香味野菜として料理のアクセントになるニラ(韮)。
そんなニラには色違いである『黄ニラ』、食べる部分が違う『花ニラ』という種類もあります。
この黄ニラ・花ニラと普通のニラの違いは何なのでしょう?
また、ニラは種類ごとに栄養も変わるのでしょうか?
今回はそんなニラの種類と種類別の栄養の違いについてまとめました。
ニラの種類
主に日本で食べられているニラは
- 葉ニラ
- 黄ニラ
- 花ニラ
の3種類に分けられます。
色や花蕾が付いているものなど違いはありますが、使い方はほとんど変わりません。
しかし、栄養や特徴は種類ごとに異なります。
ここからは、ニラの種類ごとの特徴をまとめていきます↓
葉ニラ:一般的な緑色の「ニラ」
葉ニラはスーパーなどで「ニラ」として売られる、わたしたちがニラと聞き一番最初に思い浮かべるニラです。

緑色で細長く、ピンと尖った葉が特徴。
主に中華料理に使われ、薄さの割にしっかりした食感と独特の風味から親しまれています。
ニラのあの香りはアリシンという香り成分によるもので、ニンニクや玉ねぎと同じ成分でもあります。
アリシンは高い殺菌効果や抗酸化作用、免疫増強といった嬉しい効果が期待できる成分ですが、熱に弱いというデメリットも。
栄養を損なわずにニラを食するなら生でそのままがオススメです。
暑い時期のスタミナ食材
葉ニラの旬は7~9月ごろの夏真っ盛り。
暑い時期に葉をぐんぐん伸ばし、どんどん収穫できるのが特徴です。
黄ニラ:葉が黄色いニラ
黄ニラは文字通り黄色い葉をしたニラです。

黄色というよりもクリーム色と言える柔らかな色合いのニラですね。
緑色の葉ニラと比べ葉が柔らかい上に甘く、香りもひかえめなのが特徴。
辛味が少ないので、生でも食べやすい種類と言えます。
また、その見た目から『ニラもやし』との別名もあります。
「黄ニラ」は品種じゃない?
緑色の葉ニラと明らかに見た目が違う黄ニラ。
しかし、実は黄ニラは葉ニラと同じ品種のニラです。
黄ニラと葉ニラの違いは栽培方法。
黄ニラは芽が出てくる前から覆いを被せ、日光に当てないように育てます。

これは「軟白栽培」と呼ばれる栽培方法です。
ニラの葉には緑と黄色の色素の2種類が含まれており、日光に当てて育てると葉緑素(緑の色素)の働きから葉が緑色に。
一方、日に当てずに育てると葉緑素が働かないので黄色の色素のみが際立つようになるのです。
この黄ニラと同じように軟白栽培で育てられる野菜として有名なのが『ホワイトアスパラガス』。
ホワイトアスパラガスも黄ニラと同じようにグリーンアスパラガスと比べ柔らかく、甘味が強いのが特徴です。
寒い季節のスタミナに
黄ニラはかつて冬の農閑期に作られていた野菜でした。
現在はハウス栽培が主流なので1年中食べられますが、一番美味しい旬は冬の2~3月ごろ。

夏が旬の葉ニラとは正反対なんだね!
ちなみに、主な産地である岡山県の農協・JA全農おかやまによって、2月12日が『黄ニラ記念日』と定められています。
語呂合わせは『にっこり(2)いい(1)ニ(2)ラ』とのこと。

若干無理やり感があるかも・・・。しかし、黄ニラの旬が覚えやすくなっていますね。
花ニラ:花の蕾の部分付き
花ニラはニラの花茎と蕾も食べられるニラのことです。

花ニラと言う名前ですが、花(蕾)だけでなく茎の部分も食べられます。
葉ニラよりも香りがひかえめで、食感が硬め。
食べられない「花ニラ」に注意!
花ニラには同じ名前で園芸品種の「花ニラ(ハナニラ)」も存在します。

見た目が可愛らしく、手間なく長期間楽しめるので栽培用として人気が高い花です。
名前が一緒で見た目も似ているので非常に紛らわしいですが、植物学の分類上では
- 食用のニラ:ネギ属
- 園芸用のニラ:ハナニラ属
という違いがあります。
ハナニラの名前はニラのような香りを持つことが由来となっています。
葉もニラによく似ているので間違えやすいですが、ハナニラは毒があるので食べられません!

名前も見た目も同じなんて紛らわしい・・・。うっかり食べないように気を付けないとね。
旬は葉ニラと同じ
花ニラの旬は5~9月ごろ。
葉ニラと同じように夏の時期に旬を迎えますが、葉ニラよりも収穫時期が長めなのが特徴です。
葉ニラ・黄ニラよりも歯ごたえがあるので、炒めものなどしっかり加熱する料理にも使いやすいのが特徴とのことです。
【種類別】ニラの栄養の違い
ニラは種類によって栄養価に大きな違いがあります。

特に葉ニラと黄ニラを比べると、ほぼすべての値で葉ニラが黄ニラの栄養価を上回ります。
また、葉ニラと花ニラも一部を除き、葉ニラが花ニラよりも栄養価が高くなるのが特徴です。
ここからは葉ニラの栄養価を表にし、特に黄ニラ・花ニラとの栄養価の差が大きい成分をピックアップしてお伝えしていきます。
<一目で確認>葉ニラの栄養価
葉ニラの栄養価を表でまとめます。
栄養成分 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
エネルギー | 21kcal |
水分 | 92.6g |
たんぱく質 | 1.7g |
脂質 | 0.3g |
炭水化物 | 4.0g |
食物繊維 | 2.7g |
βカロテン | 3500μg |
ビタミンC | 19mg |
ビタミンE | 2.6g |
ビタミンK | 180μg |
葉酸 | 100μg |
カリウム | 510mg |
カルシウム | 48mg |
βカロテン
ニラはβカロテンを多く含む緑黄色野菜です。
そのうちニラのβカロテン量は100gあたり3500μg。
これはβカロテンが多そうな小松菜(3100μg)やケール(2900μg)よりも多い数値です。
また、緑黄色野菜の代表格でもあるかぼちゃ(4000μg)にも匹敵できる量です。
そんなβカロテンには『高い抗酸化作用』『目の保護』『皮膚・粘膜の保護』といった大切な働きがあります。
ドライアイや視力の低下、乾燥肌に悩む方は積極的に摂るべき栄養素ですね。
このβカロテン量を黄ニラ・花ニラと比べてみると↓のようになります。
ニラの種類 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
葉ニラ | 3500μg |
黄ニラ | 59μg |
花ニラ | 1100μg |
葉ニラが断トツで多く、次にβカロテン量が多い花ニラを3倍以上も引き離しています。
そして、最下位の黄ニラは59μgと低迷。
βカロテンは色素成分なので、色が少ない黄ニラで量が少ないのは当然と言えます。
それにしても、同じ種類でここまで差が出るとは、野菜の生長に太陽の光がいかに重要かが分かりますね。
ビタミンE
ビタミンEは強い抗酸化作用を持つ栄養素の1つ。
また、血液循環をサポートする働きもあり、血行促進に効果が期待できます。
アンチエイジングはもちろん、肩こりや冷え性などにも効果的です。
そんなニラの種類別ビタミンE含有量は↓のようになります。
ニラの種類 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
葉ニラ | 2.6mg |
黄ニラ | 0.3mg |
花ニラ | 1.0mg |
葉ニラのビタミンE含有量2.6mgというのはほうれん草(2.3mg)やブロッコリー(2.0mg)よりも高い数値。
やはり葉ニラの数値が断トツで高いですが、一般的な野菜のうちビタミンEが含まれるものは意外と少ないのでいずれにしても貴重な栄養源ですね。
ビタミンK
ビタミンKには血液を固まらせる力やカルシウムを骨に定着させる力があります。
不足することも摂りすぎることもなかなかない栄養素ですが、
- 内出血が多い方
- 骨が脆い方
は積極的な摂取が望ましいとされています。
そんなビタミンKのニラの種類別含有量は↓になります。
ニラの種類 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
葉ニラ | 180μg |
黄ニラ | 29μg |
花ニラ | 100μg |
葉ニラは黄ニラの6倍以上、花ニラの2倍近くの量ですね。
ビタミンKは比較的摂りやすい栄養と言えるので、そこまでこだわらなくても大丈夫そうです。
カリウム
カリウムは体内にある液体の濃度を調整する働き(浸透圧)やナトリウムの排出などに効果がある栄養素です。
そんなカリウム含有量の違いは↓のようになります。
ニラの種類 | 100gあたりの含有量 |
---|---|
葉ニラ | 510mg |
黄ニラ | 180mg |
花ニラ | 210mg |
葉ニラのカリウム含有量は野菜の中でもトップクラス。
黄ニラ・花ニラの含有量も野菜の中ではけして少ない量ではありませんが、葉ニラの量と比べるとどうしても見劣りしますね・・・。
【まとめ】ニラの種類について
- ニラには一般的な緑色の葉ニラ、軟白栽培によって歯が白っぽい黄ニラ、花茎・蕾も食べる花ニラの3種類がある
- ニラは種類によって栄養価も大きく異なり、葉ニラはほとんどの成分で黄ニラ・花ニラの数値を上回る
わたしはそもそもニラに『黄ニラ』『花ニラ』という種類があることすら知らなかったです・・・。
不勉強反省します。
しかし、調べてみると同じニラなのに栄養や育て方、味や食感などが大きく違うことがわかりとても面白かったです。
機会があったらニラの全種類を食べ比べてみたいと思います♪