梅雨が終わると、暑い暑い夏がやってきます。
夏野菜もいろいろありますが、その中でも安くて使い勝手が良いのがきゅうり。
きゅうりは夏に嬉しい栄養をたっぷり含んでいるらしいのです。
しかし、そんなきゅうりには栄養がないとの噂も。
栄養たっぷりor栄養ない、どちらが本当なのか、きゅうりの栄養についてまとめてみました♪
きゅうり100gあたりの栄養価
きゅうり100gあたりの栄養価をまとめます。
<基本>きゅうり100gの栄養価
きゅうり100gあたりの基本の栄養価です。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 13kcal |
水分 | 95.4g |
たんぱく質 | 1.0g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 3.0g |
食物繊維 | 1.1g |
きゅうりは100gあたり13kcalと低カロリーです。
また、きゅうり100gのうち95.4gが水分と、95%以上を占めることが分かりました。
水分量が多いためた、たんぱく質・脂質・炭水化物など他の栄養素はいずれも控え目です。
<ビタミン>きゅうり100gの栄養価
きゅうり100gに含まれるビタミンです。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
βカロテン(ビタミンA) | 330μg |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンB6 | 0.05mg |
葉酸 | 25μg |
ビタミンC | 14mg |
ビタミンD | 0μg |
ビタミンE | 0.3mg |
きゅうりに含まれるβカロテンは100gあたり330μgなので、きゅうりは『淡色野菜』です。
※100gあたりで含まれるβカロテンが600μg未満の野菜は全て淡色野菜に分類されます。また、600μg以上含まれる場合は緑黄色野菜になります。
βカロテンも少なめですが、他のビタミンも総じて少なめ。
きゅうりにはあまりビタミンが含まれていないことが分かります。
<ミネラル>きゅうり100gの栄養価
きゅうり100gあたりに含まれるミネラルです。
栄養素 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
ナトリウム | 1mg |
カリウム | 200mg |
カルシウム | 26mg |
マグネシウム | 15mg |
リン | 36mg |
鉄 | 0.3mg |
ミネラルのうち、きゅうりが多く含むといえるのは「カリウム」です。
その他の栄養素はバランス良く含まれているものの多いとは言えませんでした。
そんなきゅうりの中で唯一、多めに含まれているカリウムについてまとめていきます。
きゅうりには○○が豊富に含まれる!
きゅうりには100gあたり200mgものカリウムが含まれます。
きゅうりは1本あたり150gほどなので、1本あたり300mgものカリウムを含むことになります。
そんなカリウムは人の身体の中にもっとも多く存在するミネラル類です。
細胞内の浸透圧(異なる液体の濃度を一定にするはたらき)を維持・調整するというとても重要なはたらきがあります。
また、神経を正常に保ち、筋肉のスムーズな収縮をサポートするなど、人の生命維持に必要な栄養素です。
そんなカリウムには、他にも嬉しいはたらきがあります。
カリウムのはたらき:高血圧の予防
カリウムには高血圧を予防するはたらきがあります。
塩分の多い食事を続けると高血圧になりやすいとよく聞きますよね?
これは塩分=ナトリウムが体内で増えた分、血液のナトリウム濃度を一定に保つために血液中の水分が増えるためとされています。
血液中の水分が増えれば、当然、血液そのものの量も増えます。
この増えた血液量が血管の壁を圧迫するため、血圧が上がってしまうのです。
カリウムには、そんなナトリウムの体外への排出をサポートするはたらきがあります。
さらに、カリウムには利尿作用があります。
出やすくした尿と一緒にナトリウムを排出してくれるので、血圧が上がりにくくなり高血圧の予防につながるのですね。
高血圧の人の理想のカリウム摂取量
高血圧の人は1日に3500mgのカリウム摂取が望ましいとされています。
ちなみに、一般の人における1日あたりのカリウム摂取量の基準値(推定)は
- 男性:3000mg以上
- 女性:2600mg以上
となります。
きゅうりで換算すると、男性の場合は1日に10本のきゅうりを食べればカリウム摂取量の基準値に達します。
※きゅうりの重量を1本あたり150g、1本あたりのカリウム量は300mgとした場合の数値です。
高血圧の人なら12本弱となります。
さすがに1日10本以上のきゅうりを食べるのはしんどいですね・・・。
そのため、他の食品とともに効率的なカリウム摂取が望ましいでしょう。
カリウムのはたらき:むくみの解消
カリウムにはむくみの解消というはたらきもあります。
これはカリウムが持つ利尿作用のおかげです。
上の「高血圧の予防」でも説明しましたが、カリウムにはナトリウムの排出をサポートするはたらきがあります。
ナトリウムには水分をため込むという性質がある上に、ナトリウムの摂りすぎによって血液中の水分が増加。
この水分量の増加によって身体のむくみは引き起こされるのです。
カリウムの利尿作用には、そんなナトリウムを水分とともに尿として排出させるはたらきがあります。
さらに、カリウムには腎臓の老廃物を排出させるはたらきもあり、腎臓で吸収されやすいナトリウムをしっかり外に出してくれます。
むくみが気になる方は積極的にカリウムを多く含んだものを食べるのがオススメです。
- ほうれん草:690mg
- パセリ:1000mg
- さといも:640mg
- アボカド:720mg
- バナナ:320mg
- 乾燥わかめ:5200mg
- 切り干し大根:3500mg
※数値は100gあたりのカリウム含有量
利尿作用で脱水症状にならない?
カリウムには高い利尿作用があることが分かりました。
しかし、その利尿作用により尿がたくさん出ると、脱水症状になってしまうんじゃないの?
その疑問を調べてみました。
結論から言うと、カリウム摂取により脱水症状が引き起こされることはありません。
そもそも脱水症状とは、体液(水と電解質)が汗で失われているのに補給ができない状態のこと。
カルシウム・ナトリウム・マグネシウム・カリウムなど体内の水分調整などを行うミネラル類の物質。
脱水症状は熱中症を引き起こし、めまいや頭痛などの症状、最悪、意識障害やけいれんなど重篤な症状に至る可能性もあります。
カリウムは汗で失われる電解質の1つ。
細胞内液に多く含まれるカリウムが汗とともに流れてしまうと、細胞内が脱水症状になってしまいます!
また、体液の濃度を調整するカリウムが不足すると、ナトリウムなどほかの電解質とのバランスが崩れると体調が悪化。
カリウムが不足すると、むしろ脱水症状を悪化させてしまうのです。
よって、脱水症状のときほどカリウムは摂取すべきと言えるでしょう。
カリウムのはたらき:身体を冷やす
カリウムには身体を冷やすというはたらきがあります。
これはカリウムが持つ利尿作用が尿とともに身体の熱を外に出してくれるためです。
また、きゅうりの豊富な水分量も身体の熱を冷ましやすくしてくれます。
夏にピッタリの効果だね!
夏野菜にはきゅうりに限らず、トマトやなす、すいかなど全般にこのような身体を冷やす作用があります。
ちなみに、冬野菜には反対に身体を温める効果があるとされます。
旬の野菜を食べると良いとされるのは、その季節に適した効果が得られるからだったのですね。
腎臓病の人は摂取に注意
身体の健康にとても重要なカリウム。
しかし、腎臓に病気を抱える方はカリウムの摂取を控えた方が良いとされています。
腎臓は老廃物や水分、塩分などを尿として排出するための臓器です。
そんな腎臓が病気でちゃんと働かなくなると、老廃物だけでなく余分なカリウムまでも排出できなくなります。
正常な量なら体内に良い効果しかないカリウムですが、蓄積し量が増えると高カリウム血症を引き起こす可能性も!
最悪の場合、死に至るおそれがある高カリウム血症。
そのため、腎臓病の人は食事にカリウム制限が課され、カリウムを摂りすぎない食生活が推奨されます。
カリウム不足で夏バテに!?
高カリウム血症のように、体内にカリウムが増えすぎると重大な疾患につながるおそれがあります。
けれども、カリウムは体内から不足しすぎても低カリウム血症を引き起こすため危険です。
カリウムには
- 体内の水分量の調整
- 筋肉・神経の正常なはたらきをサポート
というはたらきがあり、カリウムが不足すると↑のはたらきがしっかり行われません。
したがって、低カリウム血症になると
- 吐き気・嘔吐
- 筋肉の痛み・けいれん
- 身体の麻痺
- 不整脈
など身体全体に影響が出ます。
低カリウム血症の主な原因は汗のかきすぎ。
カリウムは尿だけでなく汗からも排出されるので、一度に大量の汗が出ると一気にカリウム不足になってしまいます。
汗をかきすぎてぐったりした経験はありませんか?
そんないわゆる夏バテの症状は低カリウム血症が原因の1つ。
夏バテを防ぐにはカリウムを意識的に摂取することが大切ですね。
カリウムの効率的な摂り方
カリウムは水溶性の栄養素です。
水溶性、つまり水に溶けます。
水にさらしたり、お湯で茹でたりすると、せっかくの豊富なカリウムが溶け出てもったいないことに。
そのため、きゅうりのカリウムを効率的に摂るなら生でそのままがオススメです。
生は生でも浅漬けだと液にカリウムが溶け出してしまうのでオススメできません。
サラダや塩もみなど水などに漬けない・さらさない料理法が良いでしょう。
また、きゅうりを食べて身体を冷やしたくない場合は加熱するのもオススメです。
きゅうりを加熱する、というと変わった食べ方に思われるかもしれませんがとても美味しいです。
特に我が家では、中途半端に余ったきゅうりをみそ汁に入れて食べています。
みそ汁なら汁の中に溶け出たカリウムも一緒に摂取できるので効率的です。
加熱きゅうりは意外と美味しいので、料理のレパートリーを増やすという目的でもぜひ、試してみてください♪
きゅうりは「栄養がない」はどうして広まった?
ここまできゅうりが豊富に含むカリウムについてご紹介してきました。
少なくともカリウムを豊富に含むきゅうりは「栄養がない」野菜とは言えませんよね?
では、どうして「きゅうりは栄養がない」といわれるようになったのでしょう?
その理由はきゅうりの『豊富すぎる水分量』と『低すぎるカロリー』にありました!
きゅうりの『豊富すぎる水分量』
きゅうりの水分量は100gあたり95.4g。
つまりきゅうり全体のうち水分が占める割合は95%超えです。
栄養価はその残り4.6gしかないので、きゅうりは栄養がないというイメージがあっても仕方がないでしょう。
ただ、野菜ほとんどは水分量が90%以上だったりします。
そんな野菜の中でもきゅうりの水分量は多めではありますが、飛び抜けて水分が多いわけではありません。
きゅうりの『低すぎるカロリー』
また、きゅうりは世界で最もカロリーが低い果実、としてギネス世界記録認定されています。
そのきゅうりのカロリーは100gあたり14kcal。
たとえ1kg食べても、6枚切りの食パン1枚より低カロリーです。
まとめ
- きゅうりにはカリウムが多く含まれている。
- カリウムには高血圧予防、むくみ解消などのはたらきがある。
- さらに、夏にピッタリの身体を冷やす効果、脱水症状を防ぐ効果もある。
- 「きゅうり=栄養ない」は『きゅうりはもっともカロリーが低い野菜』というギネス世界記録の誤解が原因だった。
きゅうりの栄養について調べると、夏に嬉しい効果がたくさんあることが分かりました!
夏になるとリーズナブル&大量に売られるようになるきゅうり。
今年の夏も、そんなきゅうりに身体もお財布も救われましょう。