冬に食べたい人気の鍋料理「しゃぶしゃぶ」。
家庭ではもちろんですが、近年は外食チェーンのしゃぶしゃぶ店が増え、人気を博していますよね。
そんなしゃぶしゃぶ、そもそもどんな料理なのでしょう?
しゃぶしゃぶの発祥や名前の由来、独特な形の鍋についてや、味付けについてなど、しゃぶしゃぶについてまとめました。
「しゃぶしゃぶ」とはどんな食べ物?
「しゃぶしゃぶ」とは、薄く切った肉を鍋に入った熱湯にくぐらせ加熱して食べる鍋料理です。

肉に火が通ったら、ポン酢・ごまダレなど調味料が入った取り皿の小鉢にとり、味をつけてから食べます。
使われる肉は主に牛肉。
牛肉以外の肉・食材を使用する場合は『○○しゃぶ』など、食材名の後に『しゃぶ』が1回つけられた名称で呼ばれるのが一般的。
有名なものでは『豚しゃぶ』や『鶏しゃぶ』、『鯛しゃぶ』、『カニしゃぶ』がありますね。
しゃぶしゃぶのうち『冷しゃぶ』とは?
あらゆるしゃぶしゃぶがある中で、食材名+しゃぶという名称ではないのが『冷しゃぶ』。
この冷しゃぶは、文字通り冷たいしゃぶしゃぶのこと。
肉を湯通しした後にザルにあげて冷まし、野菜などといっしょに盛り付ける料理となります。
冷しゃぶの肉は、しゃぶしゃぶのように牛肉ではなく、豚の薄切り肉が定番。
さらに、タレは盛り付けてから、サラダのように直接かけて食べるのが一般的です。
鍋料理であるしゃぶしゃぶは冬の定番料理ですが、冷たい状態で食べる冷しゃぶは夏の定番。
暑い日が続き、あまり食欲がないときでも肉と野菜が一度に摂れる、万能おかずと言えるでしょう。
しゃぶしゃぶはいつ誕生した?発祥の由来についても
しゃぶしゃぶの発祥説は『中国発祥』と『日本発祥』の2種類があります。
しゃぶしゃぶの発祥説:中国編
まず、中国発祥説は中国の鍋料理・火鍋のうち『涮羊肉(シュワンヤンロウ)』が由来となっている、という説です。
この涮羊肉は内モンゴル自治区の火鍋の一種で、卓上に置いた鍋でスープを沸かし、羊肉を煮て、取り分けた小鉢のタレにつけて食べる料理となります。
涮羊肉がしゃぶしゃぶの発祥として有力と言われている理由は鍋の形状。
円形ながら中央部が煙突状に突き出て、中心が空洞になっている、いわゆるしゃぶしゃぶ鍋とほぼ同じ形をしています。
食べ方も同じで、唯一の違いは肉が羊肉であること。
日本では、この涮羊肉が内モンゴル自治区から北京へ伝わった後のもの、北京式の涮羊肉が伝わったとされています。
しゃぶしゃぶの発祥説:日本編
次に日本発祥であるという説ですが、これは『しゃぶしゃぶは水炊きの一形態である』という説となります。
水炊きは鍋料理の一種で、主に鶏肉を煮込むものを指します。
このうち関西風の水炊きは昆布出汁で具材を煮込むもの。
そんな水炊きのうち、中央部分に穴が開いた独特な形の鍋で、薄切りの肉を湯通しして食べることが「しゃぶしゃぶ」。
この場合のしゃぶしゃぶは料理名ではなく、食べ方・様式を指す言葉でした。
水炊きから派生したしゃぶしゃぶの飲食店での提供が確認されたのは1935年。
いまから90年ほど前のことですね。
三重県亀山市では現在も『肉の水炊き』として提供されています。
また、その後1947年に京都の料理店で『牛肉の水炊き』が商品化。
これはほぼ現在のしゃぶしゃぶと同じ料理とされています。
「しゃぶしゃぶ」という名前の由来について
1940年代まで、しゃぶしゃぶはあくまで水炊きという名前で提供されていました。
そんなしゃぶしゃぶが「しゃぶしゃぶ」という名前になったのは1952年のこと。
大阪に現在もあるスエヒロ(現在は永楽町スエヒロ本店)の店主が、牛肉の水炊きを自店のメニューとして取り入れたときに命名したのが「しゃぶしゃぶ」。
この名前は、店の従業員がたらいの中でおしぼりをすすぐ様子が、鍋の中で肉を湯にくぐらせる様子と似ていたことが由来です。
おしぼりをすすぐときに『じゃぶじゃぶ』とする音。
そのリズミカルな音が新鮮に響き、牛肉の水炊きが『肉の洗濯』であるとひらめきます。
そこから『じゃぶじゃぶ』が「しゃぶしゃぶ」に。
この「スエヒロのしゃぶしゃぶ」・「肉のしゃぶしゃぶ」は1958年に商標登録済み。
かつては、たった一店舗の商品名だった「しゃぶしゃぶ」ですが、現在では全国区の誰もが知っている鍋料理となっています。
しゃぶしゃぶの「鍋」について
しゃぶしゃぶの鍋と言ったら、中央に煙突状の突起がある独特の形が思い浮かびますよね。

しゃぶしゃぶにしか使用されない、いわゆる『しゃぶしゃぶ鍋』です。
しゃぶしゃぶ鍋がなぜなぜこんな変な形状をしているのか?
それにはしゃぶしゃぶ歴史が関係していました。
涮羊肉の鍋が由来に
前述したしゃぶしゃぶの発祥でも紹介した涮羊肉(シュワンヤンロウ)では、中央に煙突状に穴が開いている鍋を使用します。
この涮羊肉で使用する鍋は『火鍋子(フオグオズ)』。
火鍋子を使った涮羊肉では、穴が開いた部分へ円筒状の熱した炭を縦に入れ、鍋の中の羊肉を加熱します。
中心部から放射状に鍋を加熱するための設計。
理にかなった形をしているのですね。
この涮羊肉が日本へ伝来したときに、鍋の形状も真似をした、というのが由来の1つです。
ただ、日本のしゃぶしゃぶでは中心の穴に炭を入れる習慣はないため、別に穴が開いている必要はありません。
涮羊肉の名残として残っている、というのが現状とのことです。
しかし、鍋の中央部が空洞になっていることで、鍋と火が触れる面積が増え、加熱効率が上がります。
冷たい肉を何度も入れるしゃぶしゃぶではお湯が冷めやすいのがデメリット。
けれども、加熱効率が上がることでお湯が冷めにくくなり、ずっと美味しくしゃぶしゃぶを楽しめるというメリットがしゃぶしゃぶ鍋にはあるのですね。
また、かつては日本でも七輪などの炭を穴の中へ入れ、鍋を加熱していたからという説もあります。
現在ではガスコンロが一般的ですが、ガスコンロがなかった時代は日本でも炭で加熱していたのですね。
銅製の鍋が多い理由とは?
しゃぶしゃぶ鍋といえば赤みがかった銅製の鍋をイメージします。
なぜしゃぶしゃぶ鍋が銅製なのか?
その理由は、銅は熱伝導率が高くお湯が冷めにくいため。
冷たい肉を入れるため冷めやすいしゃぶしゃぶのお湯をすぐに温めることができる、それが銅製しゃぶしゃぶ鍋のメリットと言えますね。
また、銅製しゃぶしゃぶ鍋を料理に使うと、わずかながら鍋の銅が溶け、自然と銅が摂取できるというメリットも。
銅は人の体内でミネラルの一種として働く栄養素です。
健康維持のために必要な物質であり、過剰摂取の心配はありません。
ただし、銅製の鍋は取り扱いがやや面倒であり、
- 炒め物などの加熱料理
- 料理を入れたまま長時間放置
- 汚れたまま放置
- 別の金属に接したまま放置
- 空焚き・急冷など急激な温度変化
などを行うと鍋が変質し、使用ができなくなりますので注意しましょう。
しゃぶしゃぶの味付けについて
ここからは、しゃぶしゃぶの味付けについてまとめていきます。
肉を煮るのは『水』or『出汁』?
本来、しゃぶしゃぶは味付けされていないただのお湯で肉を煮る料理でした。
しかし、現在では少なくとも昆布出汁などで煮るのが一般的。
出汁で煮るのは、香りつけにはもちろんですが、肉の臭み消しにも効果的ですね。
また、近年はしっかり味が付いたスープで煮るのも人気ですね。

しゃぶしゃぶ専門店では↑のような火鍋スタイルのしゃぶしゃぶも増えています。
しゃぶしゃぶのスープは和風からピリ辛の中華系、洋風など多岐にわたり、選ぶ楽しみが増えているのも魅力ですね。
タレは『ポン酢』と『ごまダレ』どちら?
しゃぶしゃぶでは、鍋で肉を煮た後に、小鉢のタレで味をつけてから食します。
このとき、タレとして使われることが多い二大巨頭が『ポン酢』と『ごまダレ』。
ラジオ局・TOKYO FMの調査「しゃぶしゃぶはポン酢派?ゴマだれ派?」によると、ポン酢派は51.2%、ごまダレ派は48.8%とほぼ拮抗!
どちらも高い人気を誇っていることが分かります。
※参考 調査結果#474
ポン酢とは、柑橘系の果汁と酢をかけ合わせた調味料。
これにしょう油で味をつけたのがポン酢しょう油となります。
さっぱりとした味わいが特徴で、脂っこい料理でも食べやすくなります。
一方、ごまダレとはしょう油とみりんを煮詰めたものに、すり胡麻or切り胡麻を混ぜ合わせたもの。
濃厚な味わいと豊かな香りが特徴で、マイルドです。

わたしは、どちらかと言えば「ポン酢派」ですが、時々「ごまダレ派」。どちらも好きで、気分によって変わりますね。
【まとめ】しゃぶしゃぶの基本
- しゃぶしゃぶは薄く切った肉をお湯にくぐらせ加熱する料理
- しゃぶしゃぶの発祥には中国の涮羊肉が由来説、日本で戦後に生まれた説の2説がある
- しゃぶしゃぶの名前は大阪・スエヒロの商品名が由来
- しゃぶしゃぶ鍋は涮羊肉の鍋を参考にした説が有力
- 現在では、お湯・出汁や味付けはけっこう自由となっている
ここまで、しゃぶしゃぶについてまとめました。
日本では、しゃぶしゃぶは戦後から食べられていたものの「しゃぶしゃぶ」という名前がつけられたのは1952年とけっこう最近であることが分かりました。
昔からある料理のイメージだったので意外ですね。
寒い冬は、温かい鍋を囲むしゃぶしゃぶが美味しい季節!
ぜひとも今年の冬は家庭でも、外食でもしゃぶしゃぶを思う存分堪能してみましょう♪

