じゃがいもの「じゃが」って何だろう?
ある日、料理中にふと気になってしまいじゃがいもの名前の由来を調査。
すると、じゃがいもの名前に関する意外な事実が判明しました!
さらに、普段食べているじゃがいもの「馬鈴薯」「男爵いも」「メークイン」とはどんな種類?
その他にも、じゃがいもの発祥地や分類についてしらべてみました。
知ると面白いじゃがいものあれこれをぜひお楽しみください。
じゃがいもの名前の由来
ゴツゴツと無骨なじゃがいもは、その見た目からかつては「悪魔の作物」と呼ばれていたことも!
しかし、その使い勝手の良さから主食としてもおかずとしても愛される野菜になりました。
そんなじゃがいもの名前の由来は大きく3つの説に分かれます。
ジャガトラ港経由で伝来した説
1つ目は「ジャガトラ港経由で伝来した」説です。
ジャガトラは現在のインドネシア・ジャカルタのこと。
じゃがいもがオランダ船に運ばれ伝来したときに、そのジャガトラの港を経由して伝来。
それにより「ジャガタラいも」と呼ばれ、後に転じて「じゃがいも」となったと言う説です。
日本で初めてじゃがいもが持ち込まれたのは1598年のこと。
まだ、江戸時代にもなっていない頃にはすでにじゃがいもが伝来していたのですね。
ジャワ島のいも説
2つ目は「ジャワ島のいも」説です。
1つ目の説と同じくインドネシアですが、こちらにジャガトラ港は関係していません。
ただ単にインドネシア・ジャワ島のいもだから「ジャワいも」と呼ばれ、それが「じゃがいも」に変化したというものです。
また、この説には当時のジャワ島がジャガトラと呼ばれており「ジャガタライモ」→「じゃがいも」になった、という説もあります。
飢餓を救済した説
3つ目は「飢餓を救済した」説です。
ここで言う「飢餓」は天保の飢饉(1833~1839年)のこと。
この天保の飢饉があった1833年からの5年間では推計で125万人以上も人口が減少。
日本全国が大きな打撃を受けました。
特に米作を中心に行っていた地域では餓死する百姓が相次ぐなど被害が甚大でした。
そんな飢饉で役に立ったのが「じゃがいも」。
もともと飢饉対策のために栽培が始まったこともあり、飢饉の際には大活躍だったのですね。
その活躍ぶりから「御助芋(ごじょいも)」と呼ばれるようになり、いつの間にか「じゃがいも」に転じたという説です。
じゃがいもは世界中で飢饉から人類を救ってきた
じゃがいもの最大の特長は誰でも簡単に栽培できることです。
- 寒い地域でも育ちやすい
- 1年に何回も栽培できる
- 地下で育つので鳥害に遭わない
というメリットがあります。
さらに、保存性が高いので船に乗って世界中に広まっていき、各地で飢饉から人類を救ってきたのです。
じゃがいもの種類
じゃがいもはメジャーな野菜の分、数多くの種類があります。
今回は、じゃがいものうち特にメジャーな「馬鈴薯」「男爵」「メークイン」の3つを取り上げてみます。
「馬鈴薯」は種類じゃない!?
日本ではじゃがいものことを「馬鈴薯(ばれいしょ)」とも呼びますよね。
わたしは「馬鈴薯」はじゃがいもの種類の1つだと思っていたのですが、実は違いました。
日本では、この「馬鈴薯」がじゃがいもの正式名称です。
一般的にはじゃがいもですが、行政や学会などの分野では「馬鈴薯」と呼ぶのだとか。
つまりじゃがいも=馬鈴薯なのですね。
男爵いもはなぜ「男爵」?
じゃがいもの種類の1つで最も親しみ深いのが「男爵いも」。
この「男爵いも」は、男爵が日本に持ち込んだことが名前の由来です。
男爵いもが日本にやって来たのは明治時代だった1908年。
持ち込んだのは実業家・川田龍吉男爵です。
この川田男爵がイギリスから男爵いもを持ち帰り、日本に定着したと言われています。
ちなみにこの「男爵いも」、イギリスでは「アイリッシュ・コブラー(Irish Cobbler)」と呼ばれています。
直訳すると「アイルランドの靴直し職人」です。
全然、男爵いもじゃないですね・・・。
メークインは猫じゃない
男爵いもと肩を並べるじゃがいもの有名品種「メークイン」。
この「メークイン」、「メインクーン」と混同しがちですがこれら2つは別物!
「メインクーン」は猫の種類名です。
メークインは英語名で「May Queen」と表記されます。
直訳すると「5月の女王」。
春に美味しく食べられることから、こんな優雅な名前が付けられました。
男爵いもとメークインの違い
じゃがいもの「男爵いも」と「メークイン」は特徴が大きく異なります。
男爵いも | メークイン | |
---|---|---|
食感 | ホクホク | ねっとり |
主な地域 | 東日本 | 西日本 |
見た目 | 丸っこい | 細長い |
手触り | ゴツゴツ | すべすべ |
男爵いも・メークインの味に大きな違いはありません。
しかし、食感の違いから、
- 男爵いも:ポテトサラダ・マッシュポテトなど
- メークイン:煮物など煮込み料理
に向いています。
じゃがいもの発祥
じゃがいもの発祥地は南アメリカ大陸中南部。
アンデス山脈のペルーとボリビアにまたがるチチカカ湖周辺とされています。
このチチカカ湖の標高は3810m。
富士山(3776m)よりも高い位置にある湖です。
栽培が始まったのは紀元前500年ごろと、今から2500年も前とされています。
アンデス山脈で栽培されていたじゃがいもがヨーロッパに伝わったのは15~16世紀ごろ。
推測ではありますが、1570年頃にスペインに伝わったのが最初とのことです。
もっと古くから各地にある野菜だと思ってましたが、実は世界中で食べられるようになってから500年ほどしか経っていないのですね!
じゃがいもの分類
じゃがいもは生物学ではナス科ナス属の多年草に分類されます。
じゃがいもってなすの仲間だったのですね・・・。
ちなみに、同じナス属にはなすの他にトマトがいます。
じゃがいもとなすとトマトって、遺伝子的にはとても近い野菜だったのですね。
いつも食べている部分は○○
じゃがいものうち、わたしたちがいつも食べているのは地下茎(ちかけい)と呼ばれる部分です。
地下茎とは、その名が示すとおり地下に生える茎のこと。
また、その地下茎のうちじゃがいもは塊茎(かいけい)に分類されます。
塊茎は不定形に肥大した地下茎のこと。
なんとなくじゃがいもは「根」だと思っていましたが、実は「茎」の部分を食べていたのですね!
まとめ
- じゃがいもの名前は、
- ジャガトラ港経由の「ジャガタラいも」
- ジャワ島のいも「ジャワいも」
- 飢饉を救った「御助いも」
- という3説が由来。
- 種類のうち、馬鈴薯はじゃがいもの別名。
- 男爵いも・メークインともにイギリスから伝来したじゃがいも。
- 発祥はアンデス山脈のチチカカ湖。
- 分類上はナス科ナス属、食べている部分は地下茎の塊茎。
じゃがいもの名前の由来がインドネシアに因んでいたり、飢饉を救っていたりと色々で面白いですね。
意外と知らないじゃがいものあれこれ。
知った今日からは、少しじゃがいもに対する見方も変わるかもしれませんね♪