じゃがいも・さつまいも・里いも・長いも・・・。
いもにもいろいろありますが、これら「芋(いも)」にはどんな違いがあるのでしょう?
今回は、そんな「いも」の違いを種類ごとに調査していきます!
分類上の違いや栄養成分など、同じ「いも」でもけっこう違うものですよ。
そもそも「いも」とは?
いもの種類を紹介していく前に、まずは「いも(芋)」についておさらいします。
いも
芋-Wikipedia
植物の根や地下茎といった地下部が肥大化して養分を蓄えた器官。特にその中で食用を中心に利用されるものを指すことが多い。
つまり「いも」とは、植物のうち土に埋まっている部分が大きくなり、栄養たっぷりになった部分のことを指します。
いもの分類
いもは大きく
- 根
- 地下茎
の2つに分けられます。
また、いもの種類ごとに分けるとこうなります。
- 根・・・さつまいも
- 地下茎・・・じゃがいも・里いも
あれ?長いもは?
長いもは担根体(たんこんたい)に分類されます。
根・地下茎どちらにも属しません。
担根体とは、根・茎どちらにも似た植物の部分のこと。根・茎いずれの性質も持つ中間的存在です。根か茎か定まっていないので「根茎」と呼ばれることもあります。
いも類の特徴
いも類全般に共通する特徴をご紹介していきます。
主食になる
デンプンなど炭水化物を多く含むいも類は、かねてより主食として親しまれてきました。
炭水化物は体を動かすエネルギーの元となり、人間にとって欠かせない大切な栄養素です。
そんな炭水化物を多く含むいも類は、日本人にとってもなじみ深い食材。
過去には、飢饉(ききん)対策として、さつまいもを育て主食にしていたこともあります。
また、現在でもいも類を主食にしている地域はあります。
日本ではもう主食ではありませんが、食材としての人気は現役ですよね。
作りやすい
いも類が主食として広まった背景には、いも類の作りやすさにあります。
いもは米や麦など穀物類と比べ栽培が簡単。
さらに、たとえ痩せた土地でも育ちやすく、少ない場所でもたくさん収穫できるというメリットも!
カロリーが低い
水分量が多いいも類は、穀物類と比べカロリーが低いのも特徴です。
しかし、水分量の多さから穀物類よりも腐りやすいというデメリットが。
たしかにお米は1年以上も保存できるけど、おいもは難しいかもね。
それでも、環境が良ければ常温で半年以上の保存も可能なので、他の食材よりは十分腐りにくいと言えます。
と、ここまでいもについておさらいしてきました!
ここからは、いもの代表的な種類についてお伝えしていきます!
じゃがいも
いもと言ってまず思いつくであろう種類はじゃがいも!
じゃがいもはナス科ナス属の植物です。
丸みを帯びた形以外ほぼ共通点がない気がしますが、じゃがいもはなすの仲間です。
「じゃがいも」という呼び名には諸説ありますが、日本での正式な名称は「馬鈴薯(ばれいしょ)」。
また、英語ではpotato(ポテト)です。
どの呼び名もわたしたちにとって親しみやすい名前ですね。
じゃがいもの種類
日本でじゃがいもと言えば「男爵芋」!
男爵が広めた芋ということで男爵芋と名付けられたとのこと。
この男爵芋の特徴をまとめてみました。
- 育ちが早い
- 環境への適応能力が高い
- 一度にたくさんできる
- 保存しやすい
このように男爵芋はいいことずくめ!
よって、あっという間に全国に広がり、現在も日本でも日本で栽培されるじゃがいものトップシェアを誇ります。
そして、この男爵芋と双璧をなすように有名なのが「メークイン」。
栽培量は男爵に次いで第2位を誇ります。
英語名は「May Queen」、つまり5月の女王。
この名前はヨーロッパの「5月祭」が由来で、春に美味しさを増すこともその理由です。
ゴツゴツした見た目の男爵芋と比べ、メークインはツルツルとした表面が特徴です。
味は男爵芋と比べねっとりと甘く、煮込み料理に適しています。
さらに、市場に出回る時期が早い「新じゃがいも」も有名。
新じゃがいもは、皮付きのまま料理に使えるほどやわらかいのが特徴です。
しかし水分量が多いため、腐りやすいというデメリットもあります。
じゃがいもの栄養成分
じゃがいもの栄養成分量を表にしてまとめていきます。
また、数値はいずれも『生』で食べた場合のものです。
栄養成分 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 59kcal |
水分 | 79.8g |
たんぱく質 | 1.3g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 17.3g |
食物繊維 | 8.9g |
ビタミンC | 28mg |
カリウム | 410mg |
ここからは、注目すべき栄養成分をピックアップしてお伝えします。
低カロリー食材だったじゃがいも
100gあたり53kcalと高めのエネルギーであるじゃがいも。
しかし、それは「野菜の中では」の話です。
じゃがいもを主食として考えれば話は別。
主食の代表・ごはんのエネルギーは100gあたり168kcal。
つまり、ごはんはじゃがいものエネルギーの約3倍!
ごはんをじゃがいもに置き換えるだけでだいぶカロリーオフにつながるのです。
ただし、じゃがいもはごはんと比べ、たんぱく質・炭水化物の量も少ないため、他の食材で補う必要があります。
ミニトマトを超えるビタミンC
また、じゃがいもは意外とビタミンCを多く含む食材です。
100gあたり28mgという数値はミニトマト(100gあたり32mg)をも上回ります!
免疫力アップでカゼ予防に期待できるビタミンC。
じゃがいもはカゼ予防にも効果があったのですね。
さつまいも
続いては秋に旬を迎えるさつまいも。
10月頃になると、スーパーでも見かけるようになる秋の味覚の人気者ですよね。
そんなさつまいもはヒルガオ科サツマイモ属の植物。
ナス科ナス属のじゃがいもとは同じいもですが全然違う植物なんです。
不思議だね~。
英語では「sweet potato」、つまり「甘いいも」。
ちなみに「さつまいも」という名前は、日本で初めて伝わったのが薩摩国(今の鹿児島県)だったからです。
鹿児島県は現在もさつまいもの一大生産地として有名ですね。
さつまいもの栄養成分
さつまいもの栄養成分は皮なし・生でお伝えします。
栄養成分 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 126kcal |
水分 | 65.6g |
たんぱく質 | 1.2g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 31.9g |
食物繊維 | 2.2g |
ビタミンC | 29mg |
カリウム | 480mg |
炭水化物が多く、カロリーも高めのさつまいもはいも類の中でも最も主食向き。
他のいも類と比べ水分量が少ないので、少ない量でも満腹感が得られやすいのが特徴です。
その反面、食べるとのどが渇きやすいのが難点でしょうか。
里いも
煮物が美味しい里いも。
冬になると東北を中心に開かれる芋煮会の主役です。
秋から冬にかけて旬を迎え、他のいも類よりもねっとりした食感が特徴の里いも。
ヌルヌルしているので料理初心者には少し難しい食材かもしれません。
日本では縄文時代後期ごろから食べられている歴史ある野菜です。
里いもの分類はサトイモ科サトイモ属。
サトイモ科は、他にこんにゃく芋が含まれるコンニャク属を含みます。
ちなみに、わたしたちがよく見かけるのは土垂(どだれ)という品種になります。
里いもの栄養成分
里いもの栄養価です。
栄養成分 | 100gあたりの栄養含有量 |
---|---|
エネルギー | 53kcal |
水分 | 84.1g |
たんぱく質 | 1.5g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 13.1g |
食物繊維 | 2.3g |
ビタミンC | 6mg |
カリウム | 640mg |
ここからは、里いもで特に気になる栄養成分をお伝えします。
高カリウムで高血圧・むくみ解消
里いものカリウムは100gあたり640mgと、いも類をはじめ野菜の中でもトップクラスの含有量を誇ります。
カリウムには体内のナトリウム量を調整するはたらきがあり、高血圧の予防に効果的。
さらに、利尿作用があるので、むくみ解消をサポートしてくれます。
塩分多めの食生活をしている方は積極的に摂った方が良い栄養成分です。
カロリーはさつまいもの半分以下
里いものエネルギーは100gあたり58kcal。
これはさつまいも・126kcalの半分以下の数値です。
また、里いもは食物繊維も他のいも類より豊富。
よって、とてもダイエット向きな食材と言えるでしょう。
長いも
すりおろして「とろろ」としても親しまれている長いも。
とろろのように生食も可能ですが、焼いてもホクホクと美味しいのが特徴です。
そんな長いもはヤマノイモ科ヤマノイモ属の植物。
ヤマノイモ属とはつまり山いも。
そのヤマノイモ属には、他に大和いもや自然薯があります。
つまり長いもとは山いもの種類の1つだったのです。
この事実、意外と知られていないですよね(わたしも知りませんでした!)。
長いもの栄養成分
栄養成分 | 100gあたりの栄養含有量 |
---|---|
エネルギー | 64kcal |
水分 | 82.6g |
たんぱく質 | 2.2g |
脂質 | 0.3g |
炭水化物 | 13.9g |
食物繊維 | 1.0g |
ビタミン | 6mg |
カリウム | 430mg |
長いもは水分量が多い分エネルギーが低めの食材です。
ただ、他のいも類よりたんぱく質が多めで100gあたり2.2g含まれています。
このたんぱく質量は野菜全体でも見ても多めの数値。
またいも類の中では炭水化物量が少なめなので、ダイエット向きの食材とも言えます。
いも類の栄養比較
最後に、じゃがいも・さつまいも・里いも・長いもの栄養を表にしてまとめてみました。
じゃがいも | さつまいも | 里いも | 長いも | |
エネルギー(kcal) | 59 | 126 | 53 | 64 |
水分(g) | 79.8 | 65.6 | 84.1 | 82.6 |
たんぱく質(g) | 1.3 | 1.2 | 1.5 | 2.2 |
脂質(g) | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.3 |
炭水化物(g) | 17.3 | 31.9 | 13.1 | 13.9 |
食物繊維(g) | 8.9 | 2.2 | 2.3 | 1.0 |
ビタミン(mg) | 28 | 29 | 6 | 6 |
カリウム(mg) | 410 | 480 | 640 | 430 |
こうしてみると、同じいも類でも栄養成分に大きな違いがあることが分かりますね。
栄養成分の違いを知れば、もっと自分に合った料理ができるようになるかもね。