にんじんって野菜なのにとても甘いですよね?
煮ても焼いても甘いにんじんですが、なぜこんなにも甘味が強いのでしょう?
その甘味の秘密はにんじんの糖質と深い関わりがあるようです。
さらに、甘いにんじんはカロリーも高いのでしょうか?
そんなにんじんの甘味とカロリー&糖質の関係性についてまとめてみました!
今回はスウィートなにんじんの謎に迫っていきます!
にんじんが甘い理由
にんじんが甘い理由はショ糖を多く含んでいるためです。
ショ糖は砂糖の主成分で、スクロースとも呼ばれます。
砂糖の元である甜菜(テンサイ)やサトウキビなどから採れる天然の甘味料です。
砂糖と同じ甘味成分を豊富に含むため、にんじんはあんなにも甘いのですね。
ショ糖について
ショ糖は甘味料の中でも最もポピュラーな物質です。
広く一般的に使われるため甘味の強さ・甘味度を測る基準にもなっています。
その甘味の特徴はクセのなさ。
人間にとってショ糖の甘味は最も好ましいと感じる味なのだそうです。
さらにショ糖には温度によって甘味が変化しないという特徴もあります。
万人受けする上に使い勝手が良い甘味料、それがショ糖ということですね。
また、ショ糖はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が結合してできる糖です。
このショ糖のように、2種類の糖が結合してできる糖は二糖類と呼ばれます。
二糖類には、
- 無色の結晶
- 甘い
- 水に溶ける
という共通の特徴があります。
たしかに、砂糖の特徴そのままですね。
そんなショ糖が100%含まれているのがグラニュー糖。
グラニュー糖にはショ糖以外の物質が一切含まれていません。
じゃあ、他の砂糖にはショ糖以外の物質が含まれているの?
例えば、一般的に「砂糖」と呼ばれる上白糖は、ショ糖の割合が97.7%とされています。
残りの2.3%はそれぞれ還元糖(1.5%)と水分(0.8%)です。
※還元糖とは、果糖・ブドウ糖のこと。
上白糖は還元糖や水分を含むことで、グラニュー糖よりも柔らかな手触りでしっとりしているのですね。
にんじんのショ糖量は?
にんじんのショ糖含有量は100gあたり3.4g。
つまり、にんじん全体に対するショ糖の割合はわずか3%ちょっとしかありません。
4%もないのにあんなに甘いの?
そう思っても無理はありません。
しかし、水100mlに砂糖を3g溶かす、と考えてみるとどうでしょう?
たった3%でも相当甘い水になりますよ。
コーヒーに角砂糖を入れると考えてみると分かりやすいでしょうか?
コーヒーカップ一杯分のコーヒーはおよそ120ml。
角砂糖の砂糖(グラニュー糖)はたいてい1つ3gほどです。
その角砂糖を1つコーヒーに入れたらスゴく甘くなりますよね?
苦いコーヒーですらあんなに甘くなるのです。
何も味がついていない水に砂糖を入れたらなかなかの甘さになります。
よって、100gあたり3.4gしか入っていなくても、甘味はだいぶ強いでしょう。
また、にんじんに含まれる甘味成分がショ糖だけではありません。
このショ糖以外の甘味成分などについては、にんじんの「糖質」とともに次の項でお伝えします。
にんじんの糖質量
にんじんの糖質量は100gあたり6.5gです。
※根の部分のみ・皮付きの数値。
皮なしの場合は6.3gと微減します。
また、にんじん1本あたりの重さは130~150gくらいです。
よって、にんじん1本を150gとすると、にんじん1本あたりの糖質量は9.75gとなります。
そもそも糖質とは?
糖質とは炭水化物から食物繊維を除いた物質のこと。
にんじん100gあたりの炭水化物量は9.3g、食物繊維量は2.8gなので糖質量が6.5gになるのですね。
糖質=ショ糖ではない?
にんじんはショ糖が豊富な野菜。
ショ糖は砂糖の主成分ですが、ショ糖=糖質というわけではありません。
まず糖質は、
- 糖類
- オリゴ糖
- 多糖類(デンプンなど)
- 糖アルコール(キシリトールなど)
の4つに分類されます。
そのうち糖類は「単糖」と「二糖」に分かれます。
二糖、つまり二糖類であるショ糖は糖類の一部ということです。
つまりショ糖は、糖質のうち糖類に含まれる二糖類の一種ということになります。
ややこしいですね・・・。
にんじんにはこの二糖類であるショ糖の他に、単糖であるブドウ糖・果糖も含まれています。
したがって、糖質量=ショ糖量とはならないのですね。
- 炭水化物
- 糖質
- 糖類
- 単糖
- 二糖
- オリゴ糖
- 多糖類
- 糖アルコール
- 糖類
- 食物繊維
- 糖質
にんじんの糖質量は多いの?
100gあたりの糖質量が6.5gと言われても、多いのか少ないのかよく分かりませんよね?
そこで、他の野菜とにんじんの糖質量を比べてみます。
まず、大根・根の糖質量は100gあたり2.7g。
よって、にんじんの糖質量は大根のおよそ2.4倍でした!
ちなみに、大根の栄養に関しては、↓の記事で詳しくまとめています。
さらに、同じ野菜のうち甘味が強いイメージのあるかぼちゃ・さつまいもとも比べてみました。
野菜・100gあたりの数値 | 炭水化物量 | 食物繊維量 | 糖質量 |
かぼちゃ | 20.6g | 3.5g | 17.1g |
さつまいも(皮付き・生) | 33.1g | 2.8g | 30.3g |
にんじん | 9.3g | 2.8g | 6.5g |
かぼちゃやさつまいもと比べるとだいぶ低糖質だね。
さつまいもは野菜の中でもっとも糖質量が多い30.3g。
全体の3割以上が糖質になります。
にんじんと食物繊維量は同じものの炭水化物量は3倍以上なのでここまで差が開きました。
また、にんじんと同じ根菜ですが甘いイメージがほぼないごぼうの糖質量は100gあたり9.7g。
にんじんの6.5gを大きく上回っています。
甘ければ甘いほど糖質が多い、っていうわけではないんだね!
ごぼうの糖質については↓の記事でも詳しくご紹介しています。
よって、にんじんの糖質量は、かぼちゃ・さつまいも・ごぼうよりは少ないものの、大根よりは多いと分かりました。
野菜全体の中では多めであるものの、飛び抜けて多いわけではない、といったところでしょうか?
にんじんのカロリー
にんじんのカロリーは100gあたり39kcalです。
他の野菜とカロリーを比べてみると↓のようになります。
野菜 | 100gあたりのカロリー |
---|---|
ごぼう | 65kcal |
セイヨウかぼちゃ | 91kcal |
大根 | 18kcal |
にんじん | 37kcal |
表を見ると、糖質量とカロリーは比例している気がしますね。
実際、上の表に糖質の数値を加えると↓になります。
野菜 | 100gあたりのカロリー | 100gあたりの糖質量 |
---|---|---|
ごぼう | 65kcal | 9.7g |
セイヨウかぼちゃ | 91kcal | 17.1g |
大根 | 18kcal | 2.7g |
にんじん | 37kcal | 6.5g |
本当だ。糖質の量が増えるごとにカロリーも高くなっているね。
甘い=カロリーが高い、というイメージはおおむね間違った認識ではないようですね。
しかし、甘いイメージが少ないごぼうの方が糖質量もカロリーも高いので一概には言えません。
にんじん1本のカロリーは?
ここでは、にんじん1本の重さを150gとします。
すると、にんじん1本あたりのカロリーは55.5kcalとなります。
分かりやすくするため、食パンのカロリーと比べてみます。
食パンは6枚切り1枚でおよそ170kcalです。
170÷55.5=3.06・・・なので、食パン1枚=にんじん3本がほぼ同じカロリーとなります。
そう考えると、にんじんって低カロリーだね。
まとめ
- にんじんが甘い理由は、砂糖の主成分でもあるショ糖を多く含んでいるから。
- にんじん100gあたりの糖質量は6.5g、カロリーは37kcal。
- 1本あたりでは、糖質量9.75g、カロリー55.5kcal。
甘いにんじんは、やはり野菜の中ではカロリーも高く糖質も多めでした。
しかし、食パンなど主食と比べれば気にするほどの数値ではありません。
甘味が強いことから、上手く使えれば料理の砂糖を控えるのにもつながりますね。