寒い季節になり、鍋物が恋しくなる日々ですね。
そんな鍋物のなかでも人気が高い「すき焼き」についてまとめます。
すき焼きとはどんな料理?なぜ「すき焼き」という名前なの?
また、すき焼きの具材のうち、気になる『溶き卵』『焼き豆腐』『白滝』についてまとめました。
すき焼きとは?
すき焼きとは、主に牛肉を浅い鉄鍋で焼いたり煮たりする料理のこと。
しょう油と砂糖・みりん、料理酒などを合わせた割り下(わりした)を使う、こってりとした甘辛い味付けが特徴です。
割り下と『つゆ』よりもこい味付けのもので、合わせ調味料の一種です。
Amazon.co.jpで「すき焼き 割り下」を検索する ≫具材は牛肉の他に、
- 長ねぎ
- 白菜
- 春菊
- 椎茸
- 焼き豆腐
- 白滝・糸こんにゃく
- お麩
などが使われます。
また、鍋から取り分ける小皿に割りほぐした卵(溶き卵)を入れ、その溶き卵に浸けてから食べるという独特のスタイルもポイント。
家庭料理としてはご馳走として振る舞われるのが一般的?な気がします。
わたしのイメージは旅館の夕ご飯です。どちらにしても特別感がある食事のイメージですよね。
すき焼きはなぜ「すき焼き」?名前の由来について
すき焼きの名前の由来には3つの説があります。
『鋤やき』
すき焼きの名前の由来、1つ目は『鋤やき』だったという説。
鋤(すき)とは畑の土を掘り起こす農具のこと。
この鋤を鉄板代わりにして肉を加熱した料理は「すき焼き」と呼ばれていました。
『鋤やき』は1800年代初頭の文献に初めて登場。
江戸時代の中期には、関西地方を中心に食べられていたとのことです。
その当時の食材は鴨などの鳥肉、くじら肉、魚、貝類などだったとのことです。
これらは『鳥すき』や『魚すき』、『沖すき』と呼ばれ、そのうち牛肉を使った料理は「鋤焼」と飛ばれるようになったとされています。
『杉やき』
すき焼きの名前の由来、2つ目は『杉やき』だったという説。
『杉やき』とは鯛などの魚介類と野菜を杉の箱に入れて味噌煮にした料理です。
杉の箱に入れて煮るから『杉やき』。
この『杉やき』は1643年、江戸時代の前半に書かれた料理書に登場した料理で、前述した『鋤やき』よりも時代が古いのが特徴となります。
剥き身の肉を使うから
すき焼きの名前の由来、3つ目は『使用するのが剥き身(すきみ)の肉』だったという説。
剥き身とは薄切りのこと。
主に牛肉に使われるため、牛薄切り肉を指す言葉です。
剥き身の肉を使うから「すき焼き」という説ですね。
すき焼きの歴史について
かつての日本人、幕末以前の日本人にとって牛肉を食べることは一般的ではありませんでした。
牛肉が食べられるようになったのは、黒船来航をきっかけに横浜が開港した1859年ごろから。
外国人居留地に暮らす人たちの肉食文化に感化され、次第に牛肉を使った『牛鍋』のお店が増えていきます。
それ以前にも長崎などでは食肉文化があったらしいですが、繁盛はしていなかったとのこと。
それまでなじみがなかったため、いきなり肉を食べるのは抵抗があったのでしょう。
しかし、一度牛肉を食べてしまうと、その美味しさから牛鍋は瞬く間に流行します。
それから10年あまりで牛鍋は文明開化の代名詞、と呼ばれるほどに定番化していきます。
すき焼き(牛鍋)=文明開化、というイメージは歴史の授業で習ったとおりですね。
ただ、当初の「すき焼き」は牛鍋の一種という立ち位置。
牛鍋のうち、鍋で肉を焼く食べ方をする料理で、どちらかというと焼き肉に近い食べ物だったとのこと。
それから試行錯誤を経て、明治7年ごろから現在のしょう油味のすき焼きが一般的に。
また、かつては牛肉の他にも鶏肉や魚などをすき焼き風に煮た、いわゆる『すき煮』も提供されていたとのことですが、牛肉の方が人気が高く、水炊きなど他の鍋料理の人気の影に隠れ、いつしか消えてしまいました。
すき焼きに使う鍋とは?
すき焼きに使う鍋、と聞くと、すき焼きでしか使わない浅い鉄鍋を想像しますよね。
このいわゆる『すき焼き鍋』は、まだすき焼きが牛鍋だった明治初期にはもう誕生していたとされています。
すき焼き(牛鍋)が生まれてからわずか20年ほど。
あっという間に牛鍋は市民権を得て、調理道具まで誕生していたのですね。
Amazon.co.jpで「すき焼き鍋」を検索する ≫すき焼き具材の疑問を解消!
ここからは、すき焼きに使う具材に関する疑問を解消していきます。
すき焼きはなぜ溶き卵に浸けて食べる?
すき焼きといえば溶き卵につけて食べるのが一般的ですよね。
しかし、他の鍋もの、もとい料理では溶き卵につけて食べるということはほぼありません。
それでは、なぜすき焼きは溶き卵につけて食べるようになったのか?
調べてみると、由来に関するいくつかの説がありました。
- 熱々の具材を冷ますため
- 味付けの濃さを和らげるため
- 当時は高級品だった卵を使うことで、より高級感を味わうため
- 牛肉のクセ・臭みを和らげるため
- 江戸っ子はシメの卵とじまで待てなかった
どれもありそうな説ですが、いずれも確証はありません。
そんな中、もっとも有力視されているのが『もともと溶き卵につけて鍋物を食べていた』という説。
江戸時代には、軍鶏(シャモ)の鍋を食べるとき、シャモの淡白さが物足りず溶き卵につけて食べていた、という風習があったとのこと。
この風習がそのまま牛鍋、すき焼きまで受け継がれ、すき焼きに溶き卵という黄金コンビが生まれたという説がもっとも有力です。
わたしは生卵がちょっと苦手なので、溶き卵につけて食べるよりも、あらかじめ卵とじにしてしまう方が好きですね。
すき焼きに焼き豆腐を使う意味
すき焼きに使用する豆腐といえば『焼き豆腐』。
焼き豆腐とは、木綿豆腐の表面を炙り、両面に焼き色をつけた豆腐のことです。
すき焼きに使われる焼き豆腐には特別感がありますよね。
そもそも、焼き豆腐ってすき焼きにしか使わないイメージです。
どうして、すき焼きには焼き豆腐を使うのか?
その理由は、焼き豆腐はあらかじめ水切りがされている上に、両面に焼き目がついているため、煮込んでも崩れにくいため。
また、程よく水気が抜けているため味が染みこみやすい、という利点もあります。
使いやすいから焼き豆腐なのですね。
すき焼きには焼き豆腐!というイメージが強いですが、普通の木綿豆腐・絹豆腐を使用しても全然OKなので、スーパーに売っていなくても慌てる心配はありません。
ただ、木綿豆腐・絹豆腐を使う場合は煮込む前に水切りをすることがオススメです。
白滝を入れると牛肉が硬くなる!?ウワサの真相とは
牛肉と白滝を隣り合わせで煮込むと、牛肉が硬くなる。
といった言葉を聞いたことはないでしょうか?
これは白滝(しらたき)に含まれる凝固剤、つまり水酸化カルシウムにより牛肉が変質し硬くなってしまう、とのウワサです。
たしかに、水酸化カルシウムは肉を硬くする効果があります。
けれども、白滝に含まれる水酸化カルシウムは多くなく、牛肉を硬くさせるほどではありません。
したがって白滝を使用しても牛肉の食感に影響を及ぼす可能性は少ないでしょう。
ただ心配であれば、白滝をしっかり下茹ですれば水酸化カルシウムの量が減るのでオススメです。
ここまで、すき焼きについてまとめました。
家庭料理の中でも特別なときに食べるご馳走のイメージが強いすき焼き。
日本では150年以上前から親しまれてきた料理です。
これから寒い季節になるとより美味しくなるすき焼きを、ぜひ楽しみましょう♪