お米不足の今、いろいろと気になるお米。
非常時のためある程度備蓄しておきたいですよね?
そんな備蓄ご飯として定番の「パックご飯」と「アルファ米」について違いをまとめてみました。
製法から気になる賞味期限、調理法、味・食感まで、意外と知らない違いをピックアップしていきます。
「パックご飯」とは
パックご飯は正式には「包装米飯」と呼ばれる食品です。

炊いたお米、つまりご飯を気密性の高い容器にパックし、保存できるようにしたものとなります。
電子レンジで温めるだけ、湯煎をするだけで、炊きたてご飯が食べられる便利アイテムですよね。
このパックご飯は大きく分けて、
- 無菌包装米飯
- 無菌状態のクリーンルームで炊飯し密封包装したもの
- レトルト米飯
- 調理したご飯を密封した容器に入れてから、圧力をかけ加熱殺菌したもの
という2種類に分かれます。
このうち初めに登場したのはレトルト米飯で、市販が開始されたのは1973年。
それから遅れること14年後の1987年に無菌化包装米飯が登場しています。
無菌化包装米飯の中で有名なのは『サトウのごはん』。
加圧処理をおこなう必要がなく、食感や風味が通常炊飯のご飯に近いことから、現在では無菌化包装米飯が主流となっています。
ちなみに、量の目安としてパックご飯200gは約0.6合。お茶碗に例えると1.3杯ほどとなります。
「アルファ米」とは
アルファ米(アルファ化米)は、炊飯したご飯を急速に乾燥させた加工米です。

お湯や水を注ぐだけですぐに炊きたて状態のようなご飯が食べられる、という優れものですね。
このアルファ米は、お米を加熱することでアルファ化(糊化)させ、すぐに乾燥処理することでアルファ化した状態で固定させる、というもの。

お米は冷めると硬くなり、味も落ちてしまいます。
その冷やご飯の状態は「ご飯の再ベータ化」と言われます。
食感も味も良い状態であるアルファ化の段階で乾燥させ劣化を止めることで、美味しさを保ったまま長期保存ができるのですね。
ご飯のアルファ化・ベータ化についてまとめたこちらの記事もCheck!
アルファ米は災害時はもちろんですが、近年はキャンプ時の食事などでも活用されています。
もちろん食卓での日常使いもOK!
パックご飯・アルファ米の違い
パックご飯は炊いたご飯を密封容器に入れたもの、アルファ米は炊いたご飯を急速乾燥させたもの、という製造法の違いが分かりました。
ここからは、非常用という観点からパックご飯・アルファ米の
- 賞味期限
- 調理法
- 味
という違いをまとめていきます。
パックご飯・アルファ米の『賞味期限』の違い
パックご飯の賞味期限は製造から1年(12カ月)ほどです。
また、赤飯や麦飯など白いご飯以外のものは8カ月前後のものが多く、白飯よりも短く期限が設定されています。
さらに無菌化包装米飯は6~12カ月ほど、レトルト米飯は12カ月ほどと、パックご飯の製法により違いが生じる場合もあります。
ただし賞味期限が製造から5年と設定されている『長期保存用』パックご飯もあります。
一方で、アルファ米の賞味期限は製造から3~5年ほどが主流となっています。
パックご飯 | 製造から6カ月~1年ほど ※長期保存用は5年ほど |
アルファ米 | 製造から3~5年ほど |
※いずれもメーカーによっては異なる場合もあります。
パックご飯・アルファ米の正しい保存場所
パックご飯・アルファ米はどちらも常温で保存できます。
常温とは15~30℃くらいの気温のことです。
ただし、直射日光を避ける、高温になりやすい場所には置かない、など正しく保存することが必要です。
また、備蓄品として考えると、
- パックご飯:かさばるので大量に保存するには場所が必要
- アルファ米:1パックは薄いので大量に保管しやすい。持ち運びもできる
となります。
どうしてもご飯の大きさがそのままのパックご飯はかさばってしまうのが難点。
その点、アルファ米は1パックが薄く、すき間にも詰められる大きさなので狭いスペースしかなくても大量保管ができるのがメリットと言えます。
賞味期限が切れても食べられる?
パックご飯・アルファ米はいずれも賞味期限が1カ月ほど切れてもほとんど味に変化なく食べられると思います。
ただ、高温下に放置してしまった、など正しく保存できなかった場合は速やかに食べてしまった方が良いです。
3カ月以内ならおそらく味に大きな変化はありませんが、それ以上は味が劣る可能性があるので気を付けましょう。
開封後は日持ちする?
パックご飯・アルファ米はいずれも開封したら日持ちしません。
パックご飯は無菌状態で保存されているため、長期保存ができます。
しかし、開封したら無菌状態ではなくなります。
開封後のパックご飯は普通に炊いたご飯と同じ状態なので、加熱後は1日以内に食べきるべきでしょう。
また、アルファ米も開封したら酸化が始まるので、お湯・水を加える前でもすぐに食べるべき!。
お湯・水を加えた後は炊いたご飯と同じ状態なので、調理後1日以内に食べきるべきでしょう。
パックご飯・アルファ米の『調理法』の違い
パックご飯・アルファ米はともに調理をしてから食べる食品です。
調理をすることが前提なので、そのまま食べるとおいしくはありません。
そんなパックご飯・アルファ米の調理法をそれぞれまとめてみます。
パックご飯は電子レンジor湯煎
パックご飯の調理法は『電子レンジ』か『湯煎(熱湯調理)』での加熱となります。
電子レンジ加熱の場合は、1個・180gのパックご飯の場合、500・600Wで約2分間の加熱時間となります。
※アイリスオーヤマのパックご飯を参考にしました。
他のメーカーも確認しましたが、大体200g1パックで約2分間が目安ですね。
続いて『湯煎』の場合はパックのままで約20分間加熱するのが目安となります。
商品によっては湯煎ができないものもあるので注意しましょう。

災害時に貴重な水を使うことなく温かいご飯が食べられるのがパックご飯の強み!電気が使えない場合でも湯煎調理OK、湯煎のお湯は使い回せるので便利ですね。
パックから出して調理できる?
パックご飯を使ってお粥や雑炊、炒飯を作りたいという場合は、パックのまま一度加熱した後に加熱するのがオススメです。
加熱前に取り出して調理することもできます。
しかし、加熱前のパックご飯は硬く、調理しづらいため、一度ご飯の状態にしてから調理に使った方が楽だと思います。
アルファ米はお湯or水を入れて待つ
アルファ米は『お湯』または『水』をパウチに入れて待つことで調理ができます。

我が家に備蓄されていたアルファ米の調理時間は
- 熱湯は約15分
- 水は約60分
と記載されていました。


ペットボトルなどの水をそのまま注ぐだけでOKというのは災害時でも安心ですよね。最低限の水しか必要ないのもおすすめポイントです。
ただし、アルファ米には1つ注意点が。

アルファ米は大抵、袋の中にご飯と紛れてスプーン・脱酸素剤が入っています。
お湯を入れる前に、この2つを鳥だし忘れないようにしましょう。
パックご飯 | 電子レンジ・湯煎 |
アルファ米 | お湯・水を注ぐ |
パックご飯・アルファ米の『味・食感』の違い
パックご飯は白飯の他に、麦飯や赤飯などの雑穀米といった種類が豊富です。
雑穀米は白米には含まれない栄養が摂れるので、災害時の栄養補給にもうってつけ!
一方、アルファ米は炊き込みご飯など味付けがされた種類が豊富。
味のバリエーションが乏しくなる災害時でも気分に合わせて味が選べるのはありがたいですね。
パックご飯 | 雑穀系 |
アルファ米 | 炊き込みご飯系 |
また、パックご飯とアルファ米の食べた感覚の違いとしては、あくまで主観ですが
- パックご飯:普通のご飯に相当近い。しかし、パックの臭いがキツい場合も。
- アルファ米:食感はご飯よりも柔らかめでベチャッとしている。味はおいしい。
といった感じでした。
臭いがキツいイメージのパックご飯ですが、メーカーによってはほとんど臭いを感じないものもあるので、いろいろと試してみると良いと思います。
アルファ米は見た目は「ザ・非常食」といった感じですが、味は総じておいしいです。
【まとめ】パックご飯・アルファ米の違い
パックご飯・アルファ米の違いを表にして簡単にまとめます。
パックご飯 | アルファ米 | |
---|---|---|
製法 | 炊飯したご飯を密封容器に詰める | 炊飯したご飯を休息乾燥させる |
賞味期限 | 通常:6~12カ月 非常用:5年 | 3~5年 |
調理法 | 電子レンジ 湯煎 | 水・お湯を入れて待つ |
味・食感 | 白米や麦飯、赤飯など 食感は普通のご飯に近い パックの臭いが強い場合も | 白米や炊き込みご飯など 食感はやや柔らかめ おいしく食べやすい味 |
ここまで、パックご飯・アルファ米の違いについてまとめてみました。
お米不足が連日報道される昨今。
急場しのぎでパックご飯・アルファ米に頼ることもあるかと思います。
そんなときは、パックご飯・アルファ米それぞれの特徴をしっかり把握した上で、料理に活用してみてくださいね。