夏野菜、そして子どもの嫌いな野菜の代表であるピーマン。
鮮やかな緑色はどんな料理に入っても良く映えます。
そんなピーマンの色違いのような存在なのがパプリカ。
近年は歌でも有名なパプリカですが、よく似たピーマンとは何が違うのでしょう?
- ピーマンとパプリカの違い
- 分類の違い
- 旬・収穫のタイミングの違い
- 栄養価の違い

ピーマンとパプリカは、似ているだけで全然違う野菜だと思ってたけど・・・。
意外と知らないピーマンとパプリカの違いを知っておきましょう!
ピーマンとパプリカの「分類」の違い
まずは、ピーマンとパプリカを分類の違いから比べてみます。
ピーマンの分類
ピーマンはナス目ナス科トウガラシ属の一年草です。
ナス目ナス科、つまりピーマンはナスの仲間と言うことですね。
ナス目の植物はおよそ5000種の植物。
そのうちナス科の植物は115属2678種も存在します!
植物の中でも一大勢力ですね・・・。
ナス科には他にもジャガイモやトマトなど有名な野菜がたくさん!
そのうちピーマンは、トウガラシなどと同じトウガラシ属の野菜です。
実は、分類上はピーマン=トウガラシ!
意外ですが、ピーマンは辛くないだけでほぼトウガラシと同じなのですね。
さらに、ピーマンは一年生植物でもあります。
一年生植物とは、種を植えてから新たな種を残して枯れるまでのサイクルが1年以内の植物のこと。
たしかに、ピーマンは植えてから1年以内に枯れてしまいますね。
パプリカ
パプリカはナス目ナス科トウガラシ属の多年草です。
分類上ではパプリカとピーマンに違いはありませんね。
ピーマンと比べて甘みが特徴のパプリカですが、やはりトウガラシの一種になります。
ちなみに、ピーマン・パプリカともに英名は「bell pepper」。
カラーピーマンの一種であり、日本では肉厚で辛みが無く甘いCapsicum annuum ‘grossum’の品種を呼ぶ。
パプリカーWikipedia
後述しますが、カラーピーマン=ピーマンなので、パプリカはピーマンの一種ということになります。
しかし、ピーマンとの大きな違いが1つ。
それはパプリカは多年生植物であることです!
多年生植物とは、何年にもわたり1つの個体のまま生き続ける植物のことを言います。
パプリカはピーマンと違い1年で枯れないのです。
けれど、日本で育てる場合は寒さから冬を越すことができません。
そのためほぼ一年生植物として扱われています。
ピーマンとパプリカの「旬」の違い
ピーマンとパプリカの旬はいずれも夏の時期です。
どちらも5月あたりの初夏に種蒔きが行われ、7~10月頃に収穫されます。

たしかに、7~10月頃のピーマンは安くて美味しいよね。
先ほど、パプリカはカラーピーマンの一種との説明がありましたね。
そのカラーピーマンは、ピーマンを成熟させてから収穫したもの。
つまり、緑色のピーマンは熟していない状態だったのです。
そのため、ピーマンとカラーピーマンは、もともとは同じ品種でも収穫のタイミングが違います。
開花から収穫までの期間で比べるとピーマンは20日ほどですが、カラーピーマンは40日以上。
収穫までに倍の時間がかかるので、カラーピーマンはあまり市場に出回らないのです。
またカラーピーマンは未成熟な緑色のピーマンよりも栄養価が高い一方、腐りやすいというデメリットも。
そんなカラーピーマンのうち、
- 肉厚
- キレイなベルの形
- 果実の部屋数が3~4つに別れている
という3つの条件を満たすものがパプリカになります。
本当に、ほぼ違いがないのですね・・・。
ピーマンとパプリカの「栄養価」の違い
ピーマン・パプリカは、ともに栄養価が高い野菜として知られています。
しかし、ピーマンよりもパプリカの方がはるかに栄養価が高いのです!
そのピーマン・パプリカ(赤ピーマン)の栄養価を表にして比較しました。
100gあたりの含有量 | ピーマン | パプリカ(赤ピーマン) |
ビタミンC | 80mg | 170mg |
ビタミンE | 0.8g | 4.3g |
ビタミンK | 20μg | 7μg |
βカロテン | 400μg | 1100μg |
パプリカは、ピーマンと比べビタミンCが2倍以上、ビタミンEが5倍以上、カロテンが3倍弱も多く含まれています。
反対に、ピーマンはパプリカよりもビタミンKの量が3倍近く多く含まれます。
この栄養成分を、それぞれ簡単に説明していきます。
ビタミンC
ビタミンCの効果はカゼ予防。
ウイルスから身体を守る白血球をサポートします。
さらに、ビタミンC自らもウイルスと戦うなど、身体の免疫力を高める効果があります。
また美肌作りにも効果的!
皮膚の張りを保つコラーゲンの生成に不可欠な栄養素であるビタミンC。
その上、シミの原因であるメラニン色素の生成を防ぐはたらきもします。
ビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用があることで知られています。
抗酸化作用とは、活性酸素の働きを抑えて身体の酸化を防ぐはたらきのこと。
アンチエイジングに効果が期待できます。
さらに、血行促進の効果も期待できるので冷え性の方におすすめです。
そのほか、
- 紫外線への抵抗力
- 新陳代謝
をアップさせるはたらきも持つので、美肌に効果的です。
ビタミンK
ビタミンKのはたらきは、体内にカルシウムをとどめること。
カルシウムといっしょに摂取することで、骨を丈夫に保つことができます。
βカロテン
βカロテンは赤だいだい色の色素の1つで、体内でビタミンAに変化する前駆体でもあります。
そのため、赤・オレンジ色のパプリカ・カラーピーマンの方が緑のピーマンよりも多くのβカロテンを含んでいるのですね。
このβカロテンのはたらきは、ビタミンEと同じく高い抗酸化作用。
また、体内の粘膜や皮膚、さらには目を健康に保つはたらきもあります。
免疫力アップに効果的な栄養素ですね。
まとめ
- ピーマンとパプリカはともにナス目ナス科トウガラシ属の植物で、旬も同じ夏の時期。
- しかし、ピーマンは一年草、パプリカは多年草と生育サイクルに違いがあった。
- ピーマン・パプリカの違いは、果肉の厚さと形です。
- また、ピーマンはまだ未熟であるうちに収穫し、パプリカは完熟させてから収穫する。よって、ピーマンとパプリカは収穫のタイミングに違いが見られた。
- さらに、一部を除きパプリカの方がピーマンよりも栄養価が高い。
苦味のあるピーマンと、生でも甘味が強いパプリカ。
そんなそれぞれの特性も活かしつつ、食事に取り入れていきたいですね!