フリフリの葉先が可愛らしい葉物野菜「わさび菜」。
最近見かけることが多いわさび菜ですが、そもそもわさび菜はどんな野菜なのでしょう?
そんな「わさび菜」の基本を、分類や生産地、旬、名前の由来などからまとめました。
さらに、生で食べられるか否かや、意外な栄養価についても紹介しています。
わさび菜とは?
わさび菜はアブラナ科アブラナ属の栽培品種です。

栽培品種とは、一般的には望ましい性質を選抜した増殖できる植物の集合で、単純に「品種」を指す言葉です。
わさび菜はからし菜を品種改良して作られた品種。
九州の在来種・からし菜が変異したものを選抜固定、育成した品種となります。
原産は日本です。
つまり、わさび菜はからし菜の一品種となります。
わさび菜の原種・からし菜とは?
からし菜(芥子菜)はアブラナ科アブラナ属の越年草です。
種子は『からし(和からし)』の原料となります。
和からしは納豆などに入れる、暗い黄色の薬味ですね。
そんなからし菜のうち野生化したものは、春になると土手一面を黄色い花で埋め尽くします。

そう、からし菜はいわゆる「菜の花」の一種です。
わさび菜の主な生産地
わさび菜は南は九州、北は東北まで、日本列島のあらゆる地域で栽培・販売されている野菜です。
家庭菜園も簡単にできる栽培のしやすさから、いろいろなところで栽培されているとのこと。
そんな中、わさび菜の一大産地と言えるのが滋賀県草津市。
滋賀県草津市ではわさび菜を「愛彩菜」という名前で売り出し、ブランド化しています。
地域のブランド野菜として人気を博しています。
※参考 愛彩菜|草津市
さらに、茨城県行方市でもわさび菜の生産は盛んです。


我が家で購入したのはまさに「茨城県行方市産わさび菜」でした。
行方市は2008年にわさび菜の茨城県銘柄産地として認定されるなど、生産を増やしています。
※参考 月報 野菜情報
わさび菜の旬
わさび菜の旬は9月から翌年3月にかけて。
つまり秋から冬を通り、次の春までが最盛期の旬の長い野菜となります。
そもそも、わさび菜は一年を通して栽培できる通年野菜。
傷みやすく、知名度が低いので流通は少なめですが、産地が近くにあれば一年を通して手に入る野菜でもあります。
わさび菜の名前の由来とは?
わさび菜の名前の由来ですが、調べてみたのですがハッキリとは分かりませんでした・・・。
からし菜は種子が辛子(からし)の原料なので「からし菜」。

これは分かります。
しかし、からし菜の一品種であるわさび菜の種子は「わさび」にはなりません。
そもそも、わさびは種子ではなく根茎です。
では、なぜわさび菜はわさび菜なのか?
推測ですが、わさび菜はわさびのようにツンとした辛みがあるためだと思われます。
実際、わさび菜やその原種であるからし菜には、からし・わさびのツンとした辛み成分であるイソチオシアン酸アリル(アリルイソチオシアネート)が含まれます。
からし菜の一品種で、同じくツンと辛い薬味の名前を拝借し「わさび菜」としよう!という感じです。
※あくまでわたしの推測ですので根拠はありません。
わさび菜はわさびとは無関係なのにわさび菜という名前。
これにより、ある面倒な状況も発生していました↓。
わさび菜と「葉わさび」の違いについて
「葉わさび」とは、根茎の部分が薬味の「わさび」として利用される葉物野菜です。

わさびはアブラナ科ワサビ属の植物、すりおろして薬味として食べられる根茎と葉の部分を食べます。
したがって、わさび菜と葉わさびは別の野菜です。

たしかに、わさび菜と葉わさびは見た目からして全然違うね。
- わさび菜:アブラナ属、からし菜の一品種
- 葉わさび:ワサビ属、根茎がわさび
わさび菜は生で食べられる?オススメの食べ方とは
わさび菜は生で食べられます。

我が家ではわさび菜を生で浅漬けにして食べました。

初めて食べたのですが、思っていた以上に美味しかったです!
生のわさび菜は水菜に近い食感です。
柔らかくシャキシャキしていて、舌触りが良く食べやすかったです。
レタスや水菜ほどの青臭さがなく、爽やかで食べやすいのもポイント!
ただ、やはりわさび菜という名前通り、後味にわさびのようなツンとした辛さはあります。
小さい子どもには少し辛いかもしれません。
大人にはピリ辛でちょうど良いでしょう。
こってりしたおかずの副菜にすると、口直しにピッタリの野菜でした!
フリルのようにフワフワした葉先は生で食べるのが一番!根元の部分は太いものの柔らかいので、そのままでも全然美味しかったです。
わさび菜の加熱について
わさび菜はもちろん加熱してもOKです。
わさび菜は加熱すると辛みが抑えられるので、小さな子どもと一緒に食べるときは火を通すと一緒に食べやすくなります。
そんなわさび菜の加熱は控え目に。
長時間の加熱だとベチャベチャになり、せっかくのシャキシャキ食感や爽やかな香りが消えてしまいます。
わさび菜の加熱は塩を入れたお湯でサッと湯がくか、電子レンジで長くても1分ほど温めるくらいに留めましょう。
わさび菜の栄養価

わさび菜の栄養価をまとめます。
といっても、日本食品標準成分表2020年版(八訂)にはわさび菜の栄養価が掲載されていませんでした・・・。
そこで、わさび菜の原種である「からし菜」の栄養価を代わりに載せます。
<基本>わさび菜(からし菜)の栄養価
わさび菜(からし菜)の基本の栄養価です。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 26kcal |
水分 | 90.3g |
たんぱく質 | 3.3g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 4.7g |
食物繊維 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 | 3.7g 0.9g 2.8g |
葉物野菜ということもあり、水分は全体の9割以上と多め。
そんななか、食物繊維が100gあたり3.7gと豊富なのがポイントです。
食物繊維のうち水溶性食物繊維は0.9g、不溶性食物繊維は2.8gと、不溶性食物繊維が3/4以上を占めます。
葉物野菜であるわさび菜は量を食べやすいので、便秘の予防・改善に効果的な不溶性食物繊維を効率的に摂取できます。
そしてエネルギー(カロリー)も低めなのでモリモリ食べてもOKです。
<ビタミン>わさび菜(からし菜)の栄養価
わさび菜(からし菜)に含まれるビタミンです。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 2800μg |
ビタミンB1 | 0.12mg |
ビタミンB2 | 0.27mg |
ビタミンB6 | 0.25mg |
葉酸 | 310μg |
ビタミンC | 64mg |
ビタミンD | 0μg |
ビタミンE | 3.2mg |
わさび菜はβカロテンを豊富に含む緑黄色野菜です。
※緑黄色野菜は100gあたり600μg以上のβカロテンを含む野菜を指す言葉です。
βカロテンは高い抗酸化作用や目の保護などに効果が期待でき、ニンジンなどに多く含まれます。
さらに、わさび菜は体内で補酵素として働くビタミンB群(B1・B2・B6・葉酸)が豊富!
酵素をサポートする補酵素は代謝アップに欠かせない栄養素。
そんなビタミンB群のうち、特に多く含まれているのが「葉酸」です。
葉酸はDNAの合成などに関わる栄養素で、妊娠中の女性は積極的に摂るべきとされています。
葉酸は熱に弱く、水に溶けやすいため、わさび菜のように生で食べられる野菜だと摂りやすいですね。
また、免疫力の向上や美白・美肌効果が期待できるビタミンCも豊富です。

ビタミンB群やビタミンCといった「水溶性ビタミン」は、わさび菜のように生のまま食べられる野菜だとより効率的に摂取できます。
<ミネラル>わさび菜(からし菜)の栄養価
わさび菜(からし菜)に含まれるミネラルです。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
ナトリウム | 60mg |
カリウム | 620mg |
カルシウム | 140mg |
マグネシウム | 21mg |
リン | 72mg |
鉄 | 2.2mg |
わさび菜には
- カリウム:ナトリウムの排出や利尿作用がある
- カルシウム:骨や歯のもととなる
- 鉄:不足すると貧血になる
といったミネラルを多く含みます。
バランス良くミネラルを含むため、栄養不足の方にもオススメです。
辛み成分・イソチオシアン酸アリルについて
わさび菜に含まれるイソチオシアン酸アリル(アリルイソチオシアネート)には殺菌作用や抗がん作用があるとされています。
薬味のからし・わさびのどちらにも含まれる成分で、ピリッとした刺激と、ツーンと鼻に抜ける香りが特徴。
イソチオシアン酸アリルには殺菌作用があるため、痛みやすい生魚を使用する寿司や刺身の薬味としてわさびが使われてきました。

お寿司にわさびが挟まっていたり、刺身に添えられていたりするのは、殺菌効果を得るためだったんだね!
【まとめ】わさび菜について
- わさび菜はアブラナ科アブラナ属の野菜で、からし菜の一品種
- 根茎がわさびになる「葉わさび」とは別物
- 生食OKで、わさびのような爽やかな辛さが特徴
- 食物繊維やビタミン・ミネラルが豊富
ここまで、わさび菜についてまとめました。
日本の至る所で栽培されているものの、なかなか貴重な野菜であるわさび菜。
もしスーパーなどで見かけたら、ぜひ食べてみてくださいね♪