お正月が過ぎた頃に食べる七草粥。
その七草粥に入っている「春の七草」、実はちゃんと知りませんよね?
春の七草とはどんなものなのでしょう?
また、春の七草に含まれる野菜も気になります!
そこで、今回は春の七草の野菜・七草粥について調べ、詳しくまとめてみました!

そもそも、七草粥ってどうして食べるんだろう?
食べる日にも決まりがあるのかな?
「春の七草」とは
春の七草とは、その名の通り7種類の野菜・野草のことです。

もともとは同じ読みで「七種」と書かれていました。
漢字が異なっていたのは、本来の七草である「秋の七草」と区別するためでした。
しかし今では春の七草の方が有名となり、表記も「七草」とする場合がほとんど。
正しくは「七種」ですが、現代では気にする人もほとんどいなくなっています。
そんな春の七草は、一般的に七草粥に入っている7種類の野菜・野草のことを指します。
「春の七草」の7種類とは
春の七草にあたる7種類の野菜・野草は以下になります。
- せり
- なずな
- ごぎょう
- はこべら
- ほとけのざ
- すずな
- すずしろ
それぞれどんな野菜なのか気になりますよね?
そこで、ここからは春の七草を1つ1つご紹介していきます。
さらに七草それぞれに込められた意味についてもご紹介します。
せり

せり(芹)は、セリ科の多年草です。
野菜として栽培されるものもありますが、畑や田んぼに自生する野草の方が有名です。
香りが高いので香草として活用されることが多い野菜でもあります。
その香り成分には、
- 鎮静効果
- 血栓予防
- 消化促進
- 発汗作用
という効果が期待されます。
この効用だけでなく、匂いを利用して肉の臭み消しとしても使用されます。
- エネルギー 17kcal
- 水分 93.4g
- たんぱく質 2.0g
- 炭水化物 3.3g
- 食物繊維 2.5g
- β-カロテン 1900mg
- ビタミンC 20mg
- 葉酸 110μg
- カリウム 410mg
- カルシウム 34mg
- マグネシウム 24mg
- リン 51mg
- 鉄 1.6mg
せりはバランス良く栄養を含んでいるのが特長です。
しかし、薬味として使用されることが多いので、一度にたくさんは食べるのは難しいでしょう。
せりに込められた意味
せりに込められた意味は競争に競り勝つというもの。
もともと「せり」という名前は、若葉が競争し合うように成長する「競り」から付けられた名前。
そこから、勝負事に勝てるようにとの願いが込められるようになりました。
ちなみに、花言葉は「清廉で高潔」。
きれいな白い花にピッタリの花言葉ですね。
なずな

なずなは、アブラナ科ナズナ属の越年草です。
「なずな」よりペンペン草という名前の方が有名かもしれません。
なずなは、どんな環境でも育つほど生命力が強い植物です。
その生命力の強さは、何にもない状態を表す「ペンペン草も生えない」という言葉があるほど!
基本的に日本全国どこにでも生えています。
また、葉を折り曲げて振るとシャカシャカ音がすることから、小さい頃に楽器のように遊んだことがある方もいるのでは?
このように、雑草のイメージが強いなずなですが、食用として日本では古くから親しまれてきた食材でもあります。
- エネルギー 36kcal
- 水分 86.8g
- 炭水化物 7.0g
- 食物繊維 5.4g
- たんぱく質 4.3g
- β-カロテン 5200μg
- ビタミンC 110mg
- ビタミンE 2.5mg
- ビタミンK 330μg
- カリウム 440mg
- カルシウム 290mg
- 鉄分 2.4mg
なずなはとにかく栄養豊富な野菜です。
特筆すべきはビタミンCの量!
110mgというのは野菜の中でもトップクラスで、芽キャベツやブロッコリーと肩を並べるほど。
カゼ予防や美肌効果が期待できるビタミンCは寒い冬こそ摂るべき栄養素です。
さらに鉄分も多く含まれていて貧血予防にもオススメです。
なずなに込められた意味
なずなには撫でて汚れを取り払うという意味が込められています。
ふわふわした葉が掃除用具のはたきのように見えるからでしょうか?
ちなみに、なずなの花言葉は「すべてを君に捧げる」とロマンチックでもあります。
ごぎょう

ごぎょう(御形)はキク科ハハコグサ属の越年草です。
別名はハハコグサ(母子草)。
鮮やかな黄色い花が特徴的ですが、食べるのは茎・葉の部分となります。
かつては草餅の餅草として使われており、古くから日本で親しまれてきた野菜でもあります。

今の草餅はヨモギで作られているね。
ごぎょうの栄養に関しては、まだ不明な点が多いので詳しいことは分かりませんでした。
しかし、利尿作用があり身体のむくみ解消に効果的なカリウムを多く含みます。
また、科学的根拠はありませんが、民間療法で咳止め・のどの腫れ治しなどカゼを治すために使われることもあります。
ごぎょうに込められた意味
ごぎょうには人形・仏体という意味が込められています。
そもそも御形の語源は、かつて厄除けとして川に流された御形という人形。
そのため、代わりに厄を受けてくれる厄除けの意味合いがあると思われます。
ちなみに、花言葉は「いつも想う」。
恋人というより、母が子を思うといった意味でしょうか?
温かい気持ちになる言葉ですね。
はこべら

はこべら(繁縷)はナデシコ科ハコベ属の越年草です。
「はこべら」という名前は古名で、現在ではハコベと呼ばれます。
一般的に春の七草として食べられているのはコハコベという種類。
もともとは北米・ヨーロッパなどが原産で、日本では帰化植物として古くから親しまれていました。
現在では、どこにでも生えているありふれた雑草として知られています。
はこべらの栄養についてもあまり詳しいことは分かりませんでした。
しかし、かつては乾燥させ塩に混ぜたものを「ハコベ塩」として歯磨きに使っていたという歴史もあります。歯槽膿漏に効果があるようです。
科学的根拠はありませんが、気管支炎・リウマチ・関節炎に効果的との説も。
はこべらに込められた意味
はこべらには繁栄がはびこるとの意味が込められています。
はこべらはとにかく繁殖力が強い野草です。
その繁殖力はいっしょに生えていたオオムギの生産量を最大80%も減少させるほど!
なかなか厄介そうな雑草ではありますが、子孫繁栄という意味合いではこんなにピッタリな野草もありませんね。
ちなみに、花言葉は「ランデブー」「愛らしい」。
ランデブー、つまり密会。
ちょっとドキドキするような意味ですね。
ほとけのざ

ほとけのざはキク科の越年草です。
別名はコオニタビラコ(子鬼田平子)。

なんだかすごい名前・・・。
ほとけのざも漢字だと「仏の座」なので、どちらにしろ仰々しい雰囲気がします。
黄色い花が特徴で、若葉を食用とします。

あれ?ほとけのざってこんな花じゃなかったけ?

確かにこの写真の花もほとけのざです。
数段重ねのフリルのような葉のてっぺんにピンクの花が乗っている姿は愛らしいですよね。
そもそも、現在ではこの写真の花が「ほとけのざ」。
最初の黄色い花はかつて「ほとけのざ」と呼ばれていましたが、現在ではコオニタビラコが正しい名称です。
ほとけのざもあまりポピュラーではないので、栄養に関しては分かりませんでした。
ただ、科学的根拠はありませんが、咳・痰止めに効果的とされています。
ほとけのざに込められた意味
ほとけのざには仏の安座という意味が込められています。
ゆっくり座るという意味があり、落ち着いて過ごせる年になるといった意味合いでしょうか?
ちなみに、花言葉は「仲間とともに」「想い」です。
優しい気持ちになれそうな言葉ですね。
すずな
すずなはアブラナ科アブラナ属の越年草です。
「すずな」という名前だとピンときませんが、その正体はかぶ。

かぶにはいろいろな別名があり、すずなもそのうちの1つ。
また、すずなはかぶ全体を表す言葉ですが、かぶの葉のみを指す場合もあります。
ただし、現在では葉だけではなくかぶの根も七草粥に入れることが多いようです。
- エネルギー 20kcal
- 水分 92.3g
- 炭水化物 1.4g
- 食物繊維 2.9g
- たんぱく質 0.1g
- β-カロテン 2800μg
- ビタミンC 82mg
- ビタミンE 3.2mg
- ビタミンK 340μg
- 葉酸 110μg
- カリウム 330mg
- カルシウム 250mg
- マグネシウム 25mg
- リン 42mg
- 鉄 2.1mg
かぶの葉に含まれる栄養素で特筆すべきはβ-カロテンの豊富さ!
β-カロテンは体内でビタミンAに変換される栄養です。
- 目の保護
- 生活習慣病の予防
- 免疫力アップ
2800μgは青汁の原料でもあるケールとほぼ同じ量。
一度にたくさんの量を食べられることから考えると、かぶの葉の方がβ-カロテン摂取に効果的と言えますね。
また、実はβ-カロテンはかぶの根には含まれていません!
葉にしか含まれていない貴重な成分だったのですね。
他にもビタミンC・Eやカリウムなどが多く含まれています。
すずなに込められた意味
すずなには神を呼ぶための鈴という意味が込められています。
「鈴」というのは、形が似ているかぶの根のこと。
言われて見ると、確かに丸い形が鈴に見えますね。
そこから神を呼ぶための鈴として縁起の良い野菜となったとのことです。
ちなみにすずなの花言葉は「慈愛」「晴れ晴れと」。
いずれにしても、温かみのある言葉ですね。
すずしろ
すずしろはアブラナ科ダイコン属の越年草です。

ダイコン属ってことは・・・。
すずしろは白く細長い根の部分を食べる野菜、つまり大根です。

かぶの「すずな」は葉の部分のみを指す名前でもありました。
しかし、すずしろは大根全体を指す名前です。
そんな、すずな「かぶ」とすずしろ「大根」の違いが知りたい方は↓
日本では弥生時代にはすでに食べられていた古い歴史の野菜です。
冬に旬を迎えることから、かつての日本では冬の貴重な栄養源だったのでしょう。
栄養成分 | 根 | 葉 |
---|---|---|
エネルギー | 18kcal | 25kcal |
水分 | 94.6g | 90.6g |
たんぱく質 | 0.5g | 2.2g |
炭水化物 | 4.1g | 5.3g |
食物繊維 | 1.4g | 4.0g |
β-カロテン | 0μg | 3900μg |
ビタミンC | 12mg | 53mg |
ビタミンE | 0mg | 3.9mg |
葉酸 | 34μg | 140μg |
カリウム | 230mg | 400mg |
カルシウム | 24mg | 260mg |
マグネシウム | 10mg | 22mg |
鉄 | 0.2mg | 3.1mg |
大根の栄養で注目なのはやはりβ-カロテン。
根は0μgにもかかわらず、葉には3900μgも含まれています。
この数値は緑黄色野菜・かぼちゃとほぼ同じ量!
その他、葉には根にはほとんど含まれていないビタミンC・Eも豊富に含まれています。
同じ野菜なのに部位によって栄養価が全然違うなんて面白いですね!
すずしろに込められた意味
すずしろは汚れのない純白・清白という意味が込められています。
そもそも「すずしろ」は、その白く美しい根から「清白」という漢字が当てられています。
そこから、汚れがない・まっさらという意味になったようです。
ちなみに、すずしろの花言葉は「潔白」「適応力」です。
潔白は分かりますが、適応力というのは意外ですね。
しかし、これはどんな土でも生きていける適応力の高さから付いたものでした。
清らかでたくましいのが大根の特徴ですね。
七草粥とは
春の七草を使った料理と言えば七草粥(ななくさがゆ)。


というか七草粥にしか使わないよね。
七草粥は、通常の白粥に刻んだ春の七草を入れたおかゆのこと。
ちなみに、七草はおかゆにして食べる前の晩(1月6日)に歌を歌いながら刻んでいたとのこと。
日本では1月7日の朝に食べる風習があります。
七草粥を食べる理由
七草粥を食べる一番の理由は健康のためです。
1月7日は年が明け一週間が経過した頃。
日本ではお正月におせちなど豪華な料理を食べてお祝いします。
中にはついついお酒を飲み過ぎてしまう人もいるかもしれません。
すると、知らず知らずのうちに胃や腸に負担がかかってしまいます。
そんな疲れた胃を休めるため、正月明けにおかゆを食べ体調を整えるという意味合いがあります。
また、かつては冬に野菜は育たず、どうしても栄養が不足しがちでした。
七草粥には、そんな冬の野菜不足解消という意味もありました。
さらに、七草粥を食べる1月7日は、旧暦では五節句の1つである「人日の節句」。
「人日」とは、人を殺さない・人(犯罪者)に対する刑罰を行わない日と定められた日のこと。

他の節句では、3月3日の「桃の節句(上巳の節句)」や5月5日の「端午の節句」、7月7日の「七夕の節句」が有名だよね。
「人日の節句」は、古代中国では7種類の野菜を入れた羹(あつもの)を食べるという風習でした。
その風習が日本に伝わり、そのまま七草を入れたおかゆを食べる風習に。
日本では江戸時代ごろから1月7日の風物詩として親しまれています。
何気なく食べていた七草粥ですが、そんな昔からの風習だったのですね!
現在でも七草粥を簡単に作れるセットが販売されているなど風習が根強く残っています。
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- 「春の七草」は、せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろからなる7種類の野菜・野草のこと。
- 七草粥は1月7日の朝に食べるおかゆ。
- お正月のごちそうで疲れた胃を休めるため、消化の良いおかゆを食べるようになった。
- また、収穫物がなく乏しい冬の栄養を補うためという意味もあった。
毎年、何となく食べていた七草粥ですが、健康のために食べるものだったことが分かりましたね。
それぞれの野菜・野草も栄養が豊富なものが多く以外でした。
来年からは、七草粥をもっとありがたく食べようと思います♪