米がなければ、麦でかさ増しすれば良い!
そんな風潮すら感じられる昨今の米不足。
そもそも、かさ増しにオススメと言われている「もち麦」や「押し麦」とはどんな麦なのでしょうか?
もち麦・大麦など、麦の種類についてまとめました。
もち麦・押し麦とはどんな麦?
もち麦と押し麦はいずれも大麦の一種です。

大麦のうち、モチモチ食感が特徴のもち性大麦が『もち麦』、アッサリした食感のうるち性大麦の種類の1つが『押し麦』です。
お米と同じで、粘り気が強いのがもち性、粘り気が弱いのがうるち性となります。
もち性とうるち性の大麦を簡単に分けると↓のようになります。
- もち性の大麦
- もち麦
- うるち性の大麦
- 押し麦(胚芽押し麦)
- 丸麦
- 白麦 など
お米にも、ご飯として食べる『うるち米』と、餅つきをしてもちにする『もち米』があります、大麦にもうるち性・もち性という違いがあるのですね。
そもそも「大麦」とは?
大麦はイネ科の穀物です。

イネ科は約8000種が属する、植物分類の中でも大きな科。
お米はもちろん、小麦やトウモロコシなど、また竹やススキも含まれます。
近年では、イネ科のオオアワガエリ・カモガヤといった植物の花粉症に悩まされる方も多く、生活に身近な植物種と言えるでしょう。
大麦と小麦の違いとは?
同じイネ科ですが、大麦はオオムギ属、小麦はコムギ属という違いがあります。
漢字から「大麦は大きい、小麦は小さい」と思いがちですが、実はこの名前の大・小に大きさは関係ありません。

同じ品種の大きい・小さいではないのですね。
英語で表記すると大麦は「barley」、小麦は「wheat」と全く違います。
では、なぜ大麦・小麦という名前がつけられたのか?
大という漢字にはサイズだけでなく『用途が多いもの』という意味が、小には『代用品・用途が少ないもの』という意味があったとのこと。
かつて大麦は小麦よりも使い勝手が良く、優れている品種と考えられていました。
大麦は殻などを取り除くと、お米のようにご飯やお粥にして食べられます。
一方で、小麦はパンや麺などに加工できるものの、製粉する必要があったため使い勝手が悪いと考えられていたのですね。
ちなみに、大麦は今でも麦飯などとして食べられますが、現在はビールの原料としての方が主流。
小麦は製粉されパンや麺などの原料として幅広く使われています。

日本では大麦も小麦もみんな「麦」ですが、ヨーロッパなどではそれぞれ別の植物として扱われているとのこと。意外ですね・・・。
大麦のうち「二条」と「六条」の違いとは?
大麦を使った製品では、よく「二条大麦」や「六条大麦」といった言葉を見かけますよね?
この二条・六条とは穂の形状のこと。
二条大麦とは穂が2列に連なっている大麦、六条大麦は穂が6列に連なっている大麦のことです。
ただし正確に言うと、二条大麦は『実る穂』が2列の大麦です。
大麦の穂は全て6列ですが、二条大麦はその6列のうち2列しか穂が実らない品種。
2列しか実らない分、二条大麦の穂は大きく、大粒大麦とも言われます。
もち麦の特徴
もち麦はお米に比べて炊き上がりの量が多いことが特徴。

もち麦は約100gで一合(330gほど)に炊き上がります。
一方で、お米は約150gで一合分、もち麦の1.5倍の量が必要となります。
少ない量でも多く炊き上がる理由は、もち麦の吸水率が高いから。
吸水率が高く、少ない量でも炊飯後のかさが大幅に増えることから、お米のかさ増しとして注目されているのですね。

ちなみに、この「炊き上がりの量が増える」という特徴は押し麦など他の大麦も同じです。
もち麦に限らず、うるち性の大麦もお米のかさ増しにうってつけと言えるでしょう。
もち麦をお米に混ぜると、ご飯がいつもよりモッチモチに炊き上がります。
もち麦そのものはプリプリした食感で、良いアクセントに。
クセが少ないので、食べやすく続けやすいのが嬉しいですね。
うるち性の大麦の種類・特徴

うるち性の大麦はいくつかの種類があるので、種類ごとに特徴をまとめていきます。
丸麦
丸麦は殻や糠など、食べない部分を取り除いた大麦です。
この丸麦をいろいろ加工して、食べやすくしたものが以下に紹介する大麦の種類になります。
押し麦・胚芽押し麦
押し麦は、丸麦を押して薄く、平らに加工した大麦です。
押した麦なので押し麦です。
平たくてペラペラ、粒の真ん中に黒条線と呼ばれる筋が通っています。
胚芽押し麦は、胚芽の部分を残したまま加工した押し麦となります。
胚芽部分にはビタミンなどの栄養が多く含まれているのが魅力です。
米粒麦
米粒麦は、まるでお米の粒のように加工した大麦のこと。
黒条線の部分で2つに切り分け、黒条線を取り除き、米粒の形に加工しています。
見た目がほぼお米なので、麦が苦手な方でも食べやすいのが魅力です。
白麦
白麦は、米粒麦を押してうすく平らにした大麦です。
黒条線の部分で2つに切り分けてから、押し麦のように押してうすく平らにしています。
もち麦・押し麦などとともによく店頭に並ぶ「ビタバァレー」は、この白麦にビタミンB1をコーティングし強化した大麦となります。
「白麦」にビタミンB1などを添加した大麦と紹介しましたが、白麦以外のビタミンB1を添加した大麦のことをビタバァレーと呼ぶこともあります。
【まとめ】もち麦・押し麦の違い
もち麦はもち性の大麦、押し麦はうるち性の大麦の一種、ということが分かりましたね。
また、同じうるち性の大麦にも加工の仕方で
- 丸麦
- 押し麦(丸麦を押して加工)
- 米粒麦(丸麦を二分し、黒い部分を除去)
- 白麦(米粒麦を押して加工)
- ビタバァレー(白麦にビタミンB1をコーティング)
という種類があることが分かりました。
炊き上がりの量が多いことから、ご飯のかさ増しとして注目されている大麦。
大麦たちの特徴を理解し、好みに合ったものを上手く取り入れていきたいですね。


