お正月に食べる「おせち料理(御節料理)」は節句(季節の変わり目)に食べる特別な料理のこと。
特に、お正月のおせち料理は『おめでたいことが重なるように』と重箱に詰められています。
食べる縁起物、とも呼ばれるおせち料理には、料理1つ1つに新年への願いや祈りがこめられています。
そんなおせち料理の種類と、料理にこめられた願い・祈りについてまとめました。
祝い肴(いわいざかな)
おせち料理のうち『祝い肴(いわいざかな)』とは3種類のお酒の肴(さかな)のことです。
『祝い肴』は
- 数の子
- 黒豆
- 田作り
の3種類が主に知られています。
お酒によく合うおつまみ系ばかりで、お屠蘇とともに最初にいただく料理となります。
お正月に無病長寿を祝って飲む薬草酒。名前は『邪気を屠り、魂を蘇らせる』という意味。
屠蘇散(とそさん)という数種類の生薬を日本酒・みりんにつけ込んで作ります。
「数の子」子宝・子孫繁栄

「数の子」はニシンの卵(卵巣)を醤油・酒・みりん・出し汁などで味付けしたもの。
昆布やスルメと和えたものは『松前漬』としてお正月以外にも親しまれています。
数の子はDHA・EPAが豊富で、魚卵ながらプリン体が少ないのが特徴。
細かいプチプチ食感はクセになりますよね。
そんな数の子は、卵の数が多いニシンにあやかり『子宝に恵まれる』や『子孫繁栄』という意味がこめられます。
また、ニシンに『二親』という漢字を当てはめ『二人の親からたくさんの子を』という願いもこめられています。
「黒豆」誠実・健康、邪気払い

「黒豆」は黒大豆を甘く煮た料理。
大豆なのでたんぱく質や食物繊維が豊富ですが、砂糖水で煮てあるので糖質も高めです。
黒色は色素のアントシアニン(ポリフェノールの一種)も含まれます。
そんな黒豆は『まめ』という言葉から『まめに働く=誠実・勤勉』といった意味がこめられます。
また、しっかり働けるように『健康』もこめられた願いです。
さらに、黒豆の黒色には『邪気払い』の意味もあります。
新年の健康や厄払いという祈りがこめられた料理だったのですね。
「田作り」五穀豊穣

「田作り」は、ごまめ(カタクチイワシの幼魚を乾燥させたもの)を甘辛く味付けしたものです。
小魚なのに田作りと言われているのは、かつて田畑の肥料として干したイワシが使用されていたから。
イワシの肥料で米が豊かに実ったことから『五万米(ごまめ)』という漢字が当てられ、そのまま豊作を願う『五穀豊穣』という意味がこめられるようになりました。
田作りにはたんぱく質やカルシウム、DHAなどが含まれ、栄養価が優れています。
口取り(くちとり)
おせち料理の「口取り(くちとり)」は「祝い肴」とともに一の重に詰められる、甘みが強いお酒の肴のこと。
「祝い肴」と比べると、甘みが強く、色合いが華やかであるという違いがあります。
そんな口取りには
- 紅白かまぼこ
- 伊達巻き
- 栗きんとん
- 紅白なます
といった料理が主だって知られています。
「紅白かまぼこ」魔除け、清浄

「紅白かまぼこ」は、赤・紅(ピンク色)で縁取りされたかまぼこと、白一色のかまぼこ、その2種類のこと。
魚のすり身からできているかまぼこはたんぱく質が手軽にとれる料理です。
そんな紅白かまぼこのうち、
赤・紅(ピンク色):魔除け、慶び
白:清浄、神聖
といった意味がこめられます。
さらに、かまぼこの半円型は『初日の出』を連想させることからも、新年にふさわしいと言われています。
ちなみに、紅白かまぼこは「右紅左白(うこうさはく)」、右側に赤・左側に白を配置するのが縁起がよいとのことです。
「伊達巻き」学業成就、子孫繁栄

「伊達巻き(だてまき)」は、卵と魚のすり身を溶き混ぜ、焼き、巻いたもの。
伊達巻きの『伊達』は華やか・オシャレを意味する言葉で、おせち料理の中でもパッと目を惹く派手さがありますよね。
甘い味付けなので食べやすく、子どもから大人まで人気のあるおせち料理の1つでしょう。
ただし、伊達巻きはたんぱく質も豊富ですが、糖質も高めなので、たくさん食べるのは控えましょう。
そんな伊達巻きは、巻物のような形にちなみ『学業成就』や『知恵が増える』といった意味が。
さらに、材料に卵を使っていることから『子孫繁栄』という願いもこめられています。
「栗きんとん」商売繁盛、財運

「栗きんとん(栗金団)」は、栗の甘露煮をサツマイモの餡と和えたもの。
とにかく甘々、その甘さはスイーツを凌駕するほど!
栗もサツマイモの栄養豊富ですが、糖質はすこぶる高いため、食べ過ぎはお正月太りのもととなります。
鮮やかな黄色の見た目も相まって、お正月らしい華やかさですよね。
そんな栗きんとんは、その黄色から『金運』にちなんだ『商売繁盛』、『財運上昇』といった意味がこめられます。
新年が豊かな実り多い一年になることを願って食べるものなのですね。
「紅白なます」水引を連想、家族繁栄

「紅白なます」は、ニンジンと大根の千切りを甘酢で和えたもの。
甘酸っぱいスッキリした味をしており、口直しや箸休めにうってつけのおかずと言えます。
ニンジン・大根の食物繊維やビタミン・ミネラルをはじめ、お酢の酢酸など、身体によい栄養素が含まれているのも魅力でしょう。
そんな紅白なますは、先ほどの「紅白かまぼこ」と同じように、
- ニンジン=赤・紅:魔除け
- 大根=白:清浄
といった意味がそれぞれこめられます。
さらに、見た目が『紅白の水引』を彷彿とさせることから、お正月のおめでたさを演出してくれます。
また、ニンジン・大根という大地に根を張る『根菜』を使うため『家がしっかり根付く』、『家が繁栄する』といった意味も込められています。
焼き物
おせち料理における「焼き物」は、いわゆるメインディッシュ。
肉や魚など、メインを彩る豪華な料理たちとなります。
大抵は二の重に詰められます。
かつてのおせち料理では魚介類がメインでしたが、現在では肉類が占める割合が増えています。
ここからは、昔ながらの「魚介類の焼き物」に込められた意味をまとめます。
焼き物「魚介類」

焼き物のうち「魚介類」は、鯛や鰤、海老、鮑、蛤など。
- 鯛(たい)
- 『おめでたい』の語呂合わせから、お祝いの食事に必ずといっていいほど入っています。
- 鰤(ぶり)
- 『出世魚』の代表格なので、立身出世の意味がこめられます。
- 海老(えび)
- 長いヒゲ・曲がった腰が『長寿』の象徴となっています。
- 鮑(あわび)
- 長寿や不老不死、末永い幸せを象徴することから、縁起がよい貝とみなされます。
- 蛤(はまぐり)
- 二つ合わせ、対になった貝殻が『夫婦円満』を象徴しています。
これらの魚介類は、そのままの姿で焼く『姿焼き』や、塩焼き・照り焼き・西京焼きなどの『切り身』としておせち料理に詰められています。
肉料理の焼き物について

近年のおせち料理では、肉料理がメインとなることもしばしば。
肉料理は新しいおかずなので、込められている意味はありませんが、子どもから大人まで気軽に楽しめる料理と言えるでしょう。
以下には、主な肉を使った焼き物をまとめています。
- ローストビーフ
- チャーシュー
- 照り焼きチキン
- ごぼうの肉巻き(八幡巻き)
- ミートローフ
煮物
おせち料理のうち、三の重に詰められるのは野菜がメインの「煮物」。

おせち料理では「お煮染め(おにしめ)」と呼ばれることが多い料理です。
そんなお煮染めには、たくさんの具材を1つの鍋で煮込むことから『家族円満』や『子孫繁栄』といった意味がこめられます。
また、具材の1つ1つにも
- 根菜類:しっかり根付いて家が繁栄する
- ニンジン・大根・ごぼう
- 里芋:子宝に恵まれる
- 子芋がたくさんつく様子から
- れんこん:未来への見通しが立つ
- 穴が空いた様子から
- たけのこ:成長
- こんにゃく(手綱こんにゃく):心を引き締める
- 馬の手綱に見立てられることから
- 結び目から『良縁成就』『夫婦円満』も
といった意味が込められています。
さらに、お煮染めの他にも
- れんこん(酢蓮)
- 叩きごぼう
といった料理もあります。



