一年の終わりの大晦日、12月31日に食べられる「年越し蕎麦(そば)」。
何となく毎年年越しに食べている蕎麦ですが、なぜ大晦日には蕎麦を食べるのでしょう?
そんな気になる年越し蕎麦の由来についてまとめました。
蕎麦ではなく、うどんではダメなのでしょうか?
また、蕎麦は盛りそば・ザル蕎麦・掛け蕎麦どれを食べれば良いのかもCheckしましょう!
年越し蕎麦はなぜ食べる?
年越し蕎麦は縁起担ぎのために食べられる蕎麦です。
その担がれる縁起とは『今年一年の災厄を断ち切る』というもの。
蕎麦は他の麺類と比べ、麺が噛み切りやすいことから「悪いことを断ち切ってくれ」との思いを込めて食べられるとのことです。
一方で、細く長い蕎麦の見た目から『延命』や『長寿』、『家族の縁が長く続く』といった思いが込められている、との説もあります。
また、名前の「蕎麦」を『側(そば)』とかけ、一緒に蕎麦を食べて来年も側にいよう、という思いも。
さらに、薬味として使われることが多い「ネギ」にも『1年の疲れを労う(ネギらう)』という意味が込められているとする説もあります。
※ネギには神職の『禰宜(ねぎ)』とかけているという説もあります。
たかが年越し蕎麦、されど年越し蕎麦。
蕎麦一つとっても実にいろいろな意味が込められているようですね。
年越し蕎麦の歴史・由来
年越し蕎麦の風習が生まれたのは、江戸時代中期とされています。
「年越し蕎麦」という言葉が初めて文献にて使用されたのは1814年のこと。
この当時の将軍は11代・徳川家斉、日本ではこの年に滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」が刊行されています。
世界的にはパリ条約(フランスと第六次対仏大同盟の間の戦争を終わらせた条約)が締結された年になります。ナポレオンの時代です。
さらに、1756年の文献にも「年越し蕎麦」との文字はありませんが、年越し蕎麦を指す言葉が記されています。
よって、遅くとも江戸時代後期の1800年代には年越し蕎麦は庶民の風習として広まっていたと考えられます。
流行病・江戸患いの予防にも蕎麦が役立つ!?
江戸時代に年越し蕎麦の風習が生まれたのには、江戸時代特有の病気・江戸患いも関係していたとされています。
江戸時代中期の江戸ではビタミンB1不足による病気・脚気(かっけ)が流行していました。
江戸の人たちが脚気に悩まされていたのは白米ばかり食べ、ビタミンB1をはじめとする栄養が偏っていたからとされています。
そこで持て囃されていたのが蕎麦。
との噂が広まり、蕎麦が流行、それが年越し蕎麦の文化定着にもつながったのでは?という説もあります。
実際、蕎麦はお米(白米)に比べビタミンB1が多く含まれているので「蕎麦は脚気の予防につながる」という噂は間違っていません。
現代における年越し蕎麦を食べる人の割合は?
(株)YAYが2022年に行ったアンケート調査によると、年越し蕎麦を『毎年必ず食べている』と回答した人の割合は48.8%でした。
※全国の20~60代が対象
さらに、必ずではないものの『なるべく毎年食べるようにしている』は25.5%。
つまり、年越し蕎麦を毎年食べる・食べようとしている人が全体の70%を超えることが分かりました。
未だに7割以上もの人が毎年年越し蕎麦を食べている、というのはちょっと驚きでした。
また、対象を20代のみに限定しても、
- 『毎年必ず食べている』が41.9%
- 『なるべく毎年食べるようにしている』が26.1%
と、やや少なくなったものの、あまり大差がなかったことも分かっています。
時代とともに文化や風習は移ろい、中には廃れていったものもありますが、年越し蕎麦は未だ幅広い世代・多くの人から愛される文化・風習であることが分かりましたね。
※参考 PR TIMES 【年越しそばに関する調査】20代でも毎年食べるのは4割以上と、年代を問わず日本の風習として「年越しそば」は定着している
年越し蕎麦の気になる作法
毎年何となく食べている年越し蕎麦。
わたしの年越し蕎麦は間違っているのかも!?
と思い立ってしまい、いろいろ調べてみました。
蕎麦ではなく「うどん」ではダメ?
まず気になったのは「年越し蕎麦は『うどん』でも良いのか?」という疑問。
蕎麦なのだから、蕎麦を食べるべき!と思いますが、たまにはうどんを食べる年越しがあっても良いではないか!という考えでもあります。
結論から言えば、年越しには蕎麦でもうどんでも、どちらを食べても食べなくてもOK。
全国的には年越しは「蕎麦」ですが、一部の地域では「うどん」を食べて年を越すこともあります。
その一部地域とは香川県。
やはり香川はうどん県なのですね。
ただし、2010年に四国学院大学が行ったアンケート調査によると、年越しにうどんを食べる香川県民の割合は22%。
これは蕎麦を食べる香川県民の割合43%の半分ほどの数値となります。
香川は確かにうどん県・うどん大国ですが、それでも年越しは蕎麦!という人が多いようですね。
また、香川の他にも秋田県や群馬県でも年越しうどんが食べられる地域があるとのこと。
したがって、年越しうどんはOKでした。
年越しうどんに込められた意味
年越しうどんには、太くて長いという面の形状から『長寿』を願う、という意味が込められています。
また、モチモチと切れにくい、という歯ごたえの良さから『幸せが途切れず、長く続く』という意味も。
蕎麦の『災厄を断ち切る』とは正反対の意味で面白いですね。
年明けうどんという風習も
年越しうどんという風習が一部地域であることが分かりました。
しかし、香川県には「年明けうどん」という風習もあります。
年明けうどんは、文字通り、年が明けてから食べられるうどん。
元日1月1日から15日ごろまでに食べられるうどんとされ、紅白に色づけされた華やかなうどんとのこと。
蕎麦はザル・かけ・盛りどれが良い?
我が家の年越し蕎麦は長年に亘り「ザル」です。
そんな我が家のように年越し蕎麦をざる蕎麦で楽しむ家庭もあるでしょうが、年越し蕎麦=ざる蕎麦で良いのでしょうか?
答えは「別に何でもOK 」です。
ざる蕎麦だろうが、盛り蕎麦だろうが、かけ蕎麦だろうが何でも大丈夫です。
年越し蕎麦は風習なので、しっかりした定義はありません。
そもそも蕎麦じゃなくてもOKなので。
自分の好きなスタイルで年越し蕎麦を楽しみましょう。
一般的には○○蕎麦が定番!?
2019年に行われたJタウンネットのアンケート調査によると、年越し蕎麦は「かけ蕎麦派」という人は全体の75.6%であることが分かりました。
4人に3人が年越しはかけ蕎麦という衝撃の事実!
「ざる・盛り蕎麦派」は24.4%、4人に1人の割合です。
つまり、ずっとざる蕎麦を食べていた我が家は少数派だった!ということです。
地味に衝撃の結果でした・・・。
【まとめ】年越し蕎麦のあれこれについて
- 年越し蕎麦は『長寿』や『災厄を断ち切る』という験担ぎで食べられる
- 年越し蕎麦の風習は江戸時代中頃に始まった
- 年越しうどんでもOK
- 蕎麦はざる蕎麦・盛り蕎麦・かけ蕎麦のどれでも大丈夫
ここまで、年越し蕎麦の気になるあれこれを調べてみました。
年越しはうどんでもOKというのは面白かったです。
ただ、やはりざる蕎麦派が少数だったというのが衝撃でした・・・。
今年の年末は、いつもより年越し蕎麦に思いを込めながら美味しく頂きましょう♪
Amazon.co.jpで「年越し蕎麦」をCheckする ≫
蕎麦を食べれば脚気にならない。