大豆の発酵食品である「納豆(なっとう)」。
この納豆とはそもそもどんな食べ物なのでしょう?
納豆の歴史や名前の由来から、納豆の基本を調べてみました。
さらに、意外と知らない納豆の栄養価についてもまとめています。
【基本】納豆とは
納豆とは煮る・蒸すなど加熱した大豆に納豆菌を付着させ発酵させた食品です。
和食の中でも代表的な発酵食品の1つですね。
朝食に食べられることが多く、ご飯の上にかけ『納豆ご飯』として長年親しまれています。
納豆の歴史
納豆の歴史は古く、聖徳太子の時代には食べられていた?とされています。
ただ、歴史が古いため、どのように誕生し、どのように広まっていったのかは諸説あり、定かではありません。
納豆の原料である大豆は縄文時代から栽培され、またその頃には米の栽培、つまり稲作も行われていたため稲わらもありました。
条件がそろっているため、早ければ縄文時代には納豆が誕生していたのでは?という説もあります。
また納豆は作ろうと思って作られたものではなく、
- たまたま加熱された大豆と稲わらが触れ合うよう状態で
- たまたま40℃ほどの温かい環境に置かれ
- たまたま風通しが良く、菌が繁殖し大豆が発酵した
といった偶然の重なりにより生まれたというのが有力です。
わざわざ貴重な食料を腐らそうとは考えにくいですし、偶然生まれたと考えるのが自然ですよね。しかし、よく糸が引いた大豆を食べようと思いましたよね・・・。
その後、日本の歴史に「納豆」という言葉がしっかり現れたのは1000年代半ば。
藤原明衡という学者によって書かれた「新猿楽記」に『納豆』という言葉が初めて登場します。
ただしこの「納豆」はいわゆる『糸引き納豆』ではなく、製法が異なる『塩辛納豆』ではないか?という説もあり、定かではありません。
いわゆる枯草菌により発酵させた『糸引き納豆』が文献にしっかり登場するのは南北朝時代。
室町時代には庶民にも広がり、1400年代に書かれた「御伽草子」には納豆を擬人化した武士・納豆太郎糸重というキャラクターが登場するなど、すでに高い人気?を集めていたことが分かります。
納豆の歴史って長いんだね・・・。
納豆の名前の由来
豆を納めると書く「納豆」。
納豆の名前の由来はいくつかあります。
そのうちの1つが禅寺の納所(寺院の倉庫)に勤めていた僧侶が豆を用いて作ったからという説。
ただ、この由来は信憑性が乏しいとされています。
なぜなら<納豆の歴史>の項でも紹介した、納豆という言葉が初めて登場する文献「新猿楽記」は平安時代中期の11世紀半ばに書かれたもの。
これは仏教の宗派・禅が伝来し始めた12世紀末よりも前になります。
つまり、それ以前に納豆という言葉も存在も日本にあった、とされているのです。
たしかに、時代が合わないっていうのは真実味がないかも。
また、納豆の名前の由来としては、
- 壷に納めた
- 将軍に納めた
- 神様に納めた
といった「納めた豆」という意味合いから「納豆」となったのでは?という説も有力です。
さらに、昔ながらの製法では束ねた稲わら(苞・つと)の中に包んで発酵させたこともあり、稲わらに納めた豆=納豆となったのでは?とも言われます。
シンプルに「納めた豆」と言われた方が納得できますね。
『納豆は豆腐だった』は間違い!
納豆と、同じ大豆から作られた豆腐。
この2つの食品には元々は名前が逆だったのでは?という説が有名ですよね。
もともとは豆を腐らせた(発酵させた)のが豆腐、型に納めたのが納豆、だったのにこの2つが逆の名前で伝わってしまった、というものです。
一見、腑に落ちる説ですが、この俗説は間違いです!
そもそも「納豆」という言葉は日本で生まれた、日本独自の言葉。
先ほど説明したように、諸説あるものの名付けられたのは日本です。
一方で豆腐は名前と製法が中国から伝来した食品。
豆腐の『腐』という文字は腐ったという意味ではなく、白くドロドロとした状態を表す『腐熟』という言葉から取られたもの、という説が有力です。
そもそも豆腐は消化の悪い大豆を、腐熟の状態にし、消化が良く食べやすい状態にした食べ物という説もあります。
したがって、納豆と豆腐は本来名前が逆だった、という説は完全に間違いです。
納豆の栄養価
納豆の栄養価をまとめます。
ここでまとめる「納豆」は粒が残った『粒納豆』の数値となります。
また、市販の納豆1パックあたりの量である50gの数値をまとめていきます。
<基本>納豆の栄養価
納豆1パック・50gあたりの栄養価です。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 92kcal |
水分 | 29.8g |
たんぱく質 | 8.3g |
脂質 | 5.0g |
炭水化物 | 6.1g |
―食物繊維 | 4.8g |
―糖質 | 1.3g |
製品・メーカーにもよりますが、納豆は1パックあたり92kcalとなります。
これを多いのか少ないのかと捉えるのは難しいですが、他の食品で100kcal分と比較するとこんな↓感じになります。
- ご飯:茶碗1/2杯分(65gほど)
- 食パン:8枚切り1枚分
- 牛乳:150ml
- 目玉焼き:1個分
- 生ビール:250ml
他の食品100kcal分を見ると、納豆1パックあたり100kcal弱というのは低カロリーだと思えますね。
また、注目すべきは「たんぱく質」の量。
1パック・50gあたり8.3g、100gなら16.6gと鶏肉や豚肉にも引けを取らないほど豊富です。
※鶏もも肉(皮付き)のたんぱく質量は100gあたり16.6g、納豆100gと同じ量ですね。
さらに、納豆は1パックあたりの糖質量は1.3gと低糖質であることもポイントです。
また50gあたり4.8gと、全体の10%弱が食物繊維という豊富さも魅力ですね。
<ビタミン>納豆の栄養価
納豆1パック・50gあたりのビタミンの数値です。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 0μg |
ビタミンB1 | 0.07mg |
ビタミンB2 | 0.15mg |
ナイアシン | 0.3mg |
ビタミンB6 | 0.12mg |
葉酸 | 65μg |
ビタミンC | 2mg |
ビタミンD | 0μg |
ビタミンE | 5.1mg |
ビタミンK | 440μg |
納豆はビタミンB群(B1・B2・ナイアシン・B6・葉酸)をバランス良く含み、またビタミンE・ビタミンKを豊富に含む食品です。
ビタミンB群は体内で代謝に関わる酵素をサポートする『補酵素』として働きます。
ビタミンB群をしっかり摂ることで代謝アップにつながり、健康にも美容にもダイエットにも効果的。
多く含まれるわけではありませんが、全体的にバランス良く含まれているため、効率的な摂取にピッタリと言えます。
また、ビタミンB群は加熱に弱いため、火を通さずそのまま食べられる納豆はビタミンB群の摂取にピッタリとも言えます。
つづいて、高い抗酸化作用を持つビタミンEと、血液の凝固や骨の形成を助けるビタミンK。
納豆には1パック50gに、1日あたりの摂取目安量のうち80%ほどのビタミンE(5.1mg)が含まれます。
※1日あたりの摂取目安量は男性が6.5mg、女性が6.0mgです。
さらに、ビタミンK(440μg)に関しては、1日あたりの摂取目安量の3倍以上を1パックで摂取できます。
※ビタミンKの1日あたりの摂取目安量は男女ともに150μgです。
骨の形成をサポートするビタミンKは子どもやお年寄り、そして妊娠中の女性は積極的に摂るべき栄養素。
1パックに十分すぎるくらいビタミンKが含まれる納豆は効率的なビタミンK摂取にオススメです。
<ミネラル>納豆の栄養価
納豆1パック・50gのミネラルの数値です。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
ナトリウム | 1mg |
カリウム | 350mg |
カルシウム | 46mg |
マグネシウム | 50mg |
リン | 110mg |
鉄 | 1.7mg |
納豆には、ナトリウムを除き、ミネラルがまんべんなく含まれます。
突出して多く含まれる栄養素はありませんが、バランス良く含まれているため、効率的な栄養補給にオススメです。