野菜の中でもトップクラスの認知度を誇るであろうにんじん。
にんじんは我が家でも1年を通して食卓のレギュラーポジションを確保しています。
そんなにんじんですが、どうして「にんじん」と言う名前なのでしょう?
また、わたしたちが普段食べているにんじんの種類も気になりますね!
さらに、一年中食卓に並ぶにんじんの本当の旬とは?
- にんじんの名前の由来
- にんじんの種類
- 分類
- 品種
- にんじんの旬の時期
以上、意外と知らないにんじんの基本を詳しくまとめていきます♪
にんじんの名前
大根は「大きな根」、さつまいもは「薩摩(今の鹿児島県)で採れたいも」という意味から名前が付けられています。
しかし、にんじんはなぜ「にんじん」という名前なのでしょう?
一見、全然関係がないように思えますよね。
ですが、調べてみるとにんじんにまつわる意外な過去が明らかになりました!
にんじんの名前の由来
にんじんは漢字で「人参」と表記されます。
この「人が参る」という漢字なのは、その形が人の姿に似ていることが由来です。
たしかに先端の細い根が分かれている様子は人間の足に見えないこともないです。
ただ、↑のにんじんは、普段わたしたちが食べているにんじんではありませんよね?
しかし、↑のにんじんこそが本来のにんじんだったのです!
「にんじん」は「高麗人参」のことだった
にんじんという名前は、本来「高麗人参」を指す言葉でした。
高麗人参って、漢方薬とかに使われるやつ?
別名:朝鮮人参・おたねにんじん
セリ目ウコギ科に属する薬草・野菜で、日本をはじめ中国・朝鮮半島で古くから親しまれてきた。
胃腸虚弱や食欲不振、嘔吐・下痢などに効果的とされる。
わたしの勝手な印象ですが、昔のお話で中国の奥地に住む仙人が食べているイメージです。
先ほどの画像も高麗人参のものですね。
この高麗人参こそが、かつて「にんじん」と呼ばれる野菜でした。
では、なぜ現在のにんじんが「にんじん」と呼ばれるようになったのでしょう?
にんじんが「にんじん」になった理由
現在「にんじん」と呼ばれる野菜がにんじんになった理由は単純、今のにんじんの方が広く一般的に使われるようになったからです!
使われないものが廃れ消えていくのは、いつの世も同じ。諸行無常ですね・・・。
現在のにんじんは江戸時代に日本に伝わったもの。
伝わってからしばらくは「セリ科のにんじん」という意味でセリにんじんと呼ばれていました。
この↑の「セリにんじん」が勢力を伸ばし、今ではメジャー「にんじん」の座を奪ったのです。
実際、わたしたちの家庭でにんじん(セリにんじん)がお目見えすることはあっても、高麗人参が登場することはほぼありませんよね。
少なくとも私の家庭では高麗人参が出てきたことはありません。
そもそも、高級品なので実物を見たこともありません。
まあ、昔から薬として使われており食卓に並ぶことはなかった野菜ですので、マイナーな存在になるのは必至だったのでしょう。
にんじんの種類
にんじんの種類を分類・品種からまとめました。
分類上のにんじん
にんじんはセリ目セリ科ニンジン属の二年草です。
セリ科
にんじんはセリ科ニンジン属に分類されます。
上記した「にんじんの名前」でご紹介した高麗人参はセリ目ウコギ科でした。
同じにんじんでも属する科が異なるので、まったく違う野菜だったのですね。
ちなみに、にんじんと同じセリ科には、
- セロリ(オランダミツバ属)
- パクチー(コエンドロ属)
- パセリ(オランダゼリ属)
などが属します。香草・ハーブが多いのが特徴です。
にんじんにハーブのイメージはないよね。
わたしたちが普段食べているのは「根」の部分。
流通が少ない「葉」は、独特ながらもハーブのように香り高いのが特徴です。
たしかに、見た目もハーブっぽいかも。
二年草
また、にんじんは二年草(二年生植物)であるのもポイント!
二年草とは生長するのに2年がかかる植物のことです。
この二年草は、
- 1年目に栄養器官(茎・葉・根)を形成
- 冬を越すために休眠
- 翌年の春~夏に開花
- 種子を残して枯れる
というサイクルでその一生を終えます。
この二年草、聞き馴染みがないですよね?
実際、とても珍しいとのことです。
一年草とか多年草とかは知ってるけど、たしかに二年草って聞かないよね。
そんな珍しい二年草の野菜をまとめました。
- にんじん
- キャベツ
- レタス
- パセリ
どれも珍しくない!むしろ有名なものばかりだ!
でも、キャベツってそんな長期間も畑に植えられているもの?
上記した野菜たちは、本来なら二年草です。
しかし、にんじんなら根、キャベツなら葉など、食用の部分は1年で生長します。
そのため、栽培目的のために一年草とみなされているのです。
にんじんの品種
わたしたちが普段食べているにんじんは西洋系にんじんです。
西洋系にんじんとは、その名の通り西洋からきたにんじんです。
西洋系があるということは、もちろん東洋系にんじんもあり、にんじんは大きくこの西洋系・東洋系に分けられます。
この西洋系・東洋系にんじんの違いをまとめてみました。
にんじんの品種の違い | 西洋系 | 東洋系 |
---|---|---|
原産 | ヨーロッパ | 中国 |
長さ | 15~20cmほど | 20cm~が多い |
太さ | 太い | 細い |
色 | 主にオレンジ | 赤みが強い |
匂い | 少なめ | 強め |
ここからは、西洋系・東洋系にんじんのそれぞれを詳しくまとめていきます。
西洋系にんじん
西洋系にんじんが日本にやってきたのは江戸時代末期。
東洋系にんじんに比べ栽培が簡単だったので、戦後に広く流通しました。
その中でも特に流通が多いのは五寸にんじんと呼ばれる品種。
五寸=約15cmの大きさで、先端にかけ少し細くなる形が特徴です。
わたしたちが普段食べているにんじんですね。
基本的にどんな風に料理してもおいしくなる万能型のにんじんと言えます。
東洋系にんじん
東洋系にんじんは、江戸時代から戦前まで日本で主流だったにんじんです。
栽培の難しさがネックとなり、いつしか西洋系にんじんに覇権を奪われてしまいました。
現在も「京にんじん(金時にんじん)」という品種は残っていますが、今でも流通しているのはこの京にんじんのみと言われています。
実際、わたしも見たことがありません。
煮崩れしにくいという利点から、現在ではお正月用の煮物として使われることが主です。
にんじんの旬
にんじんの旬は秋~冬の寒い時期です。
そもそも、にんじんは栽培・収穫時期によって、
- 秋に種をまき冬に収穫する秋冬にんじん
- 春に種をまき収穫する春にんじん
に分けられます。
特に、春先になると採れたて新鮮な春にんじんをスーパーで見かけることも増えますよね。
春にんじんは甘味が強く、千切りサラダなどで生食しやすいのが嬉しいポイント!
しかし、春にんじんには芯が硬くなりやすいというデメリットがあります。
いわゆる「とうが立つ」というやつです。
その分、秋冬にんじんは作りやすい上にとうが立ちにくいのでたくさん収穫できます。
もちろん、秋冬にんじんは味も抜群です。
よって、にんじんの旬は収穫高が多く、味もおいしい秋~冬の季節になります。
にんじんは1年中スーパーで見かける通年野菜のイメージが強い野菜。
けれども、にんじんをより美味しく食べるなら寒い季節がオススメですよ!
まとめ
- にんじんの名前は、形が人の姿に似ていることが由来。しかし、この名前はもともと「にんじん」と呼ばれていた高麗人参の形が由来となっている。
- 現在広く流通しているにんじんは、かつて「セリにんじん」と呼ばれていた。
- にんじんはセリ科ニンジン属の二年草。
- 現在の日本で流通しているのは、ほとんどが西洋系にんじん。
- 旬は秋~冬。春にんじんは甘味が強いが硬くなりやすいデメリットがある。
にんじんという名前は、かつて高麗人参を指すものだとは知りませんでした!
また、現在のにんじんはヨーロッパが原産というのも意外です。
我が家ではほぼ毎日にんじんを食べていますが、今回調べてみてにんじんのことを何も知らないことが判明しビックリしています。
次の記事ではもっとにんじんについて深掘りしていきます!