梅雨のジメジメ低気圧で何かと体調を崩しやすい今の時期。
食欲がないときでも食べやすいのが「お粥」や「雑炊」といった消化の良い料理ですよね。
そんなお粥と雑炊、似ている2つの料理ですがその違いとは何なのでしょう?
また、お粥・雑炊の仲間?のような「おじや」「リゾット」との違いも知りたいところ。
今回はお粥・雑炊・おじや・リゾットの違いについてまとめてみました。
お粥と雑炊の違いとは
お粥(おかゆ)と雑炊(ぞうすい)の違いはありません。
お粥・雑炊ともに「米・ごはんを煮た料理」です。
調べてみると、お粥にも雑炊にも明確な定義はなく、区別するのは難しいと判断しました。
ここからは、そんな「お粥」と「雑炊」の特徴をそれぞれ説明していきます。
お粥について
お粥は米などを多めの水で柔らかく煮た料理です。

米だけでなく
- 麦・粟・そばなどの穀類
- 豆類
- いも類
などを煮ることもあります。
うるち米、いわゆるお米から作られたお粥は「白粥(しらがゆ)」と呼ばれます。
基本的にはお米やごはんのみを使用して作られますが、梅干しや卵、お正月の七草粥などちょっとした具材を入れることもあります。
お粥は『生米』から煮るもの?
「お粥と雑炊の違い」として
という点が違うとの意見もあります。
しかし、この米の状態がお粥・雑炊の違いである、という意見は間違い。
『生米から煮た料理』・『炊いたごはんを煮た料理』のいずれもお粥です。
ただし『生米から煮たお粥』と『炊いたごはんを煮たお粥』は、それぞれ
- 生米から:炊き粥
- 炊いたごはん:入れ粥
と呼び方が異なります。

知識としては両方とも知っていましたが、我が家ではもっぱら「入れ粥」ですね。
水の量でお粥の名前が変わる?
お粥(炊き粥)はお米と水分の量の違いで名前が異なります。
まず、普通のお粥は『米:水=1:5』の比率で作られます。
この『米:水=1:5』は「全粥」となり、これから登場するお粥の基準になります。
この全粥を基準にしたお粥には七分粥・五分粥・三分粥があり、それぞれの水の分量をまとめると↓の表のようになります。
お粥の名前 | 「全粥:水」の比率 | 「米:水」の比率 |
七分粥 | 7:3 | 1:7 |
五分粥 | 5:5 | 1:10 |
三分粥 | 3:7 | 1:20 |

何だかスゴくややこしいよね・・・。
スゴくややこしいですが、この「○分粥」はお米の量が「全粥の○分(○割)」ということ。
- 七分粥=全粥と比べ米の量は70%
- 五分粥=全粥と比べ米の量は50%
- 三分粥=全粥と比べ米の量は30%
どちらにしてもややこしいですね・・・。
○倍粥とは?
お粥と水分量は「○倍粥」という言葉でも表せます。
「○倍粥」は『米の量に対して水の量は○倍である』という意味。
つまり全粥は『米1に対して水5』なので「五倍粥」となります。
他の水の分量でも、同じように
- 米1に対し水7=七倍粥
- 米1に対し水10=十倍粥
- 米1に対し水20=二十倍粥
と表します。
「○分粥」と「○倍粥」の相対表
「○分粥」と「○倍粥」を相対させると↓の表のようになります。
<○分粥> | <米:水の比率> | <○倍粥> |
全粥 | 1:5 | 五倍粥 |
七分粥 | 1:7 | 七倍粥 |
五分粥 | 1:10 | 十倍粥 |
三分粥 | 1:20 | 二十倍粥 |

上の表を見たら何となく分かった気がするね。
- 「○分粥」全体量に占める全粥の割合を表す
- 「○倍粥」米の量に対し水が何倍の量であるかを表す
雑炊について
雑炊はごはんを調味料や具材と合わせて柔らかく煮た料理です。

炊いてあるごはんを使用することがほとんどですが、炊き粥のように生米から雑炊を作ることもあります。
味付けはしょうゆや味噌などしょっぱめ、具材は基本何でもOKです。
最後に卵でとじる卵雑炊が人気ですね。
また、雑炊は冬の季語でもあります。
1年を通して食べられるのがお粥、冬の時期に食べられるのが雑炊という風に季節で分けることもできそうですね。
よく似た「おじや」とは?
雑炊と「おじや」はほぼ同じ料理です。

「おじや」は雑炊を意味する女房詞(宮中などに仕える女性が使っていた隠語)と言われています。
ただ、おじやの語源には
- 米を煮る音が「じやじや」と聞こえたから
- スペイン語で鍋を意味する「olla(オジャ)」から
などと諸説あります。
語源は諸説あるものの「雑炊=おじや」というのは変わりません。
しかし、地域・風習によっては雑炊とおじやを別の料理としている場合もあります。
↑の違いはあくまで一部で使われている雑炊・おじやの違いです。

雑炊は「さらさら」、おじやは「ドロドロ」のイメージがありましたが、あながち間違っていなかったみたいです。
リゾットは「洋風のお粥」でOK?
「リゾット=洋風のお粥」とするのは正しくありません。

そもそも「リゾット」はイタリア料理。
しかし、リゾットがフランスへ行けば「ピラフ」という名前で呼ばれます。
つまり「リゾット=ピラフ」です。
そんなリゾットは『炒めた生米を水・ブイヨン(野菜の出汁)で硬めに煮た料理』。
米を少し芯が残るくらいのアルデンテになるまで煮るのがポイントです。

作り方は異なりますが、お粥よりもチャーハンの方がリゾットに近い気がしますね。
【まとめ】お粥・雑炊・おじや・リゾットの違い
- お粥:生米・ごはんを柔らかく煮た料理
- 雑炊:主に炊いたごはんを調味料・具材と煮た料理
- おじや:雑炊の女房詞
- リゾット:炒めた生米をブイヨンなどで煮た料理
お粥・雑炊・おじやは米・ごはんを柔らかく煮た料理でしたが、リゾットはお米を炒めてから硬めに炊くという違いがありました。
ただし、本題だった「お粥」と「雑炊」にはほとんど違いがなかったのは意外です。
不安定な天候で体調を崩しがちですが、食欲がなくてもお粥や雑炊で栄養を摂りましょう!
『お粥は生米から煮るが、雑炊は炊いたごはんを煮る』