女性の健康をサポートする、というようなイメージがある「大豆イソフラボン」。
この「大豆イソフラボン」とは、そもそもどんな成分なのでしょう?
そんな大豆イソフラボンの基本と、どのような食品に含まれているか、さらに大豆イソフラボンの働きについてまとめてみました。
そもそも「大豆イソフラボン」とは?
大豆イソフラボンは大豆に多く含まれる成分です。
大豆のうち、特に大豆胚芽に多く含まれます。
ポリフェノールのうちフラボノイドの一種で、大豆の他にもマメ科の植物には大抵含まれています。
大豆イソフラボンアグリコンについて
大豆イソフラボンのうち『大豆イソフラボンアグリコン』とは大豆イソフラボンから糖が外れた構造の成分のことです。
大豆イソフラボンはもともと糖が結合した構造をしています。
この大豆イソフラボンが含まれた食品を食べると、大腸の中で糖が分離。
糖が分離した大豆イソフラボンはダイゼイン・ゲニステイン・グリシテインという化学物質となり、この3種類の総称が大豆イソフラボンアグリコンとなります。
人の体に作用をもたらすのはこの『大豆イソフラボンアグリコン』なので、大豆イソフラボンの含有量は大豆イソフラボンアグリコン換算値としての表示が求められます。
以下に登場する大豆イソフラボンはすべて「大豆イソフラボンアグリコン」を指します。
食べ過ぎは危険?大豆イソフラボンの摂取上限
大豆イソフラボンの安全な摂取上限は大豆イソフラボンアグリコン換算値として1日あたり70~75mgです。
また、日常の食生活に上乗せした摂取、つまり健康食品・サプリメントからの摂取は1日あたり30mgが上限となります。
普通の食事+サプリメントなど(~30mg)が75mg未満に抑えるようにしましょう。
上限を超えてしまっても、直ちに健康被害が出るわけではないのでご安心ください。
※あくまで「長期・継続的に」摂取を続けた場合にリスクがあるかもしれない、というものです。
ちなみに、現代の日本人が1日に摂る大豆イソフラボンの平均値は16~22mgとされています。
サプリメント1日分なら上限に達することは少ないですが、豆腐や納豆など大豆食品を多く食べる方は改めてサプリメントなどを摂取する必要はないでしょう。
妊婦さんやお腹の赤ちゃん、乳幼児、15才以下の子供に関しては、健康被害の可能性が否定できないため、日常の食生活に上乗せした大豆イソフラボンの摂取はオススメできません。
大豆イソフラボンに関する有効性・安全性についての議論はまだ確立されていません。
また、天然の栄養成分でも過剰摂取が危険なのは変わりません。他の食品とのバランスを考え、ほどほどに摂取することが望ましいでしょう。
大豆イソフラボンには摂取上限があるんだね!
「大豆イソフラボン」はどんな食品に含まれる?
大豆イソフラボンは大豆が原料である大豆加工品のほとんどに含まれます。
そんな大豆加工品ごとに大豆イソフラボンの含有量をまとめてみます。
数値は厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに関する調査研究(1998)を参考にしました。
原料となる大豆の種類・製造方法によって異なるため、数値には幅があります。
また、以下の大豆イソフラボンの数値は、いずれも「大豆イソフラボンアグリコン」の換算値となります。
大豆
まずは、大豆そのまま。
生のままの大豆から、煮た大豆、油で揚げた大豆、それぞれ100gあたりの含有量です。
種類 | 含有量(mg) | 平均値(mg) |
---|---|---|
大豆 | 88.3~207.7 | 140.4 |
煮大豆 | 69.0~74.7 | 72.1 |
揚げ大豆 | 200.7 | 200.7 |
ちなみに、節分などで蒔いたり・食べたりする『炒り豆』の大豆イソフラボン含有量は100gあたり約170mgです。
⇒【節分】豆まきの豆は高カロリー?高たんぱくで栄養豊富との情報も!
また、大豆を挽いて粉にした『きな粉』の含有量は211.1~321.4mg、平均値は266.2mgでした。
この中で最も大豆イソフラボンの含有量が少ない煮大豆でさえ、100g食べれば摂取上限に達します。
食べ過ぎはちょっと危険ですが、大豆をそのまま100g食べるのはけっこう大変です。ほどほどに食べるようにしましょう。
豆腐
大豆食品と言えば豆腐。
そんな豆腐製品100gあたりの大豆イソフラボン含有量です。
種類 | 含有量(mg) | 平均値(mg) |
---|---|---|
木綿豆腐 | 18~32 | 23 |
絹豆腐 | 15~35 | 21 |
充填豆腐 | 12~29 | 21 |
凍み(高野)豆腐 | 88.5 | 88.5 |
おから | 10.5 | 10.5 |
油揚げ | 28.8~53.4 | 39.2 |
木綿豆腐・絹豆腐は1パックあたり300~400gほど。
300gとすると、1パックあたりの大豆イソフラボンは木綿豆腐・絹豆腐で平均66mgですね。
また、乾物である凍み豆腐は1食あたり15~20gほどなので、料理をすれば他の豆腐よりもやや少ないことが分かります。
さらに、豆乳の搾りかすである『おから』は10.5gと一番低い結果となりました。
納豆
大豆から作られる発酵食品・納豆。
そんな納豆の大豆イソフラボン含有量は100gあたり65.6~81.3mg、平均値は73.5mgです。
ちなみに、納豆は1パックあたり50g弱ですので、2パック食べると摂取上限に達する計算になります。
調味料
日本には、大豆から作られた調味料・醤油や味噌があります。
そんな醤油や味噌の大豆イソフラボン含有量です。
種類 | 含有量(mg) | 平均値(mg) |
---|---|---|
醤油 | 0.7~1.2 | 0.9 |
味噌 | 12.8~81.4 | 49.7 |
醤油にはあまり含まれず、味噌は製品によって幅が広すぎるという結果に。
醤油・味噌いずれにしても一度に多くは使いませんよね。
摂りすぎは塩分過多なので、調味料から大豆イソフラボンを摂ることはオススメできません。
豆乳
大豆を煮て、搾った汁が豆乳です。
そんな豆乳の大豆イソフラボン含有量は100gあたり7.6~59.4mg、平均値は24.8mgです。
豆乳も数値の幅が広いですね・・・。
豆乳は1食、つまり1杯あたり200mlほどを飲むかと思います。
すると、平均値でも摂取上限の1/3ほどとなるので、(そんな大量に飲むものではありませんが)飲み過ぎは注意ですね。
「大豆イソフラボン」の働き
大豆イソフラボンは体内で女性ホルモン・エストロゲンと似た働きをします。
エストロゲンに化学構造が似ている大豆イソフラボンは『植物性エストロゲン』とも呼ばれます。
そのため、大豆イソフラボンは体内でエストロゲン受容体と結合することで健康に有益な作用をもたらす、とされています。
このエストロゲンの働きは
- 第二次性徴の発現
- 生理周期の調節
など、ホルモンに関わる重要なもの。
また、大豆イソフラボンには更年期障害を改善させるイメージがありませんか?
そのイメージは本当なのか、調べてみました。
「大豆イソフラボン=更年期を改善する」は正しい?
大豆イソフラボンが更年期に効くかどうかはハッキリと証明されていません。
米国心臓協会(American Heart Association)では、大豆たん白質と大豆イソフラボンに関する最近の試験報告を評価し、大豆イソフラボンについては、更年期の症状に対して低減効果は見られず、
大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A
ただ、大豆イソフラボンが女性の健康と美容をサポートする、と謳っている商品はいくつか販売されています。
この謳われる効果は、大豆イソフラボンの1つ・ダイゼインが腸内細菌により変換される成分・エクオールによるものです。
エクオールの働きによりホルモンバランスが整えられ、気分の落ち込み・イライラが抑えられると言われています。
生理前後や更年期における精神の安定をサポートしてくれるのはありがたいですね。
さらに、腸内環境を整えることから肌のハリ・ツヤを維持したり改善したりすることにもつながり、美肌にも効果的!
つまり、日本人の2人に1人以上は大豆イソフラボンを摂取してもエクオールを作り出せません!
エクオールが作り出せない原因はダイゼインからエクオールを作り出せる腸内細菌が住み着いていないため。
また、生活環境の変化により住んでいる腸内細菌が変わり、エクオールが作れなくなってしまう場合もあります。
この対処法としては『エクオールが含有されているサプリメントを摂取する』などがあります。
興味がある方は大塚製薬「エクエル」の公式サイトを確認してみてくださいね♪
【まとめ】大豆イソフラボンのあれこれ
- 大豆イソフラボンは大豆の胚芽部分に多く含まれる成分
- 主に大豆製品に含まれる
- 体内で働くのは『大豆イソフラボンアグリコン』と呼ばれる成分
- 大豆イソフラボンの摂取上限は1日あたり70~75mg
- 大豆イソフラボンは女性ホルモン・エストロゲンと構造が似ていて、同じような作用がある
ここまで、大豆イソフラボンについて気になったことをまとめてみました。
正直、難しい話で理解に苦労しました・・・。
簡単にまとめてみましたが、専門的なことが気になる場合は↓のサイトを確認してみてください。