春が旬の筍(たけのこ)にはどんな栄養が含まれているのか?
気になる筍の栄養価を表にしてまとめてみました。
筍(茹で)100gあたりの栄養価
茹でた筍100gあたりの栄養価です。

<基本>の栄養価
茹で筍100gあたりの基本の栄養価です。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 31kcal |
水分 | 89.9g |
たんぱく質 | 3.5g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 5.5g |
食物繊維 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 | 3.3g 0.4g 2.9g |
筍は「たんぱく質」や「食物繊維」を豊富に含みます。
筍のたんぱく質のうち、多く含まれるのがアミノ酸・チロシン。
チロシンはうま味成分の1つであり、筍を茹でると出てくる白いツブツブの正体です。
しかし、このチロシンは酵素によりエグ味が強いホモゲンチジン酸に変化するという性質があり、ホモゲンチジン酸のエグ味を抜くために筍は獲ってすぐアク抜きをする必要があります。
また、筍は食物繊維も豊富に含まれます。
食物繊維のうち約87%を占めるのが、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」。
不溶性食物繊維は便秘の予防・解消などに効果が期待できます。

あのザクザクとした歯ごたえは確かに腸に良さそうなイメージですよね。
さらに、筍の不溶性食物繊維にはコレステロールの吸収を阻害する効果、腸内の老廃物を付着させ一緒に排出する効果など健康に役立つ働きが期待できます。
煮ても歯ごたえがあり、たくさん噛む必要がある筍は少量でも満腹感を得やすいためダイエットにもうってつけですね。
<ビタミン>の栄養価
茹で筍100gあたりに含まれるビタミンです。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 12μg |
ビタミンB1 | 0.04mg |
ビタミンB2 | 0.09mg |
ビタミンB6 | 0.06mg |
葉酸 | 63μg |
ビタミンC | 8mg |
ビタミンD | 0μg |
ビタミンE | 1.6mg |
筍にはビタミンがあまり含まれません。
そのため筍でのビタミン摂取は効率的ではないでしょう。
<ミネラル>の栄養価
茹で筍100gあたりに含まれるミネラルです。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
ナトリウム | 1mg |
カリウム | 470mg |
カルシウム | 17mg |
マグネシウム | 11mg |
リン | 60mg |
鉄 | 0.4mg |
筍には「カリウム」が豊富に含まれます。
100gあたり470mgのカリウム量というのは水菜と同量で、ほうれん草(490mg)や春菊(460mg)に匹敵する量。
カリウムにはナトリウムの排出をサポートする働きがあり、高血圧予防やむくみ解消に効果的。
ただし利尿作用もあるため、尿意を頻繁に感じやすくなるので注意が必要です。
また、カリウムは水溶性の栄養なので、他の野菜では茹でると量が大幅に減少するという特徴がありま。
しかし、筍のカリウムは茹でても減少しにくいという特徴があり、高血圧に悩んでいる方は積極的に筍を食べるべきと言えます。
腎臓に疾患を抱える方はカリウムの摂取が制限されているため筍は避けるべきでしょう。
【まとめ】筍に多く含まれる栄養素
- たんぱく質:アミノ酸・チロシンが豊富
- 不溶性食物繊維:便秘解消に効果的
- カリウム:ナトリウムの排出やむくみ解消に
筍はたんぱく質・不溶性食物繊維・カリウムなど一部の栄養素は多く含まれるものの、ビタミンは少なめ。
全体的にはそこまで栄養価が高くない野菜でした。
栄養を摂取する、という目的では微妙と言えます。
しかし、生の筍はほとんどこの時期にしか食べられない春の味覚。
旬を味わうという点でも季節に一度は食べたい野菜ですね。
アク抜きをした筍は栄養価が下がる?
筍は料理をする前にアク抜きをする必要があります。

筍のアク抜きは米糠(重曹)を入れたお湯で1時間ほど茹でる、といった方法。

1時間も茹でていたら栄養がなくなってしまうんじゃ・・・。
と思ってしまいますよね?
しかし、筍はアク抜きをしても栄養価に大きな変化はありません。
茹で筍(アク抜き済み)と生の筍の栄養価を比較
アク抜きをした『茹で筍』とアク抜き前の『生の筍』の栄養価を比較します。
- 茹で筍:野菜類/たけのこ/若茎/ゆで
- 生の筍:野菜類/たけのこ/若茎/生
※いずれも日本食品標準成分表(八訂)増補2023年を参考にしました。
栄養素 | 茹で筍 | 生の筍 |
---|---|---|
エネルギー | 31kcal | 27kcal |
水分 | 89.9g | 90.8g |
たんぱく質 | 3.5g | 3.6g |
脂質 | 0.2g | 0.2g |
炭水化物 | 5.5g | 4.3g |
食物繊維 水溶性食物繊維 不溶性食物繊維 | 3.3g 0.4g 2.9g | 2.8g 0.3g 2.5g |

上の表を見る限りでは、下茹でした後の方が栄養価が高くなっているよね。
茹でた後の方が栄養価が高いのは、茹でたことにより筍に元々含まれていた少し水分が抜け、その分、食べられる部分のかさが増えたため。
実際、茹でた後の水分は89.9g、茹でる前は90.8gなので、茹でた後は0.9g水分が抜けています。
食べられる部分が増えた分、エネルギー(カロリー)や炭水化物も増加。
ただし、たんぱく質と水溶性食物繊維は微減しています。
また、ビタミン・ミネラルではほとんど変化がありませんでした。
筍は下茹でをしてもほとんど栄養価が変わりません。
下茹でをすることで柔らかく消化が良くなり、味も食べやすくなります。
むしろ、筍は下茹でをしないとアクが強いため食べられません。
筍のアクには栄養がある?
筍の『アク』はシュウ酸・ホモゲンチジン酸という成分です。
このシュウ酸・ホモゲンチジン酸はエグ味が強く、下茹でによりアク抜きをしない筍はとても食べられません。

味が悪くなるだけで、シュウ酸やホモゲンチジン酸は体に良い働きをしないの?
筍に含まれるアクのうち、シュウ酸は体にとって害となる成分なので必ずアク抜きをした方が良いです。
シュウ酸のデメリットは尿路結石のリスクを上げること。
シュウ酸は摂りすぎると腎臓内で結晶化し、尿路に溜まって激痛を引き起こします。
わたしは体験したことがありませんが、尿路結石は死ぬほど痛いらしいので、永遠に体験したくありませんよね・・・。
また、シュウ酸はカルシウムと結合しやすく、一緒に排出させてしまうというデメリットも。
カルシウムと結合しやすいため、シュウ酸とカルシウムを一緒に摂ると排出されやすく尿路結石のリスクは下がります。
しかし、カルシウムの体内への吸収が阻害されるため、あまりよくありません。

とにかくシュウ酸はしっかり抜いた方が無難だよね。
また、同じく筍のアクであるホモゲンチジン酸はアミノ酸の一種・チロシンが変質したものなので、とにかくエグ味が強いだけで身体に害はありません。
シュウ酸は水溶性なので水に溶け、ホモゲンチジン酸は熱により活性を失います。
シュウ酸・ホモゲンチジン酸も一度にアク抜きできるため、筍は「下茹で」をすることが重要なのですね。
ここまで、筍のアク抜き後の栄養についてもまとめました。
- 筍はアク抜きしても栄養価が大きく減らない
- むしろアク抜きをしないと健康リスクが上昇
という2点のみ覚えて頂ければOK!
しっかりアク抜きをし、筍の味と栄養を噛みしめましょう!