暖かくなり春真っ盛りの季節に出回る野菜・菜の花。
黄色い花が可愛い菜の花ですが、野菜としてはどんな特徴があるのでしょう?
また、春にしか食べられないイメージの菜の花の旬とは?
菜の花の種類や栄養価、料理法も気になりますよね。
今回は、そんな菜の花のについてじっくりまとめてみました!
「菜の花」とは
「菜の花」と聞くと思い浮かぶのは↓の花ではありませんか?

春になると土手一面が黄色い絨毯を敷かれたかのように真っ黄色になります。
パッと鮮やかで、見ているだけで心が弾む色ですよね。
そんな菜の花の楽しみ方は観るだけではなく食べるのもオススメです!
菜の花の料理法
菜の花はアクが強い野菜なので、下ごしらえとして下ゆでをオススメします。

- 水は多め(1L~)
- 塩は水の2%ほど(1Lなら20g)
- ゆで時間は1分以内
- ゆでた後は冷水に浸ける
下ゆではおひたし・サラダなどはもちろん、炒めものを作る際にも行います。
炒めものでは最後に油や他の具材と混ぜ合わせるだけでOKです。
加熱しすぎないよう、サッと炒めるのがポイントです。
食べる以外にも!菜の花活用法
菜の花の英語名は「canola flower」。
「canola」はキャノーラ油のキャノーラです。
つまり菜の花は菜種油の原料でもあります。

また、菜の花は古くから観賞用としても親しまれてきました。
菜の花は荒れた土地でも栽培できる丈夫な野菜。
たしかに、毎年土手には何もしていなくても一面に菜の花が咲き誇っています。
観光用に菜の花畑を作っても良し、土手に植えて景観をよくしても良しと大活躍です。
菜の花は野菜としても油としても使え、見栄えも良い、まさに万能な野菜だったのですね!
菜の花の旬
菜の花の旬は2~3月の初春です。

黄色い花が見頃を迎えるのは、だいたい3月後半~4月ですよね。
しかし、食用の菜の花は花が咲く前に収穫するので2~3月頃のまだ寒い季節が旬となります。
菜の花の種類
菜の花はアブラナ科アブラナ属に分類されます。
- アブラナ
- 水菜
- かぶ
- 小松菜
- 白菜
- チンゲンサイ
- 野沢菜
- キャベツ
- ブロッコリー
- カリフラワー
- ザーサイ
そもそも菜の花はアブラナ科アブラナ属の花の総称。
菜の花という種類の花はありません。
そのうち、菜の花という言葉が一般的に指すのはアブラナとなります。

アブラナはアブラナ科アブラナ属の2年草です。
また、菜の花とよく似た野菜に「菜花」というものもあります。
この菜花は、アブラナ科アブラナ属のうち主に花の部分を食べるものを指します。
アブラナの種類
アブラナは、日本に元々あった在来種のアブラナと、ヨーロッパ原産の西洋種・セイヨウアブラナの2種類に大きく分けられます。
利用方法は、
- 在来種:野菜
- 西洋種:油の原料
が一般的です。
しかし、在来種から油を採ることも、西洋種を食べることもできます。
また、春に土手一面を覆う菜の花はアブラナではなくセイヨウカラシナです。
「カラシナ」と呼ばれることからも分かるように、その種子はからしの原料となります。
菜の花の栄養価

春の味覚・菜の花(アブラナ)の栄養を在来種・西洋種にわけてご紹介します。
- 在来種:野菜類/(なばな類)/和種なばな/花らい・茎/生
- 西洋種:野菜類/(なばな類)/洋種なばな/茎葉/生
<基本>の栄養価を比較
まずは、菜の花の基本の栄養価です。
栄養素 | 在来種 | 西洋種 |
---|---|---|
エネルギー | 34kcal | 36kcal |
水分 | 88.4g | 88.3g |
たんぱく質 | 4.4g | 4.1g |
脂質 | 0.2g | 0.4g |
炭水化物 | 5.8g | 6.0g |
食物繊維 | 4.2g | 3.7g |
菜の花は在来種・西洋種ともに食物繊維が多く含まれます。
そんな食物繊維の内訳は↓になります。
在来種 | 西洋種 | |
---|---|---|
水溶性食物繊維 | 0.7g | 0.7g |
不溶性食物繊維 | 3.5g | 3.0g |
食物繊維・総量 | 4.2g | 3.7g |
水溶性食物繊維は在来種・西洋種ともに100gあたり0.7g。
しかし、不溶性食物繊維は在来種が3.5g、西洋種が3.0gと差が開きました。
便秘の予防・改善に役立つ不溶性食物繊維が豊富な菜の花。
茹でればかさが減り、一度に多くの量を食べやすいので食物繊維を効率的に摂りたい方はオススメです。
<ビタミン>の栄養価
続いて、菜の花のビタミンの栄養価です。
栄養素 | 在来種 | 西洋種 |
---|---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 2200μg | 2600μg |
ビタミンB1 | 0.16mg | 0.11mg |
ビタミンB2 | 0.28mg | 0.24mg |
ビタミンB6 | 0.26mg | 0.22mg |
葉酸 | 340μg | 240μg |
ビタミンC | 130mg | 110mg |
ビタミンD | 0μg | 0μg |
ビタミンE | 3.5mg | 1.8mg |
ビタミンK | 250μg | 260μg |
表を見ると、菜の花はビタミンをバランス良く含んでいることが分かります。
そのうち、特に豊富に含むビタミンをピックアップしてみます。
βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変換される栄養素です。
100g中にβカロテンを在来種は2200μg、西洋種は2600μg含む菜の花は緑黄色野菜に分類されます。
ちなみに「緑黄色野菜」とは、食べられる部分100g中にβカロテンを600μg以上含む野菜のこと。
そんなβカロテンは高い抗酸化作用を持つ栄養素。
さらに目や皮膚・粘膜の保護、免疫力のアップにも効果が期待できます。
また、近年では抗がん作用にも注目が集まるなど、積極的に摂りたい栄養素といえますね。
葉酸
葉酸には『造血作用』や『DNAの合成』、『細胞分裂』などに関わる栄養素。
特に『DNAの合成』という働きにより、妊娠中の女性にとっては欠かせない栄養素とされています。
菜の花は、そんな葉酸の含有量が野菜の中でもトップクラス!
100gあたり340μg(在来種)というのは、それだけで1日あたりの摂取量を超えるほどの豊富さです!
※目安量は成人男性・女性ともに240μg、妊娠中の女性は400μgが理想です。
ただ、葉酸は熱に弱く・水に溶けやすいという特性があり、通常の料理では失われやすいのがデメリットです。
料理するときはできるだけ加熱時間を短く、水にさらす時間を減らすようにしましょう。
ビタミンC
ビタミンCは白血球の免疫力を上げる効果があり、風邪などに対する抵抗力をアップさせてくれます。
さらに、ビタミンCの特徴は高い抗酸化作用。
過酸化脂質の生成を防ぐ働きがあり、動脈硬化の予防に効果的です。
また、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCは美肌・美白のためには欠かせません。
菜の花にはそんなビタミンCが100gあたり在来種は130mg、西洋種は110mgと豊富に含まれます。
ビタミンCは熱に弱く・水に溶けやすいので、加熱のときはサッと茹でることを心がけましょう。
ビタミンE
ビタミンEには強い抗酸化作用があります。
特に体内の不飽和脂肪酸の酸化を抑える働きがあり、動脈硬化・心筋梗塞といった生活習慣病予防に効果的です。
また血管を強くし、血流を活発にするという効果もあり、
- 肩こり・冷え性などの改善
- 肌の血行促進
に役立ちます。
さらに、ビタミンEにはホルモンの分泌を円滑にする効果も期待できます。
ビタミンK
ビタミンKには血液を固まりやすくする働きがあります。
さらに、カルシウムを骨に定着させる働きから、骨や歯を丈夫にする効果が期待できます。
- 内出血しやすい方
- 成長期の方
にオススメの栄養素と言えますね。
<ミネラル>の栄養価
最後に、菜の花のミネラルの栄養価です。
栄養素 | 在来種 | 西洋種 |
---|---|---|
ナトリウム | 16mg | 12mg |
カリウム | 390mg | 410mg |
カルシウム | 160mg | 97mg |
マグネシウム | 29mg | 28mg |
リン | 86mg | 78mg |
鉄 | 2.9mg | 0.9mg |
菜の花はミネラルもバランス良く含みます。
特に豊富なのはカルシウムで、在来種の100gあたり160mgは野菜の中でもトップクラスの含有量です。
骨や歯の生成や血液の凝固、神経・筋肉の働きを正常化させるなど、健康には欠かせないカルシウム。
茹でてかさが減る菜の花はそんなカルシウムをたっぷり摂るのにピッタリと言えますね。
また、鉄が2.9g(在来種)も含まれるのはとても豊富です。
体内で赤血球を作る鉄は、足りなくなるとめまいや立ちくらみでフラフラに。いわゆる貧血になってしまいます。
また、妊娠中は足りなくなりがちなので積極的に摂るようにするのがオススメ。
菜の花は一度にたっぷり食べやすいので栄養を効果的に採れる野菜と言えますね。
【まとめ】菜の花について
- 菜の花はアブラナ科アブラナ属の花の総称。
- 一般的に「菜の花」はアブラナを指す。
- アブラナは在来種・西洋種に分かれ、野菜として食べられるのは在来種であることが多い。
- 菜の花の旬は2~3月頃。
- アクが強いので、料理をする際にはあらかじめ下ゆでしておく。
- 菜の花は緑黄色野菜なのでβカロテンが豊富。
- その他にも、ビタミンE・Kやミネラル類が多く含まれる。
見ても美しい菜の花は、栄養抜群で食べても嬉しい野菜でもありました。
春の初めにしか味わえない旬の味覚・菜の花。
今度からは菜の花を積極的に料理に取り入れたいですね♪