鍋料理とは、料理を調理道具である「鍋」のまま、食卓に出す料理のことです。
一般的な料理はおかずをさらに取り分けますが、鍋料理はそのまま提供し、各自取り分けるというスタイルですね。
そんな鍋料理で広く用いられるのが「土鍋」。
どうして鍋料理では土鍋を使用するのでしょう?
また、実は土鍋を使ってはいけない鍋料理もあります!
今回はそんな切っても切り離せない、鍋料理と土鍋の関係性についてまとめてみました。
そもそも「土鍋」とは
土鍋とは陶器製の鍋です。
その名の通り、材質には『土(陶土)』が使用されます。
発祥は縄文時代の土器まで遡ります。
食材を煮炊きし火を通すことで安全性も味の良さも飛躍的に上がり、食生活の変化につながりました。
現在ではほとんど鍋料理にしか使用されていない土鍋ですが、かつては貴重な調理器具だったのですね。
鍋料理に「土鍋」を使う理由
鍋料理に土鍋を使う理由は熱伝導性が低いためです。
熱伝導性とは、熱の伝わりやすさのこと。
数値が高いほど熱が伝わりやすい、ということになります。
土鍋の熱伝導性は、鉄やアルミ、ステンレスなど金属の調理器具と比べると圧倒的に低い数値。
つまり、金属の調理器具に比べ、土鍋は熱くなりにくいということになります。
「熱くなりにくい」ことがなぜ良いことなのだろう?
土鍋の熱伝導性が低いメリット
土鍋の熱伝導性が低いメリットは温度がゆっくり上下することです。
土鍋は加熱してもすぐに熱くはなりません。
熱くなるまでがゆっくりで時間がかかります。
しかし、この『ゆっくり温度が上がる』という状態が鍋料理をおいしくするポイントです。
白菜・昆布などに含まれる旨味成分・グルタミン酸は35~55℃の温度で最も活性化します。
この活性化する温度帯にある時間が長ければ長いほど、食材の旨味が増すということ!
温度の上がり方がゆっくりな土鍋は食材の旨味を引き出すために最適だったのですね。
また、土鍋の熱伝導性の低さには温度が下がりにくい、つまり保温性が高いというメリットもあります。
一度熱したら冷めにくいので、加熱し続けなくてもずっと温かい状態で食べられるのも魅力ですね。
土鍋のメリットは他にも
土鍋には保湿性が高いというメリットも持ちます。
土鍋など陶器には目に見えない穴が無数に空いています。
その穴が吸水することにより水が蓄えられ、食材の乾燥を防いでくれます。
また、温度が急激に上がりにくい土鍋は、長時間の煮炊きでも鍋底の焦げ付きが少なく、安全に使えるのも特長です。
美味しさだけでなく、安全性の面でも土鍋は鍋料理に適しているのですね。
土鍋が向かない鍋料理
鍋料理のうちすき焼きは土鍋での調理に向きません。
土鍋では『食材を炒める』という調理工程は基本行ってはいけません。
土鍋には急激な温度変化に弱いというデメリットがあります。
煮込み料理など食材を煮汁で煮る料理なら、温度が上がりにくい煮汁の影響で急激な温度変化は避けられます。
しかし、煮汁のない状態で食材を直接炒めると、一気に土鍋の温度が上がり割れてしまうこともあります。
また、そもそも熱伝導性の低さから、土鍋は炒めもの全般に向いていません。
フライパンなどと異なりテフロン加工などもないので、肉がこびりつくと洗うのがとても大変です・・・。
すき焼きを土鍋で作る場合は『炒めずに』直接煮込みましょう。
また、フライパンなど『別の調理器具で炒めてから』煮込むのもオススメです。
土鍋の注意点
鍋料理をおいしくしてくれる土鍋は扱い方や手入れがちょっと面倒な鍋でもあります。
面倒な上に、扱いを間違えると簡単に割れてしまうので注意が必要です。
そんな土鍋の注意点をまとめました。
初めて使う前には『目止め』をする
買ってきたばかりの土鍋は、料理に使う前にまず『目止め』と呼ばれる行為を行います。
この目止めとは、陶器である土鍋の構造上、空いてしまう小さな穴・溝などを埋める作業のこと。
※製品によっては目止めの必要がない場合もあります。購入した土鍋はまず取扱説明書をしっかり読みましょう。
目止めの方法は、土鍋の内側を
- 小麦粉を溶いた水
- 米のとぎ汁
で満たし、沸騰させる。というのが一般的です。
土鍋の大きさによってかかる時間は異なりますが、長くても10分程度で終了します。
詳しいやり方は土鍋によって異なるので、まずしっかり説明書を読んでください。
土鍋は空焚きNG
↑でも説明しましたが、土鍋は急激な温度変化に弱いというデメリットを持ちます。
そのため炒めもの全般に向かず、また何も入れない状態で火にかける『空焚き』もしてはいけません。
温度変化に耐えられず、土鍋が割れます。
熱い土鍋に冷水をかけるのもNG
土鍋は急に熱くするだけでなく、急に冷ますこともしてはいけません。
使ったばかりの熱々の土鍋に冷水をかけると、土鍋が割れてしまうこともあります。
危ないので、水をかけるのは土鍋がしっかり冷めてからにしましょう。
土鍋の底は濡らさない
土鍋の底が濡れている状態で火にかけることはしてはいけません。
水に濡れた土鍋の底は温度が下がった状態です。
この温度が低い状態の土鍋のまま火をかけると、やはり急激な温度変化で割れやすくなってしまいます。
底を濡らしてしまった場合は、乾くまで待つか、付近などでしっかり水気を拭いてから加熱しましょう。
収納はしっかり乾いてから
土鍋はしっかり洗い、かつ乾燥させてから収納しましょう。
目止めをしても土鍋の穴は完全には埋まらないので、汚れ・水分は穴に入り込みがち。
そんな穴に入り込んだ汚れ・水分を放置すると、カビや匂いの原因となってしまいます。
毎週など短い間隔で使用する場合はもちろん、夏場など長期間使わない場合は特に気を付けるべきポイントです。
ここまで、土鍋について気になることをまとめてみました。
我が家では寒くなると毎週、土鍋で鍋料理を楽しんでいるので調べていてとても興味深かったです。
注意点に気を配りつつ、土鍋料理を楽しみましょう♪