濃口しょうゆ・薄口しょうゆの違いについてまとめました。
色の濃さ・薄さだけではない濃口・薄口しょうゆの違いとは?
カロリー・塩分など栄養の違いや、料理での使い分けなど、濃口・薄口しょうゆの違いをチェックしましょう。
【基本】しょうゆについて
しょうゆとは主に大豆を原料とした液体調味料です。

蒸した大豆と麹菌を加えてしょうゆ麹を作り、食塩水を混ぜます。
しょうゆ麹と食塩水を混ぜたものが『もろみ』です。
このもろみを数ヶ月かけて発酵させ搾り、加熱処理をする『火入れ』または熱を加えない『ろ過』いずれかの工程を経て完成します。

日本人にとってなじみ深いしょうゆですが、その作り方は煩雑で手間暇がかかるようですね。
※参考 キッコーマンしょうゆのできるまで
しょうゆの種類
しょうゆは日本農林規格(JAS規格)において
- たまり
- こいくち(濃口)
- うすくち(薄口・淡口)
- さいしこみ(再仕込み)・甘露
- しろ(白)
という5種類に分類されます。
このうち主流なのは濃口しょうゆ・薄口しょうゆの2種類でしょう。
ここからは、そんな濃口・薄口しょうゆの違いについて掘り下げていきます。
濃口・薄口しょうゆの違い
濃口しょうゆ・薄口しょうゆの違いは『色』。

赤みがかった黒色の濃口しょうゆと、透き通った薄茶色の薄口しょうゆは、ハッキリと見た目が違いますよね。
濃口・薄口しょうゆには、そんな色以外にも『原材料』『栄養』の2点において大きな違いがあります。
原材料の違い
濃口しょうゆと薄口しょうゆの違いは「甘酒」が使われるか・使われないかです。
濃口しょうゆは主に「大豆・小麦・塩」という3つの原材料から作られます。
一方、薄口しょうゆは「大豆・小麦・塩」に「甘酒」が加わります。
甘酒を加えることでまろやかな甘味が引き立ち、また香りが穏やかになります。

関西地方の料理は出汁の香りを重視するものが多い。だから、使うしょうゆも香りが控えめな薄口しょうゆが好まれたんだね。
製法の違いも
薄口しょうゆは、濃口しょうゆと比べ
- 麦の炒りが控えめ
- 麹の量が少なめ
- 食塩水の塩分濃度が高め
という製法の違いがあります。
薄口しょうゆが、濃口しょうゆよりも色が薄く、香りが控えめながら塩気が強いのはこのためなのですね。
栄養の違い
濃口・薄口しょうゆは栄養にも違いがあります。
甘酒のあるなしにより、栄養価も変わってくるのですね。
そんな濃口・薄口しょうゆの栄養の違いを表にしてみました。
栄養素 | 濃口しょうゆ | 薄口しょうゆ |
エネルギー | 76kcal | 60kcal |
水分 | 67.1g | 69.7g |
たんぱく質 | 7.7g | 5.7g |
脂質 | 0g | 0g |
炭水化物 | 7.9g | 5.8g |
食塩相当量 | 14.5g | 16.0g |
表で比べると、濃口しょうゆの数値はエネルギー・たんぱく質・炭水化物において薄口しょうゆを上回っています。
たんぱく質・炭水化物は1gあたり4kcal相当。
これらが多く含まれているため、濃口しょうゆの方がエネルギーの数値が高くなっているようですね。
ただし、食塩相当量は濃口しょうゆが14.5gに対し、薄口しょうゆは16.0gと薄口が多いという結果に。
塩分濃度は薄口しょうゆが濃口しょうゆの約1割ほど高くなっています。
しょうゆの濃口・薄口は味の濃い・薄いではなく「色の濃い・薄い」になるようですね。
また、濃口・薄口しょうゆいずれも食物繊維は全く含まれていません。
ビタミンを比較
濃口・薄口しょうゆの栄養価をもっと掘り下げていきます。
まずは濃口・薄口しょうゆのビタミンです。
濃口・薄口しょうゆに含まれるビタミンは、いずれもビタミンB群のみ。
そんなビタミンB群の比較は↓のようになります。
栄養素 | 濃口しょうゆ | 薄口しょうゆ |
ビタミンB1 | 0.05mg | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.17mg | 0.11mg |
ナイアシン | 1.3mg | 1.0mg |
ビタミンB6 | 0.17mg | 0.13mg |
ビタミンB12 | 0.1μg | 0.1μg |
葉酸 | 33μg | 31μg |
パントテン酸 | 0.48μg | 0.37μg |
ビオチン | 12.0μg | 8.4μg |
大きな差はありませんが、やや濃口しょうゆの方が数値が高いという結果に。
ビタミンB群は体内で代謝に関わる酵素をサポートする「補酵素」として働きます。
酵素を活性化させることで代謝を促進し、食べたものがエネルギーに変換されるのを助けてくれるのですね。
ビタミンB群が不足することは現代では少ないですが、代謝促進のためにしっかり摂るべき栄養たちです。
ミネラルを比較
つづいては濃口・薄口しょうゆのミネラルを比較します。
栄養素 | 濃口しょうゆ | 薄口しょうゆ |
ナトリウム | 5700mg | 6300mg |
カリウム | 390mg | 320mg |
カルシウム | 29mg | 24mg |
マグネシウム | 65mg | 50mg |
リン | 160mg | 130mg |
鉄 | 1.7mg | 1.1mg |
ビタミンと同様に大差はないものの、ナトリウムを除き濃口しょうゆの数値が高いという結果になりました。
また、濃口・薄口しょうゆいずれもナトリウムの圧倒的な量が目立ちますね。
塩素と結びつき食塩(塩化ナトリウム)となるナトリウムは、食塩相当量に比例して多くなります。
ナトリウムは体内で筋肉・細胞の動きをサポートする働きなどを行う大切な栄養素。
しかし、摂りすぎると高血圧症など生活習慣病を引き起こしかねません。
塩分が多めの食生活をしている方は、健康に直結するので気を付けた方が良いでしょう。
濃口・薄口しょうゆの使い分け
濃口しょうゆ・薄口しょうゆの料理での使い分けをご紹介します。
コクや香りを重視するなら『濃口しょうゆ』
濃口しょうゆには
- 色味が濃い
- 香りが強め
- コクがある
という特徴があります。
『香りが強め』という特徴は、臭みが強い肉・魚の煮物の味付けに向いています。
豊かな香りが肉の臭み・魚の生臭さを和らげてくれるのですね。
また、しっかりとしょうゆの味を効かせたい煮物にもオススメ。
ただし、色の濃さから、料理が茶色っぽい仕上がりになってしまうのが見栄えの点ではデメリットと言えますね。
素材の色・風味を引き立てたいなら『薄口しょうゆ』
薄口しょうゆには
- 色味が薄い
- 香りが控えめ
- あっさりした味わい
という特徴があります。
塩分が濃口しょうゆよりも多いので、少ない量でもしっかり味を付けられるのがポイント。
たけのこの煮物・若竹煮やかぼちゃの煮物など、野菜本来の色味を残したい料理に向いています。
また、関西風のうどんやお吸い物など透き通ったスープにもオススメ。
塩分がやや高く、色味が薄いため、使いすぎにはご注意ください。
「うすくち」名前の使い分け
「うすくち」しょうゆには『薄口』『淡口』という2通りの漢字表記があります。
この『薄口・淡口』はいずれも間違いではありません。
しょうゆのメーカー・ヒガシマル醤油(株)によると
常用漢字では「薄口」ですが、古来しょうゆは色の濃淡を表す「淡口」を使っています。 それは「薄口しょうゆ」と記載すると、濃口しょうゆよりも「味が薄い、塩分が薄い」という誤解を与えかねないため、本来の特長の1つである「色が淡(あわ)い」ということから「淡口」としているのです。
しょうゆ豆知識 ヒガシマル醤油
とのことでした。
色の濃淡で区別するという意味では『淡口』の方が本来の意味。
色が薄い、ではなく『色が淡い』しょうゆという意味も、薄口しょうゆの特徴を表しているといえます。
けれども、現在では『薄口』しょうゆの方が一般的と言えますので、表記はどちらでも大丈夫だと思います。
ここまで、しょうゆの濃口・薄口(淡口)の違いについてまとめてきました。
- 原材料
- 濃口には大豆・小麦・食塩が、薄口には大豆・小麦・食塩に「甘酒」が加わる
- 塩分濃度
- 薄口は濃口に比べ塩分が1割ほど多い
色の濃淡以外にも明確な違いがあることが分かりましたね。
特徴ごとに使い分けることで、これからの料理に活かしていきましょう♪