暑い夏を乗り越える!夏バテに打ち勝つネバネバ食材「ツルムラサキ」とはどんな野菜なのか?
ツルムラサキの分類や旬の時期、栄養価についてまとめました。
さらに、名前である「ツルムラサキ」の由来も調査!
ツルムラサキは本当にツルが紫色なのか?についても掘り下げています。
ツルムラサキとは?
ツルムラサキはツルムラサキ科ツルムラサキ属のつる性一年生植物です。

ちなみにツルムラサキ科にはツルムラサキ属を含め4属があり、20~25種類があります。
ツルムラサキ科でツルムラサキ以外に知られているのは、オカワカメの呼び名で知られるアカザカズラくらいです。
漢字で書くと「蔓紫」。
「蔓(つる)」が「紫(むらさき)」なので、そのままですね。
ツルムラサキの旬はいつ?
ツルムラサキは7~9月ごろの夏が旬の夏野菜です。
暑さに強く、というか暑い環境を好むため、夏にどんどん成長し収穫時期を迎えます。
低温には弱いため、秋以降は野菜としてではなく、種を採ることが主となります。
栽培は比較的簡単なので、家庭菜園向きの野菜です。
ツルムラサキはどこを食べる?
ツルムラサキは葉・茎・花軸など基本的にどこでも食べられます。
ただし、主に収穫され食べられているのは若い葉やわき芽、ツルの先15cmほどの柔らかい部分。
夏になるとどんどん若い葉が生長してくるので、次々と摘み取っていくのが一般的ですね。
ツルムラサキは「ツル」が「紫」なのか?
「ツル」が「ムラサキ」という名前のツルムラサキ。
そんなツルムラサキですが、実物を見てみると別にツルはムラサキではありませんよね?

普通に緑色の茎をしています。
なぜツルも緑色なのに「ツルムラサキ」という名前なのか?
それは、初めて日本に流入されたツルムラサキの茎が赤色だったから!
ツルムラサキには大きく分けて『青茎種(緑茎種)』と『赤茎種』があります。
そのうち、江戸時代ごろ、最初に日本へやってきたのは「赤茎種」でした。

この『赤茎種』のツルムラサキは野菜としても食べられますが、主に観賞用として親しまれてきた種類。
ツルムラサキは花も可愛らしく、実もキレイなため、観賞用にもオススメです。
また、暑さに強く、成長が早く2~3mほど伸びるため、最近では窓辺で育ててグリーンカーテン(日除け)として活用されることも。
その後、より柔らかく味も良い『青茎種』も流入し、食用としては『青茎種』が重宝されるようになりました。
ここからは、そんなツルムラサキの栄養価について掘り下げます。
ツルムラサキの栄養価
ツルムラサキ100gあたりの栄養価を記載します。
ツルムラサキの栄養価は『生』と『茹で(ゆで)』両方を記載します。
- ツルムラサキ生:野菜類/つるむらさき/茎葉/生
- ツルムラサキ茹で:野菜類/つるむらさき/茎葉/ゆで
<基本>ツルムラサキの栄養価
ツルムラサキ生・茹で100gあたりの基本の栄養価です。
栄養素 | 生 | 茹で |
---|---|---|
エネルギー | 11kcal | 12kcal |
水分 | 95.1g | 94.5g |
たんぱく質 | 0.7g | 0.9g |
脂質 | 0.2g | 0.2g |
炭水化物 | 2.6g | 3.2g |
食物繊維 | 2.2g | 3.1g |
(水溶性食物繊維) | 0.6g | 0.5g |
(不溶性食物繊維) | 1.6g | 2.6g |
まず、エネルギー(カロリー)は100gあたり11kcal(生)ととても低カロリーであることが分かります。
茹でたツルムラサキの方がカロリーが高いのは、茹でて水分が微妙に抜けたため。
水分が95.1g(生)から94.5g(茹で)と0.6g減少したことにより、茹でたツルムラサキの方が栄養価が高くなっています。
さらに、ツルムラサキは食物繊維が豊富な野菜でもありますね。
生でも100gあたり2.2g、茹でると3.1g。
カロリーに対して含まれる食物繊維が多いためダイエットにも向いていますね。
そんな食物繊維のうち、生・茹でいずれでも70%以上を占めるのは『不溶性食物繊維』です。
不溶性食物繊維は整腸作用が高く、便秘の予防・解消に効果的とされ、胃の調子が悪いと感じている方は積極的に摂るべき栄養素。
ツルムラサキならそんな不溶性食物繊維が効率良く摂れるため、食物繊維不足の解消にもオススメです。
<ビタミン>ツルムラサキの栄養価
ツルムラサキ生・茹で100gあたりに含まれるビタミンです。
栄養素 | 生 | 茹で |
---|---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 2900μg | 3200μg |
ビタミンB1 | 0.03mg | 0.02mg |
ビタミンB2 | 0.07mg | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.09mg | 0.04mg |
葉酸 | 78μg | 51μg |
ビタミンC | 41mg | 18mg |
ビタミンD | 0μg | 0μg |
ビタミンE | 1.3mg | 1.5mg |
ツルムラサキは100gあたりにβカロテンが2900μg(生)含まれるため緑黄色野菜です。
緑黄色野菜は100gあたり600μgのβカロテンを含む野菜の総称です。
βカロテンには抗酸化作用や目の保護、粘膜の保護といった働きが期待できます。
体内でビタミンAに変換されることからプロビタミンAとも呼ばれますが、吸収率が低いのが難点。
油に溶ける(脂溶性)という性質を生かし、油炒めなどに料理をして食べると効率的に摂取できます。
また、ツルムラサキには葉酸やビタミンC、ビタミンEも多く含まれます。
<ミネラル>ツルムラサキの栄養価
ツルムラサキ生・茹で100gあたりに含まれるミネラルです。
栄養素 | 生 | 茹で |
---|---|---|
ナトリウム | 9mg | 7mg |
カリウム | 210mg | 150mg |
カルシウム | 150mg | 180mg |
マグネシウム | 67mg | 41mg |
リン | 28mg | 24mg |
鉄 | 0.5mg | 0.4mg |
夏野菜であるツルムラサキは、利尿作用により体を冷やす効果が期待できるカリウムが多く含まれます。
さらに、ツルムラサキはカルシウムが豊富なのもポイント!
日本における1日あたりのカルシウムの摂取基準(推奨量)は成人男性は650mg~800mg、成人女性は650mgです。
つまり、茹でたツルムラサキを100g食べれば1食分弱のカルシウムが摂取できることに!
ちなみに、茹でたツルムラサキ100gに含まれるカルシウム180mgは牛乳コップ1杯分に匹敵する量でもあります。
※牛乳コップ1杯・180mlに含まれるカルシウムは約200mgです。
成長期の子どもや高齢者にとって欠かせないカルシウムを効率的に摂るならツルムラサキがオススメです。
【まとめ】ツルムラサキとは?
- ツルムラサキはツルムラサキ科ツルムラサキ属の一年生植物
- 旬は7~9月の夏
- 暑さに強いためグリーンカーテンなどにも利用される
- 観賞用として流入したツルムラサキは茎が赤い『赤茎種』だったためツルムラサキという名前に
- 食用としては柔らかく食べやすい『青茎種』の人気が高い
- 低カロリーで食物繊維が豊富な緑黄色野菜
- カリウム・カルシウムも豊富に含まれる
ここまで、ツルムラサキについてまとめました。
何となく名前は知っているけどよく分からなかったツルムラサキ。
次の記事では、そんなツルムラサキの食べ方やネバネバの秘密について掘り下げていきます。