサキの違いを徹底検証してみました!
違いを調べたのは分類、旬、原産国、毒性、ネバネバ成分、栄養価です。
モロヘイヤ・ツルムラサキの違い
モロヘイヤ・ツルムラサキの違いをまとめていきます。
モロヘイヤ・ツルムラサキの「分類」の違い
モロヘイヤはアオイ科ツナソ属(コルコスル属)の一年生植物です。
ちなみに、モロヘイヤの和名は『シマツナソ(縞綱麻)』。
『モロヘイヤ』という名前はアラビア語となります。
アオイ科にはモロヘイヤの他にオクラやカカオ、ドリアンなどが含まれます。
一方で、ツルムラサキはツルムラサキ科ツルムラサキ属のつる性一年生植物です。
ツルムラサキは和名で、漢字で書くと『蔓紫』とそのまま。
ツルムラサキ科にはオカワカメ(アカザカズラ)も分類されます。
モロヘイヤはアオイ科ツナソ属、ツルムラサキはツルムラサキ科ツルムラサキ属と分類が異なります。
モロヘイヤ・ツルムラサキの「旬」の違い
モロヘイヤ・ツルムラサキはともに夏が旬の夏野菜です。
栽培適温はモロヘイヤ・ツルムラサキともに25℃以上の高温。
耐熱性に優れ、日本の猛暑でも栽培しやすいのが特徴です。
また、一方で寒さにはめっぽう弱いのがモロヘイヤ・ツルムラサキのデメリット。
最盛期はモロヘイヤ・ツルムラサキいずれも7~9月ごろとなります。
モロヘイヤ・ツルムラサキの旬は「夏」となります。
モロヘイヤ・ツルムラサキの「原産国」の違い
モロヘイヤの原産国は中近東か熱帯アジア、インド西部、エジプト周辺とされています。
現在でもそれら地域で栽培が盛んです。
日本には1980年代に流入してきた、歴史の浅い野菜でもあります。
一方で、ツルムラサキの原産国は熱帯アジア、もしくは東南アジアの熱帯地方とされています。
現在でもそれらの地域や中国南部まで生産が盛んで、日本には江戸時代にはすでに流入していました。
いずれにしても暖かい地域が原産の野菜でしたね。
モロヘイヤは中近東・熱帯アジア・インド西部・エジプトなど、ツルムラサキは熱帯アジアや東南アジアが原産国。
モロヘイヤ・ツルムラサキの「毒性」の違い
モロヘイヤには強い毒性があります。
モロヘイヤにはストロファンチジンという強心配糖体が含まれます。
このストロファンチジン、正しく使えば病気の治療にも有効な成分ですが、過剰摂取はめまいや動悸、最悪の場合は心不全などを引き起こす危険な成分です。
ただ、モロヘイヤのうち毒性があるのは成熟した種子や種子のさや、成熟後の葉・茎など。
スーパーなどで市販されている若葉や茎には毒性がないのでご安心ください。
一方で、ツルムラサキには毒性はありません。
モロヘイヤと混同されがちだからなのか、ツルムラサキにも毒がある!というイメージが付いているものの、ツルムラサキに毒性はなく安全です。
モロヘイヤには毒性があるものの、ツルムラサキには毒性がありません。
モロヘイヤ・ツルムラサキの「ネバネバ成分」の違い
モロヘイヤ・ツルムラサキの特徴でもあるネバネバ成分はいずれも同じ「ムチレージ」という成分です。
ムチレージとは糖たんぱく質の一種で、体内では水溶性食物繊維として働きます。
保護膜を形成するという作用を持ち、胃などの粘膜を保護する働きが期待できるとのこと。
モロヘイヤ・ツルムラサキともに整腸作用が期待できそうですね。
モロヘイヤ・ツルムラサキのネバネバ成分は同じ「ムチレージ」という成分となります。
モロヘイヤ・ツルムラサキの栄養価を比べると?
モロヘイヤ・ツルムラサキの栄養価を比べてみます。
量はいずれも100g、いずれも茹でたものの数値を比較します。
- モロヘイヤ:野菜類/モロヘイヤ/茎葉/ゆで
- ツルムラサキ:野菜類/つるむらさき/茎葉/ゆで
<基本>モロヘイヤ・ツルムラサキの栄養価を比較
モロヘイヤ・ツルムラサキの基本の栄養価です。
栄養素 | モロヘイヤ | ツルムラサキ |
---|---|---|
エネルギー | 24kcal | 12kcal |
水分 | 91.3g | 94.5g |
たんぱく質 | 3.0g | 0.9g |
脂質 | 0.4g | 0.2g |
炭水化物 | 4.0g | 3.2g |
食物繊維 | 3.5g | 3.1g |
まず、エネルギー(カロリー)はモロヘイヤが24kcal、ツルムラサキが12kcalと、モロヘイヤがダブルスコア!
ただ、たんぱく質に注目すると、モロヘイヤが3.0gに対し、ツルムラサキは0.9gと、モロヘイヤが3倍以上となっています。
その他、脂質・炭水化物もモロヘイヤの方が多いため、モロヘイヤの方が栄養価が高いと言えますね。
しかし、ツルムラサキは炭水化物が3.2g、食物繊維が3.1gなので、糖質が0.1gしか含まれていない、という超低糖質さもポイント!
モロヘイヤも糖質量は0.5gと低糖質ですが、ツルムラサキはほぼ食物繊維というのが大きいですね。
<ビタミン>モロヘイヤ・ツルムラサキの栄養価を比較
モロヘイヤ・ツルムラサキに含まれるビタミンです。
栄養素 | モロヘイヤ | ツルムラサキ |
---|---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 6600μg | 3400μg |
ビタミンB1 | 0.06mg | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.13mg | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.08mg | 0.04mg |
葉酸 | 67μg | 51μg |
ビタミンC | 11mg | 18mg |
ビタミンD | 0μg | 0μg |
ビタミンE | 3.7mg | 1.5mg |
まず目を惹くのがβカロテン量。
緑黄色野菜は野菜の食べられる部分100gあたりに含まれるβカロテンが600μg以上の野菜を指す言葉ですが、モロヘイヤ・ツルムラサキはともに600μgを大幅に超えています。
モロヘイヤ・ツルムラサキはともに緑黄色野菜ですね。
また、モロヘイヤのβカロテン量・6600μgというのは、βカロテンが豊富なにんじんやほうれん草にも匹敵するほどの量です。
その他のビタミンでは、ビタミンC以外はモロヘイヤの方が上回るという結果になりました。
ビタミンB群(B1・B2・B6・葉酸)とビタミンCは水溶性なので、茹でると量が減ってしまいます。
それでも、モロヘイヤ・ツルムラサキにはそこそこ含まれているので、もとの栄養価が高かったと言えるでしょう。
<ミネラル>モロヘイヤ・ツルムラサキの栄養価を比較
モロヘイヤ・ツルムラサキに含まれるミネラルを比較します。
栄養素 | モロヘイヤ | ツルムラサキ |
---|---|---|
ナトリウム | 0mg | 7mg |
カリウム | 160mg | 150mg |
カルシウム | 170mg | 180mg |
マグネシウム | 26mg | 41mg |
リン | 53mg | 24mg |
鉄 | 0.6mg | 0.4mg |
注目すべきはモロヘイヤ・ツルムラサキともにカルシウムの豊富さ!
モロヘイヤは170mg、ツルムラサキは180mgというのは、コップ1杯分の牛乳(180mlあたり200mg)に匹敵するほどの量です。
カルシウムは骨のもととなる栄養素。
成長期のお子さんや高齢の方など、カルシウムが必要な方たちはモロヘイヤ・ツルムラサキを積極的に食べるべき!と言えますね。
モロヘイヤ・ツルムラサキは生で食べられる?
モロヘイヤ・ツルムラサキはどちらも生で食べられます。
しかし、どちらにしてもエグ味があるため、下茹でをして食べた方が良いとされています。
特にモロヘイヤには、尿路結石の原因となるシュウ酸が多く含まれるため下茹でしてから食べるのがオススメ。
モロヘイヤ・ツルムラサキはどちらも下茹でをしてから刻むとネバネバが増えますよ。
【まとめ】モロヘイヤ・ツルムラサキの違い
- モロヘイヤ・ツルムラサキの違う点
- 分類:モロヘイヤはアオイ科ツナソ属、ツルムラサキはツルムラサキ科ツルムラサキ属
- 毒性:モロヘイヤには毒があり(一般的に食べる部分にはない)、ツルムラサキには毒はない
- モロヘイヤ・ツルムラサキの同じ点
- 旬:どちらも夏野菜
- ネバネバ成分:ムチレージ
- 原産国はモロヘイヤの方が広範囲であるもののほぼ同じ
- 栄養価はモロヘイヤの方がおおむね高めだが、どちらも栄養が豊富
ここまで、モロヘイヤ・ツルムラサキの違いをまとめました。
分類としては全然違うのに、ネバネバ成分はどちらも同じムチレージ。
一番大きな違いは、モロヘイヤには毒があり、ツルムラサキには毒がないというところでしょうか?
何となく似ていて混同しがちなモロヘイヤ・ツルムラサキ。
違いを知った上でこれからも料理に活用していきましょう!