災害時のたんぱく質不足対策についてまとめます。
エネルギー源となる主食が多く、どうしても偏りがちな非常食。
しかし、非常時における栄養の偏りは、体調不良のリスクを上げるため危険です。
そんな栄養不足を防ぐため、たんぱく質が摂れる備蓄食品について紹介します。
【基本】災害備蓄は3日分以上を用意
災害用の備蓄は最低72時間(3日間)を目安に用意する必要があります。

『72時間』という時間は、支援が届くようになるまでの日数の目安です。
過去の災害の事例を見ると、災害発生から支援物資が届くまでに3日以上かかるケースがほとんど。
ライフラインの復旧や、スーパー・コンビニなどが通常営業を再開するまでは1週間以上の時間がかかる場合も少なくありません。
1週間、買い物ができなかったら、けっこう大変ですよね?
支援物資が届くまで、通常営業が再開できるまで何とか食いつなぐために必要なのが家庭での備蓄となります。

ここからは大人3人暮らしの我が家を例に「どんな食品が良いのか」や「必要な備蓄の数とは?」と行った疑問の答えをまとめていきます。
たんぱく質が摂れる非常食向け食品
たんぱく質が摂れ、非常食にも向いている食品を紹介します。
魚・肉の缶詰:1日あたり1個~
まずは「魚・肉の缶詰」です。

サバ缶やイワシ缶、サンマ缶など魚はもちろん、牛肉の大和煮や焼き鳥缶など肉系もあり、種類は豊富。
備蓄の目安数は1日あたり1人・1缶以上。
3人分を3日間用意すると、最低でも9個は必要となります。
魚・肉の缶詰のメリットは長期保存ができるところ。
缶詰自体が丈夫なので、ものの下敷きになったとしても、水に浸かったとしても、破損していなければ食べられるのも大きいですね。
そんな缶詰にもいろいろあり、サバの味噌煮缶などしっかり味が付いているものから、ツナの水煮缶といった淡白なものまでさまざま。
味が付いているものは温める必要がなく、開けてすぐにご飯のおかずとして美味しく頂けるので災害時にも重宝します。
ただ、塩分が多めなので高血圧など持病がある方は注意。
一方で味付けが薄めの水煮缶などはそのままでも食べられますが、他の材料と組み合わせて料理に使えます。
また災害時は水煮缶よりも、カロリーが高く1缶でエネルギー補給ができる油漬け缶がオススメです。
レトルトパウチ食品:1日あたり1個~
つづいては「レトルトパウチ食品」です。

たんぱく質が摂れるレトルトパウチも種類が豊富!
料理の材料となる素材系では、ツナや鶏ささ身から、大豆・ミックスビーンズの水煮ドライパックなど。
さらに、定番のカレーや親子丼などの丼物の具など、他の栄養素もバランス良く摂れるものもありますね。
備蓄数は素材系が1人あたり1個以上。
3人分・3日分なら9個以上の備蓄が欲しいところですね。
また、気分を変えるために、いろいろな味のおかず系レトルトパウチを用意しておくのもオススメです。

レトルトパウチは、できれば、温める必要がなく、そのまま食べられるものが良いでしょう。
レトルトパウチのメリットは、缶詰と同じく長期保存できること。
また、缶詰と違い、軽くコンパクトな点も非常食として評価できます。
防災かばん・非常持ち出し袋のすき間に数個をスッと挟めるのは便利ですよね。
プロテインバー:1日あたり1個~
最後に紹介するのは「プロテインバー」となります。

プロテインバーとはたんぱく質(プロテイン)がたくさん含まれている栄養補助食品です。
一口にプロテインバーといっても原材料も味もさまざま。
大まかには
- お菓子
- おかず
の2種類に分けられます。
お菓子系のプロテインバーは、たんぱく質だけでなくカロリーやビタミン、ミネラルなどもバランス良く摂れる製品が多いです。
チョコレートやグラノーラ、クッキーなど味わいもいろいろあり、数種類を買っておけば飽きることもありません。
また、甘くて食べやすい味は、非常時の疲れた心を癒やすのにピッタリでしょう。
おかず系のプロテインバーは、サラダチキンや豆腐、魚などダイエット向きな製品が多く、食事の中でおかずの一品としても頂けます。
備蓄数は1日あたり1・2個以上が目安。
3人分・3日分なら最低でも9本、多めに見積もって20本くらいあると安心ですね。
プロテインバーのメリットは食べやすい味と形状、持ち運びがしやすい点。
一本で栄養がしっかり摂れるものもあり、ストレスで食欲が落ちてるときでも食べやすいのはありがたいですね。
デメリットとしては、意外と賞味期限が短いこと。
長期保存用ではない限り、ほとんどが1年以内に期限が来てしまいます。

ローリングストックし定期的に食べて補給するようにしないと切らしてしまいそうですね。
また、おかず系のプロテインバーは常温保存NGのものもあるので注意しましょう。
【予備】あると便利な食品たち
ここからは、備蓄の必要性は低いものの、あると便利な食品たちをまとめます。
プロテイン粉末
まずは「プロテイン粉末」です。
筋肉トレーニングをしている方、シェイプアップに励んでいる方が飲んでいる、水に溶かすパウダーです。
名前がそのままプロテイン(=たんぱく質)ということもあり、たんぱく質の摂取にはピッタリ。
しかし、基本的に水などに溶かす必要がある、慣れていないと味が飲みづらいといったデメリットもあります。
ただ保存性が高く、効率的にたんぱく質が摂取できるので、いざというときの備えには向いているでしょう。
ロングライフ牛乳
つづいては「ロングライフ牛乳」です。
文字通り、賞味期限が長い牛乳となり、多くが常温で保存できる製品です。
賞味期限が長いのは事実ですが、その期限はおよそ3カ月が目安。
他の食品と比べると短いですね。
しかし、殺菌方法が違うだけで中味は普通の牛乳なので、お子さんのたんぱく質不足対策としてはピッタリ。
ローリングストックしてこまめに飲み、足していくのが良いでしょう。
1日あたりに必要なたんぱく質の量は?
災害時に限らず1日あたりに必要なたんぱく質量は約50gです。

理想の摂取量として、たんぱく質は体重1kgあたり1gが目安とされています。
つまり、体重が50kgであれば50g、60kgであれば60gは摂っておきたいところ。
平時に限らず、災害時でもこの数値を目標にたんぱく質を摂取することが健康上望ましいでしょう。
食材に含まれるたんぱく質の量
主な食材100gあたりに含まれるたんぱく質の量をまとめます。
- 鶏むね肉・皮なし:23.3g
- 鶏もも肉・皮付き:16.6g
- 豚ロース肉:19.3g
- 牛もも肉:19.6g
- 卵・全卵:12.2g
- 紅鮭:22.5g
- 木綿豆腐:7.0g
たんぱく質が多く含まれる肉や魚、卵、大豆製品でも、100gでは目標の50gに到底届きません。
そもそも、現代の日本人は普段からたんぱく質が不足しているので、1日あたり50gというのは意識しないとけっこう難しいのも事実。

まずは災害時だけでなく、いつもの食生活からたんぱく質の摂取を意識することが大切かもしれないね。
非常食向け食品に含まれるたんぱく質の量
つづいては、先ほど紹介したたんぱく質が多く含まれる非常食向け食品のたんぱく質量をまとめていきます。
ツナ油漬け | 18.8g |
ツナ水煮 | 16.0g |
焼き鳥缶詰 | 18.4g |
サバ缶水煮 | 20.9g |
大豆水煮 | 12.9g |
レトルトチキンカレー | 5.6g |
牛乳 | 3.3g |
表の数値は日本食品標準成分表(八訂)増補2023年を参考にしました。
数値はあくまで目安となり、製品によって異なります。
また、記載しなかったプロテインバーやプロテイン粉末は製品により大きく異なり、またパッケージに記載されているので割愛しました。

プロテインバーに含まれるたんぱく質は1本あたり10~20gくらいとなります。
【まとめ】たんぱく質食品の備蓄
ここまで、たんぱく質が多く摂りやすい非常食向け食品についてまとめました。
3人暮らしの我が家における災害への備えとしては、
- 魚・肉の缶詰:9個~
- レトルト食品:9袋~
- プロテインバー:9本~
のうち、いずれか1種類を備えておけばとりあえずは安心。
しかし、心配なので3種類すべてを必要なだけ用意しておく方が安心感が強いですね。
スペースに余裕がある限り、備蓄を万全にしておきましょう。